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詩と散文の隙間

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詩よりも長く、散文より短い、すきまの言葉。
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#湖

湖のひと

湖のひと

あの子は静かなひと
湖のようにしんとしている
風が波紋をつくるのを
ずっと眺めていたくなる
そのとき横にいてほしい
おだやかな湖面のようなひと
湖面の下
深く深く
どんな想いを沈めてきたのだろう
深く深く
私は知らない
深く潜ったぶんだけ
湖の色は美しい
正直であればあるほど
きれいごとのように
澄んでいく水
それでいい
それがいい
私は時々、帰りたくなる

麻佑子
#詩 #湖