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お化けと愉快な仲間たち

嘘か本当か知らないけど、うちの実家はお化け屋敷で、私も学生の時まで霊感があって、私たち家族はかなり頻繁にお化けとの遭遇をした。

まずは私の部屋。

高校生のときのある夜、夜中の3時ピッタリに目が覚める。時計を確認して「あー、3時か」と思うと同時に耳元で女の子が笑う声。特に怖いとも思わず「ちょっと耳元で笑うのやめてよ」と手で払うと、「やめてよ」と真似をする。「真似するな」と言うと「真似するな」と笑いながらからかってくる。

ブチ切れた私は耳の回りでブンブン手を回して、お化けに平手打ちを喰らわそうとする。すると、耳元でしていた笑い声が、黒い影とともにスっと足元に移動。すると、脚が重くなって、段々と腹に重さが移動し、顔まで何かが迫ってきた…と思った瞬間に、気を失った。

気がつくと、私は自分の家の天井をつきぬけ、大気圏すれすれの所まですごい勢いで飛びあがってきたようだ。「あ、幽体離脱」の「脱」位のところで今度は急降下し、眺めを楽しむ間もなく自分の体に帰ってきた。

それが一度目のお化けとの遭遇。


二度目は隣の部屋にいる妹。

気が強いので有名な妹だけど、何故か夜中に起きて、母親のベッドに寝に行くことが増える。

理由を聞くと、夜中に目を覚ますと、鎧を被った武士のような出で立ちの男がじっと妹を見下ろしているらしい。めっちゃ嫌やん。

で、怖いので、母親の部屋に逃げる。

その後も妹はずっと付きまとわれていたようだけど、気づかないフリをして過ごすことが多かったそうだ。


三度目はイッヌ。私も妹も家を出た後のことだ。

私が飼っていたミニチュアシュナウザーのネオは、実家に養子に行った。1階から2階まで自由に動き回り、自由気ままに暮らしていた。中でも今では物置小屋と化した、妹が使っていた部屋を気にしてるのか気に入っているのか、いつもそこでゆっくりしていた。

ある夜、母親が自分の寝室に寝ていると、いつものように妹の部屋で寝ていたネオがめっちゃ吠えたらしい。そして、すごい勢いで母親の部屋にかけてくる足音が聞こえた。普段からネオが出入り出来るように寝室ドアは開けてあったので、そのうち入ってくるだろうと思っていたら、ネオが寝室に入る直前にバタンとドアが閉められた。

そりゃ、ネオ慌てるよ。ドアをガリガリして開けろ開けろと大騒ぎだったらしい。母親が開けてやると、飛びついて来たそうだ。

そんなことがあったのに、ネオはしょっちゅうその部屋に行っていた。なんなの?ドMなの?


四度目は、霊感の強い友人。

自他ともに認める霊感の強い友人が我が家に来た。どうやら妹の部屋が例の通り道になっているという。誠か?

ちなみに、その友人が来た時にはネオはもう死んでしまっていなかったが、友人が言うには、妹の部屋に武士と一緒にネオが住んでいるらしい。様子を想像してかなり笑ってしまった。

そして、ネオが生きているころ、外にも柴犬が居た。ネオと折り合いが悪く、玄関先でネオとよく喧嘩をしていたクリス。

ななななんと、友人が言うには、そのクリスまでが妹の部屋にいるというのだ。何をしとるんだね、君たちは。

しかもクリスは外犬じゃないか。

友人が言うには、クリスは生きている時は家に上がると怒られたけど、死んでから自由に室内で過ごしているらしい。そして、武士とネオと共に実家を守っているらしい。マジか。

そう言われると思い出す。暑い日にクリスをクーラーの効いた玄関の中に入れてやって、首輪を外しておいてやり、母親が仕事にでかけると、多分こっそりと家の中を徘徊していたんだろう。忘れ物を取りに、母親が帰ってくると、ドリフトで走って玄関に戻ってくるクリスの足音がしたそうだ。笑えて責める気にはならなかったそうだけども。

よかったやん、今みんなで仲良くしてて。ちゃんと、実家を守ってくれな。


嘘か本当か分からないけど、こんなに笑えるお化け屋敷が果たして他にあるのだろうか。

たまに実家に帰ると、今はすっかり片付いて、母が仕事に使っている、妹の部屋を感慨深くみてしまうのである。

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