お相撲とって、離婚した話。

ついさっき、夫のヒデちゃんと

「離婚相撲」をとって、離婚した。

(これを書きはじめたのは6月23日深夜2時) 


正確には、私たち独自の離婚の儀「離婚相撲」を執り行った。

月明かりの深夜、公園の芝生の上で2人でお相撲をとって

婚から離れた2人は、ただの2人になった。



今回の離婚までの日々は長い長い、暗闇の迷路みたいだった。

どこにも出口がない。


ケンカからの一連の離婚騒動を何かに例えるとしたら、それは「人工地震」

自分たちでは予期できなかった力学が働いて地震が起きたかのような。

人工だろうが、自然だろうが確かに地震は起きて

揺れに揺れて、亀裂が入って、ぶっ壊れた。

で、これはなんだったんだ??


2人がコミュニケーションを取り戻すまでに3ヶ月かかった。

気が狂うほど、長かったし、苦しかった。


ずっと、2人の間の空気は張り詰めていて

ケンカがなかなか終わらなかった。

お互い辛い。

でも、お互いに心の扉を開ける気にならない。


愛を表現できないことがこんなに辛いことだったなんてね。

愛って大したことじゃない

空が綺麗だねって言えることや

これ美味しいねって食べることや

目があって笑うこと

そんな日常の超些細なことに愛は散らばっている。

それを感じて素直に表現できたり、分かち合える相手がいるって

なんて幸せなことなんでしょう。

「与えてもいい」ということの嬉しさ。

愛する対象がいるということで、私たちはかなり救われているんだろう。

それを思い知った。



私たちは婚姻届を出していない、いわゆる事実婚夫婦だった。

なので、離婚届が存在しない。

(届出というのは2人の共同作業で、儀式として大事なのかもしれないと今は思う)


2人の間で離婚が決定的になってから

私は、離婚した実感がわかないまま漂っていた。

何か区切りをつけないと先に進めない。

それで一度、彼に提案した

ま「お相撲取るのはどう?」

ヒ「いや、まじでそういうの無理」

前回聞いた時は、2人の間が険悪で深刻で、とてもお相撲どころではなかった。



それから月日が経って

私は離婚する自分自身や2人をようやくゆるすことができた。



その直後から、何かが少しずつ緩み始め

いろんなタイミングが重なって

もう一度、2人で話すチャンスがやってきた。


夜のファミレスで

お互いの心の扉を少しずつ開けていく。

隠していた喜怒哀楽が溢れてくる。


やっと、コミュニケーションが取れた。

ちゃんと、届くし、返ってくる。

それだけで、まじで嬉しい。


そんな時にもう一回聞いてみた

「ちゃんと区切りをつけたいから、離婚のお相撲取るのはどう?」

すると彼は

「・・・いいけど。」

と言って、今回は受け入れてくれた。

いいの!?

え、本当にいいの!?

嬉しい!念願の!お相撲取れる!!

よくわかんないけど、テンションがぶち上がった。

「じゃ、今からいく?」

まさかの彼の提案、スピード感あるぅ。

そして私たちは、一番近くにあった公園に向かった。


言葉にできないこと

もやもや

なんでなの?

これでいい

疑い

信じる

大嫌い

大好き

まゆの中に渦巻く感情


なんで離婚したのかと聞かれても、理由はよくわからなかった。

だから、その非言語の領域を表現して表に出さないと

まゆの体も心も離婚を納得できなった。


深夜の公園で、芝生を探す男女が2人。

池があるから、池から近いと危ないね〜などと言いながら。

「ここいいんじゃない?」

ついに場所が見つかる。

月明かりの下で向き合う2人。


まゆ行司「ひがぁ〜し〜、まゆの〜やぁ〜ま〜」

まゆはとっさに四股名(しこな:力士ネーム)を「まゆの山」にした。

ま「君の名前は?」

ヒ「・・・西、カヤノ山。」

(え、「山」被っとるやん!!!〜海とか、〜里とかさ、もっと四股名のバリエーションあるじゃん!なんで山なの?まゆは苗字が山倉だから山ついてても自然だけどさ、ヒデちゃんはもっと別のでもいいと思うけど。でもここで揉めてもしょうがないから、まあいいか。てかさ、西じゃなくて「にぃ〜し〜」って本格的に言ってよ!こういうのは雰囲気が大事なんだからさ)

1秒くらいの間にめっちゃ色々思ったけど、気を取り直して。

まゆ行司「にぃ〜し〜、かや〜の〜やぁま〜」

「これより、離婚相撲を執り行います。真剣一本勝負です。両者、想いを真っ直ぐにぶつけ合ってください。」

「見合って、見合って」

「それでは、はっけよ〜い・・・

のこった〜!!!!!!」


両者、掴み合う。

お互いに一歩も引かない。

もつれて、もつれて、そして

ドシン!!!!!

(ただいまの決まり手、まゆの山の寄り倒し!)


公園に倒れ込んだ瞬間

めっちゃ泣いた。

それは今まで流したことないような透明な涙だった。


かろうじて形を保っていたものが一気に崩壊して

まゆは丸腰になった。

ヒデちゃんの体温が、皮膚を通して伝わってくる。


よかった

生きてた

ここにいた


離婚のためのお相撲だったのに、

めちゃくちゃ安心して、帰ってきたような気持ちになった。


ただいま。


結婚しようが離婚しようが、彼は私のホームだった。


君がここにいて、うれしい。


今はその気持ちを大事にしよう。


さっきまで出ていた月は雲に隠れていて

芝と砂利の感触とウシガエルの声。

婚から離れた「ただの2人」は

芝生に倒れたまま、しばらく闇の中で動かなかった。


「また、はじめましてからだね。」

この時に、離婚は終わりではなく、始まりになった。

ダメになったのではなく、お互いを大事にできる関係を探すための離婚。

車に戻ると、6月23日0:00。

新しい章のはじまり、はじまり。



ここ数ヶ月、離婚で大荒れで、元気が出ないし動けない中

周りのみんなにはとても助けていただきました。

この場を借りて、本当にありがとう。


新しい関係性の名前はついていませんが

2人の関係に風が通ったことをお知らせします。


今後も農業は一緒にやっていくし、

お互い大切な存在として新しい関係を模索していきます。


改めて私も、私自身の表現を重ねていく所存です。

変わり続ける2人ですが、これからもよろしくね。


山倉麻由美


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