竹迫 麻裕子

人生という旅の中、家族という船に乗って生命の終息を目的地に出航しました。生活とは、自分…

竹迫 麻裕子

人生という旅の中、家族という船に乗って生命の終息を目的地に出航しました。生活とは、自分とは、夫婦とは、アスリートの妻とは、親とは。クエスチョンがなくならない毎日の、頭と心のおかたずけ。

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夫はプロデビュー以来初めてリングに沈み、しゃくりなく私は1人、娘を抱きしめながら過去の自分とさよならをした。

私はとても不真面目な性格だった。 中学校に勉強をしに行った事もなければ、せっかくお金をかけて入れてもらった私学の高校までもをたった4ヶ月で中退した。中退をした理由など特にあるはずもなく「だるかったから」など中身が空っぽだと物語る、お決まりのセリフしかでてこなかった。 兄も姉も、大学までまともに進学させてきた母は異端児の誕生に困惑していた。 その頃の母は私に、よくこう言っておどけて見せた。 「ゲームをやってもいい?  ときいてダメというと、やらないのが姉。  ゲームをや

    • こちら側からあちら側へ、また船をこぎだすまで。『竹迫 司登、再起』2

      竹迫、再起を果たしました。あの初めての敗北から6カ月がたちました。またリングに上がってくれた夫、ユーネクストをご視聴くださった方、現地観戦くださった方、応援くださった方、皆様ありがとうございました。 ◆絆の中身。 やると決めてくれたので晴れやかな気持ちで帰国した。初めてこちら側にきて失ったものも多くあったがそれと同時に得たものの方が大きく、幸福感が来た。まだボクシングは伸びしろがたくさんあるのだ、逆にあそこまで国内の練習だけで応戦したオフェンス技術は揺るがない自信にもなった

      • こちら側からあちら側へ、また船をこぎだすまで。『竹迫 司登、再起』1

        初めてこちら側に来た。デビュー以来すべての対戦相手を追いやってきたこちら側に。 負けるまで知らなかったこちら側の世界で私たちはたくさんの学びを得た。失うと怯えていたのに、失ったものはたった一つの「無敗」という称号だけだった。 ----------------------------------------- ◆こちら側から見た世界夫が起き上がり担架に乗せられている。歩けると伝えると車いすが用意された。どうやら歩かせてはもらえないらしい。初めての海外試合、初めての緊急搬送

        • 生後4ヵ月の愛娘の代わりに生ごみを抱く父。

          「生まれて4ヶ月、一度も旦那は娘を抱いた事がないんだよね」 娘が同い年でママ友になったAさんが言った。お互いの色んな事も話せる心地よい距離感が程よく定まってきた時のこと。 「なんでなん!?」 変な声がでた。生まれて初めて驚きで声がひっくりかえる。 子煩悩な旦那さんで家族サービスや、一人でふらっと子供服を選びにいくのが最近の楽しみらしいう話を聞いていたのに。まさか自称イクメンパパ? 「嫌な臭いと菌が体にまとわりついてて抱っこできない、見てるだけでいいって言うんだよね。

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        夫はプロデビュー以来初めてリングに沈み、しゃくりなく私は1人、娘を抱きしめながら過去の自分とさよならをした。