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A is B について 第2文型小論

ちょっとばかり英文法の話。
第2文型のA is B. に関してだが、ざっと5パターンあるかと思う。

1)AとBが同一である場合。
2)AがBに含まれる場合。
3)Aと最も関連のあるものがBになる場合。
4)A is B.で、BがAの比喩になる場合。
5)A is B.で、A is not Bの意味になる反語の場合。

3)4)5)では、AとBは同一でなく、AがBに含まれるのでもない。また3)4)5)は状況依存や文脈依存の度合いが強いと思う。以下、それぞれを検討しよう。

1)AとBが同一である場合。
My husband is Tom.という場合、一夫一婦制ならば、my husbandとTomは同一で、Tom is my husband.にも書き換えたとしても、その論理的意味合いは同一だ。AとBの関係性はA=Bであって、B=Aにもなる。

2)AがBにいわば含まれる場合。
Tom is a man. という英文で考えるならば、Tomは(一人の男性に含まれる、ではなくて)男性なるカテゴリーを構成する一要素と考えられる。つまり、Tomは男性カテゴリーに含まれるのだ。この場合は、AとBを逆にしてA man is Tom.というふうにはできない。

3)A is Bで、発話場面でAに最も関連のあるものがBとなる場合。
例えば、食堂でウェイトレスが3人相席の客に3人分の料理を運んで来た時に、客はそれぞれ 'I'm the hamburger.' 'I'm the cheeseburger.' 'I'm the unagi.' といったふうに、'I'm the 注文した品' とする。同一でなく、含まれるのでもない。いわゆるウナギ文の英語版と言えそうだ。この話は謎解き英文法でも扱われている。I'm the hamburger. という例文も、そこから拝借した。他にもこのパターンはあるそうだ。

4)A is BでBがAの比喩になる場合。
辞書にはこんな例文があった。Her last movie was an absolute dog. この例文では、dogは低品質の失敗作を表す比喩だ。ただ、ここにはある種の種差別がありそうで、昨今のペットブームの時代には使われにくいかもしれないが。

この例文の比喩はわりと微妙で、映画と犬は性質も形状も類似していない。例文は提喩でも換喩でもない。しかし比喩と言えるかと思う。この例文の比喩とは何か。

多分、犬といえば町を彷徨うガリガリに瘠せて毛並みの荒れた野良犬で、人々から汚いとされて忌み嫌われていた。それが零落した敗残者の姿に重ねられて、それで Her last movie was an absolute dog. のような、dog=failure となったのではあるまいか。movieとdogは形状や性質が似るのではなく、ましてや例文が提喩や換喩でもない。そうでなく、ランクが並ぶのだろう。即ち、野良犬は町を行く生き物の中では最低ランクであり、例文の映画も最低ランクなのであり、その意味で比喩となる。

5)A is Bで反語になる場合。
'Of course Michael won't be late. You know how punctual he always is,' she said with heavy irony. この文では、he is punctualとしながら、文脈から本当は he is NOT punctualと言っている。

以上、第2文型A is Bについて考えてみた。


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