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まよひが企画が出来るまで

まよひが企画のはじまりと由来

まよひが企画という名前は美術の大学で「地域振興」をテーマにデザインの研究をしていた僕が、表現活動をするために作った屋号です。大学の入学後2005年くらいから使い始めました。

学生の当時から、人口ゼロの廃村おこし、店員に話しかけたくなる物産館、未婚の高齢者がお金がなくても甥や姪に残せる詩的遺産の形成など、未確認生物の6次産業化といった、従来の地域振興の主流とは少し外れたところにある、アート表現と地域活性化の合間に存在するようなプロジェクトを実践していました。その時の屋号が「まよひが企画」です。

まよひが(読み:まよひが)は、岩手県の民話「遠野物語」に出てくる「迷家」からいただいています。山奥で道に迷った人たどり着く、見つけると幸せになれる家です。ただ、幸せになるには2つ条件があって、迷わないと見つからない、その家から勝手に何かを盗んで来ないと幸せになれないと言われています。その家が心地よくて居ついてしまうと、神隠しにあってしまうとも・・・ちょっと怖いお話ですが、僕にはこれが地域振興をしていく上で大切にしたいと思っている要素と重なり、屋号にすることに決めました。その理由はこの後お話しします。

現在の地域振興サポート会社まよひが企画はこうして生まれました。

まよひが企画の定義する地域振興とは何か

地域振興は、まちおこし・地域活性化・地方創生などなど、様々な呼ばれ方をしていますが、研究・仕事をしていく上で次のような定義を設けています。

地域振興は現在その場所に住む人が幸せを実感するために行う活動である。※働く人も含む

ゆえに、特産品が売れるようにすることも、観光客が増えることも、定住人口や関係人口を確保することも、全てはその地域に住んでいる一部の人が幸せになりたいという目標も元に選択する手段と考えているのです。あえて一部の人と書いたのは、ひとつの事業や施策で全ての人が幸福になるわけではないからです。いくつもの地域振興を行うことが望ましい状態です。

まよひが企画では自分たちが住んでいない地域の地域振興も手がけています。それは、その地域の方から依頼が取り組もうとしている活動を実現するためのお仕事として参加しています。弊社が地域振興会社ではなく、地域振興サポート会社と名乗っているのは、住む人が幸せになろうとする活動のお手伝いが業務内容だからです。

さて、「まちおこし」と「まちづくり」という言葉も存在しますが、実はこれも分けて定義を考えていますので、そこについてはこの記事のおまけの部分でご紹介します。

活動理念「非主流地域振興」とは

非主流地域振興とは、まよひが企画が地域振興の活動を仕事にする中で最も大切にしている活動の方法論(スタイルや流派みたいなもの)です。

スタイルをどう分類しているのかというと、大きく3つに分けています。

・主流・・・・過去に成功をおさめた事例の成り立ちを研究し、その過程の引用・再現によって同様の結果を目指す方法・反主流・・・これまでなかった新たな目標を設定し、到達までの道のりも自ら開拓する方法。これをイノベーションとも云う。・非主流・・・成果を出している事例の結果(現在の状態)のみを参考にし、そこまでの過程(道のり)を自分たちで開拓・構築する方法

以上のように分類しています。これはあくまでもスタイルの分類ですので、どれが悪いといったものではありません。反主流で成功を納めた場合は、それが後の主流の参考事例になります。また、非主流に至っては主流・反主流の成功事例がない限り存在するしないことになります。

非主流は競争相手が多い分野に後発参入する際や、他と協調を計りながらも差別化をしたい場合に有効です。すでにブームが終わってしまったような事業(例として2013年ごろがピークのゆるキャラブームに、7年経った現在で新規にキャラを作りたい時など)に今更着手しなければならなくなった担当の方には、間違いなく参考になる方法論です。

まよひが企画は革新的な提案をする地域振興のサポート会社ではありません。目指したい成果、目指したい状態、追いつきたい相手がいる状況において、クライアントが持っている資源と資産と社会環境を加味してゴールまでの道のりを考える事に得意としている会社です。環境も資源も違う地域が同じ道のりででゴールを達成することは難しいことです。だからこそ、自らにあった方法に迷いながらも選択することを、まよひが企画ではお手伝いしています。

選べる未来を目指して

地域振興は急いで何かしなければならないに囚われ過ぎることが、一番不幸を生み出しやすいです。何かを急いででやらなくてはいけないと焦り、成功事例の手法を安易に模倣しても、結果的には時代や資源の違いが失敗要因になってしまう可能性が高いからです。ただの失敗だけならまたチャレンジすればいいのですが、その失敗で地域に住む人の自尊心が傷つき、次も失敗するだろうという発想に陥ってしまうと、さらに不幸な状態になってしまいます。しかし、悠長に何も手を打たず先延ばしにすることも、また不幸への道筋になってしまいます。

いまここでナニかをはじめるために、まよひが企画では非主流の発想を用いて、主流以外の道のりを提案することを目指しします。そして、何を選択するのか迷い、考え、選択してもらうことを大切にしています。

1つしか道が存在しないために仕方なく、または嫌や嫌やその方法を選択すると、何か障害があった時に、乗り越える力が発揮できません。しかしながら、2つ以上の道を提示した場合は、人はどちらがいいのか未来を想像しながら自分たちに合った方法を選ぼうとします。ゆえに、困難な状況も想定し向き合える逞しさが、選択を通して生まれるのです。

まよひが企画では、この自分たちが歩む未来を想像して選択肢を選ぶことを「迷い」と呼んでいます。迷いはけして悪い状況ではなく、自分がどんな困難にぶつかるのか想像し対策を考える当事者意識の生産行動です。迷わなくてはたどり着けない幸せになれる家「まよひが」を屋号にしている理由は、まさにこの迷うことの大切さを伝えたいからなのです。

そして、まよいがの伝承にあるもうひとつの幸せになる条件、何かを盗ってくること。これは、辿り着いたゴールで安住するのではなく、その中から大切な要素を一部だけ次の世代に託すことと考えています。

全てを引き継ぐのではなく、一部だけを次世代に渡し、あとの部分は自由に使える余白として後進たちの想像力に任せ委ねること、これが持続可能な幸せの循環を産みだす答えだと考えています。

非主流を駆使し、迷える選択肢を提案するまよひが企画の目指す地域振興は、選べる未来を自由に迷えるという幸せです。

<有料おまけ記事>まちおこしとまちづくりの違い & ホラーを屋号にする意味を書きました

(おまけ)「まちおこし」と「まちづくり」の違い

地域振興の中には当然「まちおこし」も「まちづくり」も入っているのですが、この2つは分けて考えると理解しやすいです。

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なんでそんなことをしたの?の疑問に答える舞台裏の話をコラムにプラスしてお届けします。

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