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わたしが応援する会社-豆香房-

眠たくても勉強しなくてはいけないとき
大事な試験に臨むとき
仕事に煮詰まって、気分転換したいとき
疲れている大事な人に、一息ついて欲しいとき
立ち止まって、何かを深く考えるべきとき

思い返してみると、私の人生は、一杯の珈琲にずいぶん助けられてきました。

そんな私に珈琲のすばらしさを教えてくれたお店は、豆香房さんです。
二十歳を過ぎたばかりの私が、就職活動の一環で、水道橋の大手予備校に通っていた頃、ふと入った小さな裏通りに豆香房さんは佇んでいました。

印象的だったのは、看板に書かれた、朝・昼・午後の珈琲のメニュー表。
一日に三種類も違う味の珈琲が楽しめるなんて、珈琲好きの人には堪らないですよね。
でも、その分高いんだろうな、なんて思いながらちらっと表に出ているメニューに目をやって驚きました。なんと、Sサイズの珈琲の値段は150円くらいだったのです。(ホームページを見ると、現在は日替わり珈琲のSサイズは230円に値上がりしたみたいです。けど、今の値段でだって破格だと思いませんか)

アルバイターの私にもこれなら手が届く、と私は恐る恐る豆香房さんの入り口の扉を開きました。

小さなお店に漂う珈琲のいい匂い。ショーケースの中にあるサンドイッチやプチデザートもお手頃価格で、美味しそうなものばかりです。

私はちょっと緊張しながら、日替わりの珈琲を頼みました。午後の珈琲が間もなく手渡されて、普段、珈琲には絶対にミルクを入れる主義だった私ですが、せっかくだからと一口、ブラックで飲んでみて驚きました。

苦いだけじゃない。複雑な味がする。美味しい。
一口、また一口と飲んでみて、気が付いたらミルク無しで初めて一杯の珈琲を飲み切っていました。

それから、珈琲チケットを買って、予備校がある日は毎日、時には一日二回、美味しいコーヒーを求めて、豆香房さんを訪れました。店員さんは親切ですが、お客さんとの雑談は必要がなければしない方針のようで、変に構われないのが、私には心地良かったのを覚えています。カウンターだけの小さなお店で椅子も机も長居するようには作られていなかったので、べたべたする接客をしないのは、長居する客を作らないための工夫だったのかもしれませんが、無視するのではなく、放っておいてくれる。そういうのも大事だな、と目からうろこが落ちました。

予備校で一生懸命勉強した甲斐があって、無事に試験を通り、公務員になってから、神保町のお店と、神田のお店にも足を運んでみました。
そこには水道橋店と同じゆるやかな時間が流れていました。

商品が安くても、狭くても、工夫次第で心地よい空間は作れるし、すばらしいものを提供できる。

それを体現したかのような豆香房さんに、いつまでもあって欲しいと(欲を言えば、家の近所や、職場の近くにあったら最高なのに)と願います。

豆香房
https://mamekobo.com/

神田を中心に四店舗を構えるコーヒー屋さん。通販で売っている豆もとても美味しそうです。

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