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MayLee

以下には幼少期の出来事について曖昧な記憶とフェイクを混ぜながら文章に落としていく。半分実体験で半分虚構である。もう失われてしまったものを懐古しているから記憶の捏造もあるかもしれない。そこらへんは多めに見てほしいところである。 


1. 疾患の発覚 

幼い頃から自分は身体が悪いと思いこんでいる。大袈裟にいうとミュンヒハウゼン症候群のようなものである。ミュンヒハウゼン症候群とは簡単に説明すると仮病で同情を得ることがやめられなくなってしまう心の病だ。心の病だと断定できないのは、実際問題、先天的な疾患を患っているからである。育ちは緑溢れる田舎町で、健やかに暮らしていた。のんびりと過ごしていた幼少期終盤、両親から信じられない話を聞いてしまった。

あなたは身体が悪いから手術をしなければならないの

何を言っているのか理解ができなかった。病院に行った記憶も無ければ、医者に病気について聞かれた記憶もなかった。半ば嘘だと思っていた。田舎とは言えども近所には大学病院があったからてっきりそこで治療かなんかするもんだと思っていた。予想は大きくハズレた。


2. 困惑の入院

 カミングアウトから何日もせずに何故か都会の大きな病院に連れて行かれた。近所に大学病院があるのにだ。意味がわからなかった。診察や検査などを済ませて、何がなんだかわからぬまま入院することが決まった。左手に白いリストバンドを付けられ、右手の薬指に点滴を繋がれ、点滴を弄らないように右手を包帯でぐるぐるに巻かれた。点滴の繋がれた数人のお兄さんたちと同じ部屋でカーテン越しに空間を共有にすることになった。数本のVHSと専用のモニターを自分のベッドで好きに使って良いと言われた。となりのトトロを見た。もしかしたらとなりのトトロはDVDだったかもしれない。家や幼稚園では何をするのにも誰かと共有だったり、争いがあったり、したのに病棟では自分のワガママを聞いてもらえた。ナースコールを押せば看護師がかまってくれた。病棟はVIP待遇で楽しいなぁなんて思った。この考えは甘かった。夕食後、ベッドで寝ていて起きたらさっきまでいた両親がいなくなっていてパニックになった。生まれて始めて両親と離れ離れになった。その日から親と会う時間には制限があることに気がついた。

3. 大洪水

それからというもの、面会時間が終わり夜になると親が帰ってしまうので泣きじゃくる事しかできなかった。それも親が病棟をでるギリギリまで泣かないように耐えて、ベッドに戻って何かのアニメOPが流れる頃にこっそり大号泣していた。看護師さんに沢山慰めてもらった。病棟で暇にならないようにと何故か持たされていた車のカタログを消灯時間後に看護師さんと一緒に見ていた。優しさに包まれた瞬間である。実際には点滴の調整の為に上手く処置室に連れて行かれて、ご機嫌取りをしてもらったという身も蓋もない話であった。

慈悲をください、、、!