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異世界へ迷い込んでしまった話−null

00.注意書き

 以下の文章は全てフィクションであり、事実とは一切関係ありません。しかし、この現在の状況と酷似しているので以下は自己責任でご一読ください。当方は専門家では無いため、未知のウイルスに付いては素人の見解です。決して根拠に基づいた話はしていませんので悪しからず。

Stay home, be positive.

と願うばかりである。

0.ナノメートルに奪われたモノ 

 春から都会で新生活をはじめた彼らは生活苦にあるようだ。大前提、労働なしに営みを送ることができない。しかし仕事は自粛要請が出ている今、全くと言っていいほど無い。長期戦になればなるほど、家賃はおろか食費も惜しくなっていく。2016年頃、AIが労働を奪うと謳われていた時期があった。けれども実際はたかが数ナノメートルの未知のウイルスに日常を剥奪されてしまった。

1.檻の中で

 彼等は檻の中でを与えられるのを待っている。誰かにキセイしないと生きていけないである。檻の中でいくら叫ぼうが飼い主がNoといえばそれまでだ。それでいても毎日必ず陽は昇るし、その陽射は心地が良い。生まれ育った故郷に戻りたい。そう心のなかで叫んでいるのだろうか?私には彼がどんな事を思い描いているかなんておおよそ検討がつかない。不安と危機感を除いては。

2.熟成されていくもの

 一般的に歴史は繰り返されると言われている。平和な時代は終わりを告げられてしまった。武器ではなくウイルス兵器である種の戦争が起きていたのだろうか?誰に責任があるとか一概に言えないが、檻の中の我々も、敵も一進一退の攻防を繰り広げている。

3.逆転してしまった世界

 人工密度が高い都会では六畳一間で流れ星を観測して過ごすに他ない。対して彼らは自由人だ。キセイさえできてしまえば彼らのペースなのだから。あまりにも便利になりすぎてしまったこの世界で求められるのは何なのだろうか?そんな疑問をいだきながら私は山の上で人の気配が無いことを確認してありのままの姿になり森へと帰っていった。気づいたらタヌキと化していた。以前は一年365日が盛で赴くがままに、濃厚接触を繰り返しては畑に種を蒔く日々であったのに。と回想した。

4.七変化

  したくても我々タヌキは年中発情期とはならないのである。一般的には2月下旬から4月に交尾をして、5月から6月に4〜6頭の仔を産むと知られている。一夫多妻であり、都会でくだらない凹凸のしのぎを削っていた頃と比べるとかなり穏やかな暮らしだ。けれども七変化してしまった。僕らは外界には戻ることはできないのである。特定の住居を持つわけでもなくその日暮らしキセイをしてやりくりする事となるだろう。

5.得たもの失ったもの

 彼らだけでなく、私達にとっても森の中で暮らしていくのには十分すぎた。春に成れば性行為に勤しみ、一夫一妻制でたまに群れをなしてすごしていった。今まで感じていた孤独やコンプレックスは全て解消されていった。けれども数ナノメートルのウイルスはいつか突然変異をして再び襲ってくるとは知らずに、

のほほんと、のほほんと、すごしてしまった、、、。

また彼等が襲来するとは知らずに。。。。。

つづく

慈悲をください、、、!