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藤原恭大と唐川侑己が出てくるまで帰れま10 #3:新月のトシヤナイト(L-M)

 4月1日は新月だ。なぜ把握しているのかというと、この日から次の新月である5月1日までの間で「ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド/シャイニングパール」にて新月の夜に現れるという設定のあるダークライに会えるアイテムが配信されるからである。

 で、神や仏や宇宙人などなどと並んで私が信じているものの一つに「黒いやつは強い」というものがある。ダークライにしろ、ケータイ捜査官7のゼロワンにしろ、ローゼンメイデンの水銀燈にしろ、テーマカラーが黒だと強いという刷り込みが強固にある。エヴァの3号機はバルディエルに寄生されてたけど。急になぜこんなことを言い出したかというと我らが千葉ロッテマリーンズもテーマカラーのひとつが黒でそれなのに4連敗中だったからであり、ロッテにも強くあってもらわないと困るわけである。



 そんなわけで前置きが長すぎたが、今日の先発は石川歩さん。1か月に2回も開幕投手の登板を見ることができて光栄であるが、前回の広島戦はブチギレそうになるくらい暑かったのに今日はものすごく寒かった。

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 マーティンなんてこんなんなっていた。


 気温も低かったが、試合の展開にも冷や冷やした。1点先取こそしていたがその後はチャンスがあってもなかなか点が入らない。8回に犠牲フライで追いつかれたものの、まだ同点である。希望はある。大阪桐蔭みたいに18点取れとか贅沢なことは言わないので、本当に言わないので、頼むからあと1点がほしい。

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 9回表、同点の状況ながらクローザー登場。どうでもいいけど、寒くはないんですか?? いや肌の感覚が変わるのを嫌ってアンダーシャツを一切着ないという理由なのはわかるんだけど、見てるこっちが寒くなってしまった。しかも今夜のまっすーはなかなかストライクが決まらず塁を埋めてしまい、肝まで冷えた。

 さらにこの日私は雪見だいふくサブマリンシートにいたのだが、この席で前に見たまっすーはマジック点灯をかけた試合でT-岡田さんに逆転スリーランホームランをぶち込まれたまっすーであった。嫌な思い出ばかりがよぎる。この席好きなのに。益田直也の記憶を払拭できるのは益田直也しかいないわけである。

 ただ今夜の彼はあの日とは違っていた。最後は三振に打ち取り、結果的に無失点で切り抜けた。よかった。


 9回裏は増田さんが登板して、「クローザーますだ」対決だなぁとか呑気に思っていたら攻撃が終わっていた。延長戦突入。

 
 試合が終わった後で何を言っても誰でも言える結果論にしかならないのだが、今夜の勝利を導いた伏線はこの終盤に確実にあったと思う。9回のまっすーにしろ、10回のゲレーロ(相変わらずデカい)にしろ、決して調子が良かったわけではない。しかしバックの守りが何度もピンチを救った。あまりにもファインプレーが多かった。凌いで凌いでひたすら凌ぎ切って、それが10回裏にようやく結実した。


 先頭バッターは髙部くん。「べーたか(こんな呼び方は一度もしたことがない)がスタンドに入れて終わらせてもいいのだよ」と思いながら観ていると、スタンドインはしなかったがきっちりヒットを打ってくれた。次は我らが藤原くん。ゲッツーでツーアウトランナーなし。普通なら間違いなくそうなっている打球だった。ところが今日は「普通」ではなかった。あの名手がエラーをした。五度見くらいした。皆既日食なみに珍しい。逆に貴重な瞬間である。 


 野球の神様がこちらを向いている。この機会を逃したらもう今日は二度と勝てるチャンスは来ないのではないか、と思った。キャプテンがバントで進め、マーティンは申告敬遠で一塁へ歩き、としくんに打席が回ってきた。


 なんとなく今日試合を決めるのは彼しかいないという気がしていた。ほぼ1年前の世にいう「ヒロミナイト」の現場で感じたものとまったく同じだった。1アウト満塁、フルカウント。ヒットとかじゃなくてもいい。あとボール1つがほしい。なんでもいいからあと1点がほしい。「この1点を、つかみ取る。」は去年のスローガンだが、スローガンが変わったからといって今年はこの1点をつかみ取らなくてもいいということにはならない。


 そして彼はライトへ文句のつけようがない犠牲フライを放った。あまりにもミスターサヨナラ。プロ初ヒットがサヨナラヒットだった男はたぶんそういう星の下に生まれている。

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 お立ち台でとしくんは「今日は自分の日です」と言った。彼があんなプレーやこんなプレーをしていなかったら、恐らくこのサヨナラ劇は生まれていなかったかもしれない。打てなくても点が入らなくても、守って凌いで最後に相手より1点でも上回れば勝てる。それは確かに強いチームの勝ち方なのではないかと思う。

 私は間違っていなかった。やっぱり、黒いやつは強い。

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