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【フリーランス保護法】中途解除の事前予告30日前の運用や、育児介護が配慮される継続的業務委託となる期間はどうなる?0594/1000

前回に引き続き、2023年4月に成立し、来年秋から運用される予定のフリーランス保護法、正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」についてです。

フリーランス保護法の各条文にある、「政令で定める」「省令で定める」とある部分を詰めていく議論が現在行われていますが、今回は、契約の中途解除30日前についての詳細と、フリーランスがさらなる保護の対象となる、継続的業務委託の期間についてです。

1.契約の解除は少なくとも30日前まで、が法律

続けて請け負っていた契約を一方的に解除されると、フリーランスとしてはもちろん困ります。

そうした契約解除がなんの対応もできないまま急にされることを制限するために、フリーランスの第16条では、
「特定業務委託事業者は、継続的業務委託に係る契約の解除をしようとする場合には、当該契約の相手方である特定受託事業者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、少なくとも三十日前までに、その予告をしなければならない」
としています。

また、
「ただし、災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合その他の厚生労働省令で定める場合は、この限りでない」
ともされています。

30日前まで予告するその方法と、その予告の対象外となるやむを得ない場合とが、厚生労働大臣による省令で決めるべく、話し合われています。

この問題については、発注者側からのヒアリングで、フリーランスとひとまとめにできない、業種によってかなり異なる意見が述べられています。

・現場で口論等のもめ事を起こした場合、予告なく切ることがある(建設)
・年に数回は当初の予定から数ヶ月ずれ込むことがある、ずれ込んだ分の費用が1ヶ月先まで担保できないことも(放送)
・ドライバーと連絡がとれなくなりLINEも通じない、予告をしたとみなされるにはどうしたらよいか(運輸)

また、芸能関係のフリーランスからは、1年以上前から決まっている仕事が多いので、業界として90日前キャルセルで50%払いを求めているのに、法律で30日前だからとされるのは困る、という意見もあります。

このあたりの個別のケースを省令でひろい、現実とのクッション材にする必要がありそうです。

2、育児介護への配慮義務が必要な継続的業務委託とされる期間はどのくらい?

第13条には、こう記されています。

特定業務委託事業者は、その行う業務委託(政令で定める期間以上の期間行うもの(当該業務委話に係る契約の要新により当該政令で定める期間以上継続して行うこととなるものを含む。)に限る。以下この条及び第十六条第一項において「継続的業務委託」という。)の相手方である特定受託事業者からの申出に応じて、当該特定受託事業者が妊娠、出産若しくは育児又は介護と両立しつつ当該継続的業務委託に係る業務に従事することができるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をしなければならない。

つまり、内閣で定める政令で決められた期間、つまりある程度長く行なう業務や、契約を更新した結果長期間になった業務について、発注側に、フリーランスの育児介護について配慮を義務づけたものです。

育児介護があるからといって契約をきられたら、フリーランスは困ります。

とくに、反復継続して、そのお仕事がメインの生活費になっている場合は死活問題です。

データをみると、主な取引先との契約期間は、1ヶ月未満の短期と、1年以上の長期とに大きく分かれていることがわかります。

また、1年以上の長期の場合は、その仕事がすべての収入の大部分をしめたり、他にかけもちする仕事が減るなど、依存率が高いこともわかります。

とすると、この育児介護への配慮義務が必要になる継続的業務委託とは、1年程度になるといえそうです。

ですがそうして明確に時期をくぎると、それなら11ヶ月までの契約にしておこう、という動きを招きかねないことも事実です。

そのあたりにも目配りしての政令ができるか。
確認していきたいところです。

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