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進む道をひろげよう~【本】齋藤孝・射手矢好雄『BATNA―交渉のプロだけが知っている「奥の手」の作り方』

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[どんな本?]

『声に出して読みたい日本語』で有名な言葉と話し方の達人・齋藤孝氏と、ハーバード流交渉術で活躍する国際弁護士・射手矢好雄氏が、考えかたを根っこから変え進む道をひろげる考え方〈BATNA〉(バトナ)の使い方を教えてくれる本。

著者ふたりの担当パートが入り組んでいて、「?」と思う箇所もあるが、立番のちがうふたりの視点があるために、活用方法が分厚い。

BATNAとは、「Best Alternative To a Negotiated Agreement」の略で、「代替案のなかで最良の案」のこと。

自分だけでは解決できない、相手がある交渉ごとを行なうとき、「合意」するためだけに突き進むのではなく、「合意できなかったときはこうすればいい」という道をつくっておくことがBATNA。

「合意」するための選択肢が「オプション」、そしてそのオプションを上回るときだけBATNAを選ぶ、という明確なルールもわかりやすかった。

たとえば、いまの職場環境がつらく改善したいとき。
オプションとして収入の確保ライン、労働時間の認容ラインをきめておく。
BATNAとしていまの仕事をやめ、転職するか企業するかを考える。
オプションの条件を超えるときだけBATNAを選ぶ、というように理解した。

[なぜ読んだか?]

長時間労働が続いていまの仕事のことしか考えられなくなっている、自分の視野狭窄に喝をいれるため。

[読んで得た気づき]

BATNAは用意するだけで発動しなくてもよい。

BATNAを用意しておくことで気持ちに余裕ができて目の前の仕事をポテンシャル高く行なうことができ、めざす問題解決に一歩近づけると思った。

また、同様に紹介されている弁証法(思考の前提を変え、対話・統合すること)も現実につかえる。

たとえば、テーゼ(円である)→アンチテーゼ(長方形である)→ジンテーゼ(円柱である)。

自分が「ありえない」と思っているところにも、選択肢はあると思えばあるかもしれない。

[今からどうアクションするか]

・つねに行きたい方向に行けなかったときどうするかを考えるクセをつける

・転職活動をゆるゆると行っておく

[3ヶ月後にはどうなっていたいか]

・どんな課題にもBATNAを当たり前に考えられ、つねに気持ちにゆとりがある状態になっている

[惹かれたフレーズ]

「ハーバード流交渉術」では、大前提として自分と相手の〈利益〉、つまり「そのオレンジを手に入れてなにをしたいのか」を考えます。自分は果実でジュースをつくりたいかもしれないし、相手はマーマレードをつくるために皮の部分がほしいのかもしれません。
ならば、皮の部分は相手にあげて、中身は自分がもらえばいい。簡単にいえば、これがお互いの〈利益〉に向かって交渉を行なうという意味です。

*本の情報:プレジデント社、発売日 2022/6/28

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