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年末調整がなくなる未来はユートピア?ディストピア?妄想〜freeeの年末調整アンケートから

人事労務・会計ソフトを提供しているfreeeが、年末調整について人事担当者にお悩みや現状などを聞き取ったアンケートを公表しました。

やはりというべきか、いちばんの負担は回収した保険料控除証明書などの書類のチェック。

また、書類の記入ミスやもれなどの修正、本人からの問い合わせの大変さなども、経験したことがあるかたなら、はああと共感のため息をつきたくなるところではないでしょうか。

アンケートに寄せられた声にも、苦渋がにじみます。
「従業員自身が年末調整の重要性が理解できていないため、他人事のようにとらえられている者も多い」
「従業員側の対応で入力が間違っていたり不足書類があったり等、不備が多い」

だから、ペーパレスで回収でき、従業員にわかりやすい設問のために回答ミスが置きにくい仕組みはいかがですか?ということで、freeeがおすすめ、ということになる流れなのですが。

そもそも、これからの世の中デジタル化がすすめば、年末調整の申告は不要になるのでは?と思いました。

年末調整で確認するのは、以下の内容です。
①本人の給与所得額、この1年に支払った所得税額
②家族を扶養に入れている場合は、家族の収入
③生命保険料や地震保険料など、この1年に支払った保険料額
④住宅ローン控除を受けている人は、その分の税額控除

これすべて、本人だけではなく、他の組織ももっている情報です。
①はもちろん本人の勤め先の会社が知っています
②は家族の勤め先からの給与支払報告書や、家族の確定申告で市区町村や税務署は知っています
③も生命保険会社や日本年金機構が知っています
④は確定申告により税務署や、ローンを組んでいる銀行が知っています

これらの情報が、マイナンバー等でぜんぶつながったら?

そのうえ、いまは、年末調整の結果、その年の所得税を払いすぎていたために還付になる人については、会社が立て替えるかたちで従業員に税金を返しています(そして会社が国に納める税金をそのぶん少なくしています)が、それも、国から直接本人の公金受取口座に入ることになったら?

どれだけの人事担当者が助かるでしょうか。
会社にとっては国の代わりになぜかやらされている仕事がなくなり、実質、大幅な減税です。

ですが、同様に、自分で申告している今でさえ他人事感のある人々にとっては、どこかで自動に計算された結果を受け取るだけで、ますます他人事感は増すことは確実です。

国が何かを間違えても、国がこっそり還付する金額を減らしても、チェックが弱くなる可能性があります。

その代わり、配偶者や家族の収入などは確定した金額で計算できるので、今のように12月の給与賞与を見なしで申告するような、どうみても無理のある申告はなくなります。

これははたしてユートピアでしょうか、それともディストピアでしょうか?

ひとつ確実に言えるのは、人事担当者の大きなお悩みが減るということだけかもしれません。

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