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【本】『ジョブ型雇用社会とは何か』①~言葉の定義から疑おう!#0019/1000

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ニュースでよく聞く「ジョブ型」の本来の意味

「ジョブ型」という言葉の生みの親の著者が、「間違いだらけのジョブ型論を一刀両断!」(帯より)した本です。

よく新聞等では、ジョブ型は「労働時間ではなく成果で評価する」というように、成果主義のような書かれ方がされています。

ですが、著者はそれは9割型ウソだ!といいます。

では、ジョブ型とはどういうことなのか。

ジョブ型とは、「まず職務(ジョブ)ありき」で、そのジョブを遂行できる人間をあてはめる形のことです。

ジョブ型と、それに対する日本のメンバーシップ型の違い

ジョブ型では、社員の評価を、ジョブにはめ込む時に「このジョブが遂行できるか?」という意味では行いますが、その後はジョブディスクリプション(職務定義書・職務記述書)に書かれた任務を遂行できているかできていないかをチェックする形になります。

ジョブを特定して雇用し、そのジョブに必要な人員のみを採用して、必要な人員が減少すれば雇用契約を解除する、つまり辞めてもらう。

雇用の際にジョブが特定されているので、そのジョブ以外の労働を命じることができないから、というのがジョブ型です。

それに対して、日本が、潜在能力をふくめ人柄で人を雇用し、仕事がなくなった人は他の部署に異動させて雇用を維持する、という働かせ方をするのは、ジョブ型から考えるときわめて特殊ということになります。

その働かせ方が、長期雇用慣行や終身雇用慣行、いわゆる日本固有のメンバーシップ型と深い関係なのは自明だと思います。

新しい言葉を使うにはその定義からしっかり確認したい

新聞を読むと、つい、「メンバーシップ型は古臭い。ジョブ型こそ新しい働き方だ」というような論調を感じます。

ですが、それも全くのイメージだけの話だということが、この本でよくわかります。

ジョブ型は、なんと産業革命に端を発するのです。

「産業革命以来、先進産業社会における企業組織の基本構造は一貫してジョブ型」ということになります。

戦後日本で拡大したメンバーシップ型のほうが、時代としてはずっと新しいものなのです。

そしてそのメンバーシップ型、「終身雇用・年功賃金・企業別労働組合」は、一時は、非常に優れたものとしてもてはやされていました。

戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析して、日本人の高い学習意欲、日本的経営、日本特有の経済・社会制度を再評価するきっかけを作った、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』などがその例です。

つい最近でも、日本式経営はダメじゃない、として『日本〝式〟経営の逆襲』という本が出ています。

これまでの日本の雇用形態についての話は、今の日本がうまくいっていないということと、かつての昭和的な「飲みニュケーション」や長時間労働がごっちゃになって、多少感情的なものが入っている気がします。

これからの働き方を考えるのであれば、流行り言葉から始めるのではなく、その言葉の定義、つまり、この言葉が指すものが生まれたそもそもの足場、つまり、今の日本の働き方がどういう経緯で作られたか、他国とはどう違うのか、から知る必要があります。

この本の帯には、「返す刀で日本型労働社会の”不都合な真実”に切り込む」ともあり、の「不都合な真実」がまた目からウロコで、自分の中の無意識の「当たり前」が崩れていきます。

その面白さについては次回。

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