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年金をもらいながら働いている人は扶養控除申告書を2種類出すこともある

「扶養控除申告書」というと、働いている現役世代は、「あの1月に会社に出すやつかな?」というイメージがあるかと思います。

実はこの扶養控除申告書、年金をもらいはじめるとまた登場するようになります。

こちらは、年金にも税金がかかりますが、その税金を計算するときに、扶養家族がいる場合は税金をひくくしてもらうための書類です。

令和3年の数字で65歳以上で働いている人が926万人となっているように(下の資料参照)だんだん年金をもらいながら働き続ける人が増えている世の中、確認しておくべき税金のしくみがあります。

令和4年版高齢社会白書より

それは、出すべき扶養控除申告書が2種類ある人がいる、ということ。

働いている会社に出すお給料にたいしての
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
と、日本年金機構に出す年金にたいしての
公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
です。

この2種類を出しているのと出していないのとの違いは、以下の通りです。

(1)両方出しているひと


会社の毎月のお給料からひかれる所得税は、「甲」という種類となり、ほかに収入があるひとの「乙」より少ない金額となります。

ダブルワークなど複数の収入がある場合、生計をたてている主な収入ではないほうのお給料は、通常「乙」といって高めの所得税で計算されます。

これは、主な収入源のお給料にたいする所得税は、「甲」の種類で計算することで、所得税額がひくく、生活費にやさしくなるようにできている仕組みだからです。

ですが年金をもらっているひとの場合、年金が主な収入で、お給料が主な収入ではないひとでも、お給料の所得税を「甲」で低く計算してもらうことができます。

これは、年金にかかる税金が「雑所得」という年金の種類で、お給料にかかる税金は「給与所得」と違う税金だからです。

(2)年金のみ出しているひと

毎月のお給料からひかれる所得税を計算する際、上で説明した「乙」で計算されることとなり、毎月天引きされる所得税が「甲」より高くなります。

とはいえ、引かれっぱなしかといえばそうではなく、確定申告をすることで、年金とお給料をあわせた収入全体で計算された結果、税金を払いすぎていた場合はその分が戻ってきます。

結果、毎月「甲」で引かれていた所得税とそれほど変わらない結果になる可能性が高いです。

(3)お給料のみ出しているひと

日本年金機構から、出してくださいの連絡が再度きます。
が、出さないでいると、扶養家族がいたり障害をもっていたりなど受けられる控除があっても、それが考慮されない金額で税金が計算され、年金から天引きされて支払われます。

この場合も、確定申告で帳尻をあわせることができます。

(4)ここに注意

お給料の給与所得、年金の雑所得、どちらにしても毎月の計算は仮計算なので、年末調整や確定申告で最終的に全体で調整することは可能です。

つまり、税金の払い過ぎ問題は、年末調整や確定申告をやっている限り起きません。

ただし注意点としては、配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの控除は、どちらかしか受けられないということ。

配偶者を、お給料でも年金でも控除対象者として申告すると、毎月ひかれる税金は両方とも少なくなりますが、最終的に国税で確認が入り、計算のあわないぶんは「払ってね」という連絡が来ることになります。

毎月の所得税を安くするか、確定申告で取り戻すか、どちらの方法もとれますが、控除が使えるのはどちらかだけかので、しっかり確認しておきましょう。

お給料のほうは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」さえ会社にだしていれば、扶養家族がいなくても「甲」で計算してくれます。

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アイキャッチ画像は画像生成AIで作成しました。
プロンプト:確定申告

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