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解雇される/することになったら?「解雇予告手当」を知ろう #0005/1000

いきなり「もう明日から来なくていいよ」なんて言われた時、なにかできることはあるのでしょうか?

また、突然「あの人もう来てもらわなくていいから、解雇ってことにして」と社長から言われた時、担当者はなにかしなければいけないことがあるのでしょうか?

あります。

日本では、「労働基準法」という法律で、会社が勝手にクビにできないように社員を守ってくれているのです。

1.解雇といわれたら?

まずは、あなたはどうしたいですか?

①解雇を取り消してもらいたい

②こんな会社やめてもいいけど、次の会社が決まるまで収入がないのが困る

①であれば裁判を検討することも必要ですが、②であれば、ある程度はお給料がもらえる可能性があります。

それが「解雇予告手当」というものです。

会社は、「いきなり明日からクビ」はできません。

解雇を伝えてから解雇までは、30日の余裕が必要とされています。

ただし、一部対象外の人もいます(以下の【補足】参照)

もし自分が解雇されることになったら、まずは30日の猶予があるか確認しましょう。

なければ、ルールとしては「解雇予告手当」なしには解雇できません。

あれ?と思ったら、近くの総合労働相談センターをこちらで確認し、相談してみましょう。

2.解雇する場合は?

社長が好き勝手に「明日から来なくていい」と言ったところで、法律はそれを許してくれません。

①少なくとも30日前に解雇の予告をする

②解雇の予告を行わない場合は、解雇と同時に30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う

一部対象外(【補足】参照)になる人をのぞき、①か②のどちらかが必要です。

参考:厚生労働省から会社向けのリーフレット

では、30日待たずに、解雇予告手当を支払う場合、どんなことに気をつければいいのでしょうか?

1.支払う金額は、「平均賃金」(日額)を計算し、「平均賃金」✕「解雇予告期間(30日)に足りなかった日数」です。

平均賃金の計算はこんな感じでなかなか複雑ですので、しっかり計算しましょう。

2.税金(所得税)がかかるので、1の計算を全額払ってはいけない場合がある

「解雇予告手当」は、働いた分のお給料ではなく、退職金のような扱いになり、退職金には「退職所得」という税金がかかることになっています。

退職所得の受給に関する申告書」を出せば、退職所得の対象ではあるけれど、基本税金はかかりません。

ですが、退職前でぎすぎすしていて、「退職所得の受給に関する申告書」を出してなんていえない、という場合もあります。

そういう場合は、あらかじめ税金を引いておきます(これを「源泉徴収」といいます)。

引く金額は、退職手当等の支給額に20.42%を掛けた金額です(詳しくは国税庁HP)。

引いた税金は、会社が毎月所得税を納めている税務署へ納めます。

社員に払うのは、税金を引いた残りのお金です。

そうすると、社員は確定申告等で、税金を払いすぎている場合は返してもらう(還付)ことができます。

「解雇予告手当」は通常のお給料とは違うので、社会保険料や雇用保険料はかかりません。

3.まとめ

会社と社員では、どうしても社員が弱い立場になります。

その弱い立場の社員が急に仕事をなくし、生活に困るような社会は、安心して暮らせる社会とは言えません。

労働基準法はじめ労働関係の法律には、そんなふうに労働者を守るためのルールがしっかりと決められています。

社員側としては、理不尽な眼にあってもかんたんに泣き寝入りせず、何か手はないか探してみましょう。

会社側としては、法に違反して罰金や罰則を受けないよう、また、社員に安心して働いてもらえる会社となるよう、しっかりルールを確認しておきたいところです。

【補足】解雇予告手当が対象外となる人

(1) 日々雇い入れられる者
(1か月を超えて引き続き使用される場合を除く)
(2) 契約期間が2か月以内の者
(所定契約期間を超えて引き続き使用される場合を除く)
(3) 4か月以内の季節的業務に使用される者
(所定契約期間を超えて引き続き使用される場合を除く)(※)
(4) 試用期間中の者
(14日を超えて引き続き使用される場合を除く)


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