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副業・兼業についての厚労省のパンフレット最新版 #0197/1000

話題の副業・兼業について、厚生労働省が企業向けと労働者向けのパンフレットを更新しました。

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の解説や、副業・兼業に関するモデル就業規則の規定、各種様式例をまとめたものです。

「なぜいま、副業・兼業を促進するのか」「副業・兼業は認めないといけない?」などのそもそも論から書かれていて、これひとつでいま何が注目されていて、何が問題なのかの大枠がつかめるようになっています。

「副業・兼業」と併記されていますが、冒頭にはちゃんとその定義も。

副業・兼業とは?
〇 副業・兼業を行うということは、二つ以上の仕事を掛け持つことをここでは想定しています。
  副業・兼業は、企業に雇用される形で行うもの(正社員、パート・アルバイトなど)、自ら起業して事業主として行うもの、コンサルタントとして請負や委任といった形で行うものなど、さまざまな形態があります

企業に雇用されて行うものと、自ら事業主として行うもの・請負や委任で行うもの。

このふたつの大きな違いは、企業が社員の労働時間管理をしなくてはいけないかどうかです。

ひとりのひとが、2つ以上の企業に雇用されて行う場合の「副業」は、企業がそのふたつを合わせての労働時間をある程度管理する必要があります。

労働基準法で決められた労働時間の上限(1日8時間、週40時間)を超える場合は、残業手当(割増賃金)の支払いも必要です。

では、そのあたりはこのパンフレットではどう書かれているでしょうか?

労働時間についての説明には、こうあります。

次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されない。
・ 労基法が適用されない場合(例 フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等)
・ 労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度)

以上に挙げられたものについては「労働時間は通算されない」とあります。

つまり、上限を超えないか確認したり、残業手当(割増賃金)を支払うことはない、ということです。

では、全く管理しなくてもいいかというと、そうではない、という注意もあります。

社員の健康に注意する必要はある、ということですね。

なお、労働時間通算の対象とならない場合においても、過労等により業務に支障を来さないよう、 対象者からの申告等により就業時間を把握すること等を通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいです。

このパンフレットがそもそも、以下のように「副業・兼業を認めましょう!」というスタンスで作られています。

副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされており、裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが適当です。

よく「副業・兼業の許可」ともいいますが、「許可」はそもそも法律用語としては、「ある行為が一般に禁止されているとき、特定の場合にそれを解除し、適法にその行為ができるようにする行政行為」です。

このパンフレットが、「許可」ではなく「届け出」になっていることは、もう副業・兼業が「一般に禁止」されてはいない、という認識もあるかもしれません。

パンフレット掲載の裁判例からも、いまは本業に差し障りがない副業を認めないのは違法、という基本的な考えが読み取れる気がします。

副業・兼業に興味のある個人、実際に行なっている人も、一読の価値あるパンフレットだと思います。

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