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2021年、根無し草はどこへゆく

2021年。年が明けた。
だがわたしの気持ちにはモヤモヤと雲がかかったままだ。

思えば2020年はいつも以上に動き回った年になった。
1月から3月までは南インドを旅した。
車道に寝そべる牛、鳴り止まないクラクション、前が見えないほどの排気ガスと土埃、女性たちが身にまとう色とりどりのサリー、そして本場の南インド料理。どれもがインドらしくてドキドキした。

帰国したのはロックダウン3日前。
横浜の実家に戻ってほどなくして緊急事態宣言。
本職であるインバウンドのガイドの仕事は当面見通しが立たなくなり、夏の間は長崎県の五島列島で働くことになった。はじめての島暮らしは、もちろん大変なこともいろいろあったが、透き通るような海、新鮮な魚介類、豪胆なおじさんたちや新しい友人に囲まれて、充実した日々だった。

秋には長野の辰野美術館で世界を旅した13人のサイクリストたちによる写真と言葉の展示「目的のない旅展」に参加させてもらった。それはもう、ここには到底書き表すことのできないくらいの素晴らしいクオリティで、錚々たるメンバーの一員に加えてもらったことがただただありがたいと思った。

同時進行で進めていた資格試験の勉強に勤しみ、二次試験を終えたのが12月半ば。気づけば1年はあっという間に過ぎていた。

これだけ書けばなかなか充実した一年だったようにも思える。それなのにモヤモヤしているのはなぜなのか。それは何をやっても中途半端な自分、どこへ行っても根無し草な自分へのモヤモヤなのかもしれない。
よし、こうなったらいっそ中途半端街道を極めて中途半端界のカリスマを目指すか、と開き直ることすらある。

とはいえ、これは今にはじまったことではなくて、今までも幾度となくぶつかってきた壁だ。その度に「今度こそ」と思うのだけど、やはり続かない。すぐに飽きてしまう。

買った時はあんなにおいしそうだったのに、一口食べたら満足して、冷蔵庫にしまいこんだら、いつしかその存在すら忘れてしまって。わたしの冷蔵庫の中にはそんなビンがたくさんある。これからやるべきことは、そんなビンを一つずつ空けて匂いを嗅いで、まだ食べられるのか、火を通せばいけるのか、あるいはいくつかの中身を混ぜることで、まったく新しい味を作るのか。賞味期限よりも自分の嗅覚と味覚を信じるのだ。

そんなことを考えながら、年末に後回しにした大掃除と片付けをしている。ひとつひとつのモノと向き合い、判断を重ねて行くことは、次のステップに進むための重大な儀式だ。
旧暦の正月には心新たに新年を迎えよう。

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