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サラリーマンを辞めて陶芸家になる!

その昔、美術大学に通っていた私は、粘土の課題が苦手だった。
特に、粘土でりんごやレモンやピーマンなどをそっくりにつくる、
というのが苦手だった。
平面のほうが、自分をより表現できると思っていた。

大学では、写真をつかって作品をつくっていた。
モノクロフィルムを自分で現像して、暗室に籠ってプリントする。
赤い光がかすかにともる中で、現像液につけた印画紙に
ぼんやりと像が浮き上がってくる。
その瞬間を見るのが好きだった。

そのうち、表面が均一な市販の印画紙に飽き足らなくなって、
質感のある紙に暗い部屋で感光乳剤を塗り、
自分で印画紙をつくってみたりもした。
写真と絵画の中間を目指していた。
乳剤を暗いところで刷毛で塗るから、塗りムラができる。
濃く塗ったところは、プリントした時に黒が深くなるけど、
その具合はプリントしてみないとわからない。毎日が実験の繰り返しで、
出来上がりを見るまでの時間はワクワクしてとても楽しかった。

会社に入って忙しくしていると、
なかなかこういった実験はできなかった。
写真は休日に時々撮っていたけど、
それを自分でプリントするのはかなりの労力だった。
引き伸ばし機やプリントの道具は実家に置いたままずっと放置して、
数年前、実家の引っ越しをするにあたってとうとう処分してしまった。

でも「自分の手で何かをつくりたい」欲望は加速して
きっかけは忘れてしまったけど、
あるとき陶芸教室でうつわをつくり始めた。
これがほんとうに楽しかった。
土を選び、釉薬を選び、焼き方を選ぶ。
その組み合わせによって、出来上がりの表情は全然違うし、
釉薬の厚みや、ちょっとした窯の温度によっても変わったりする。
偶然性によるところも大きい。
これはまさに、焼いてみないとわからない・・・!
この、出来上がるまでのワクワク感は、
あのプリント作業にどこか似ていると思った。

結局私は、アナログな人間なんだな。

ろくろに向き合って、
自分の手からこんなカタチが生まれた!と発見するのも面白いし
それになにかを盛ったり活けたりして
見え方がどんどんバージョンアップしたり
もしかしてどこかの誰かが使ってくれるかも・・・
と思うとまた嬉しかった。

***

こうして、2020年末に29年勤めていた会社を辞めて
粘土が苦手だった私が、
陶芸を生活の中心に置くことになりました。

上達への道はまだまだ遠いような気がしますが、
この状況を楽しみながら、
ときどき近況をアップしていきます。

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2020年末に29年勤めた広告代理店から独立して、陶芸家をめざすべく勉強中です。手の中から生まれるカタチが、どこかの誰かのもとで、ホッとする時間を生み出してくれるといいなと思っています。