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【議事録】第1回真山ゼミ「メディアとどう向き合うべきか?」

 こちらは「情報とメディア」をテーマに行われた第一回真山ゼミの報告になります。

 4/19の19〜21時にかけてゼミが開催され、真山先生と事務所スタッフの方、9人のゼミ生が参加されました。

 なお、ゼミ生を募集中ですので、興味があればぜひお声かけください。対象者は学生で、東大以外の方も歓迎です。Twitterもやっております。→真山ゼミ@駒場

1、運営チームの発表

 発表で用いた資料を3枚に厳選してお届けします。

(1)真山ゼミの説明

 はじめに昨年の反省を踏まえて、どのように真山ゼミを運営していくかについて、運営チームからプレゼンがありました。↓のスライドは、ゼミの議論で意識していただきたいことをまとめたものです。二つ目に関して「東大生にありがちな賢くあろうというプライドは捨てよう」との発言がありました。

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※このブログで議論を紹介する際は、発言者名は伏せて行います。

(2)miroの練習

 共同編集できるオンライン・ホワイトボード「miro」が、今年から導入されました。miroの導入は、発言者以外も同時並行で議論に参加できるようにするためです。議事録もmiroで作成し、議事録に対してコメントできるような使い方を想定しています。今回は初回ですので、miroの練習タイムを取りました。(↓画像)

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(3)議論の進め方

 今回のゼミは、真山先生へひたすら質問を投げかける形式でした。質問が出やすくするために、2つの事前資料と3つの小テーマが設けられていました。これが下のスライドです。

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2、今回の論点ダイジェスト

 今回ゼミの論点は次のようにまとめることができます。

<ゼミで出た主張・疑問・指摘>

•メディアは過剰評価されている
•バイアスはどう見抜くか?
•新聞を読んでも「へぇ〜」で終わってしまう。どうしたらいいか?
•新しいメディアが登場することで人間のあり方は変わったか
•SNSは断言のメディア。そして、無責任
•SNSの効果的な使い方
•ミャンマーと香港の違い
•営利組織のメディアに真の報道はできるか?
•日本の成功者はメディアを買ってジャーナリズムに寄与しようという意識がない
•AIが取材する未来はあり得るか?
•世論とは怪物である

3、議論の記録(再構成版)

注意:議事録担当者が現場で作ったメモをもとに再構成しています。不完全なものですので、ぜひゼミにお越しください

(1)冒頭のあいさつ

運営チーム:それでは真山先生、第一回目の挨拶と今回のテーマについてお願いします。

真山先生:今年の目標は、ゼミが終わったときに考えられる人になっていること。そのために、第一回目で情報について取り上げた。

真山先生:多くの人はメディアを過大評価している。メディアは媒体であり、パイプである。では、メディアは批判していないのかというと、そうではない。伝えることで批判を喚起しようとする。これがメディアの役割である。そのために、だれが発信しているのかに注意するとバイアスが見えてくる。バイアスとは隠蔽、強調のこと。なお、うそはいえない。ここで重要なのが、自分の言葉に落とし込むこと。これによって、違和感を感じることができる。もう一つ注意すべきことは、メディアは細部を落として報道する傾向にあること。なぜなら、読者のためにわかりやすさを優先するからだ。前置きはこのへんにして、ここからは質問に答えていきたい。

(2)ニュースとの向き合い方

学生:新聞を読んでも「へえ〜」で終わってしまう。自分事に落とし込めない。読んでいない人に比べて関心はあるといえるが、深まっていくわけはない。

学生:真山先生の記事を読んで共感したが、それで終わってしまった。

真山先生:学生さんの読み方は、記事をそのまま受け入れてしまっている。

  新しい情報がない=記事にならない
  新しい情報がある=記事になる
  ではなぜニュースになったのか?

という考え方が重要。読み方としては、「次は何が起きるか?」例えば、台湾の話題はどうだろう?アメリカの中国外交はトランプもバイデンも実は変わらない。これから起きることは、中国「今後日本はどうするんだよ」という反応。日台関係はもともと良好で板挟みになることが予想される。また、記事の深め方は、3面4面といくこと。

真山先生:学生さんの「真山先生の記事に共感した」のは私の勝ちだ。ただ、若い人の感性は重要で、若者に響く響かないはシグナルになる。響いてくれてよかった。

(3)SNSと責任

学生:メディアは新聞テレビSNSと変遷していってる。マクルーファンのメディア論にあるように、メディアとともに人間自体も変質していってるのか?

真山先生:実際のところ、メディアによって人間はそこまで変わらない。ただ、SNSで変わったこともある。SNSでは、無責任な発言が影響力を持つようになった。
 「オリンピック反対をいうのは日本人の恥」
 「池江さんの活躍の場は作ってあげたい」
これらは個人の意見としては問題ない。ただ、従来のメディアは組織としての意見になるので、しっかりと根拠をもって発信をしてきた。SNSは、断言のメディアだ。断言の文字メディアがでてきたことで、「これでいいや」「そうだそうだ」となる。不健全に心地いい。これが心配である。

学生:責任・無責任とは?

真山先生:SNSの意見はあくまで一人の意見にすぎない。それで間違っていても、結局のところ責任を取らなくていい。なぜなら一人の意見で、周りが拡散しているのにすぎないから。一方で、新聞社の意見は、組織の意見。間違っていたら責任をとらなくてはいけない。問題なのはメディアがSNSを拾い始めていること。

 本来のSNSの使い方は、意見をあつめて組織的に行動すること。海外では行われているが、日本はこれをやっていない。

学生:香港についてか。

真山先生:香港が組織だった抵抗が起きているのは、自由がないから。残念なのは、香港は中国の一部だから人権問題ではなく国内問題。警察がでている間は国内問題軍がでてくると人権問題で、国外から文句をいえる。メディアはこれを説明すべきだが...

 なお、ミャンマー。スーチーさんは政治的には失敗。結局、独裁者になった。与党の幹部は「スーチーにバカにされている。意見を出してもつぶされる。」と発言している。ミャンマーは軍が動いているので人権問題となっている。なぜ干渉しにくいのか?それは中国の影響力。南下によってインドを囲みたい。

(4)新聞社のシステム

学生:メディアは理想を語ることではなくて、事象を語るところと言われていたが、メディアは営利組織。スポンサーにおもねらないといけない。これでは真山先生の言っていたメディア像は実現しないのではないか?

真山先生:学生さんの意見は学生のよくあるメディア像。例えば、新聞社は上場していない。トヨタが不正したらちゃんと報道する。たしかに

 ・広告主におもねる
 ・政府から脅される
という問題点はある。政府に関しては
 ・政府と近づきつつ
 ・重大時についてはナイフを突き刺す

ということが重要。新聞社にも弱みがある。戦後、1円で一等地を払い下げられた。この不動産のために絶対に潰れない。

 世界のメディアはオーナーが変わる。お金持ちになったらジャーナリズムで社会貢献しようとする。一方で、日本のメディアはオーナーが変わらない。メディアが買われないのは、儲からないから。日本の富裕層は金に最後まで執着して何もしない。

 社説は、取材の最終結論として書く。本来、中立報道をすべきだが社説だけは意見を書く。ただし、いまはひよっている。

 新聞は批判があればしっかり戦っていたが、いまは炎上したくないので無視する。現在は炎上で不買運動がおこり、収入減少するのが怖い。

学生:・・・(議事録なし)

真山先生:予算さえつけば打開策はある。例えば、飲食店の6万円をやめて、頑張っている医療関係者に回す。批判はあるが「これでいい」と思う人もいる。けれども、いまは6万をやめることはできない。「おれたちを殺す気か?」となる。本来はこのような矛盾を取り上げるべき。
しかし、これはできない。

学生:どうすれば新聞は部数を増やせるのか

真山先生:部数は技術的なことがあるが「しっかりと報道する」をやれば絶対に生き残る

 日本の新聞記者は給料が高い。担当がついて網羅しようとする。

 アメリカは網羅しようとせず、もれたテーマは地方紙が取り扱う。アメリカのジャーナリストは地方で腕をあげ→中央に進出し→地方に戻るor本を書き億万長者というルートがある。この結果、優秀な人が中央と地方で循環していく。

 新聞記者は転属させられ、ジェネラリストを作ろうとしている。本来は一つのテーマに配属すべき。癒着を心配する声もあるが、そんなことはない。

学生:どう取材するのか

真山先生:専門家はガーッと説明する。予習はするがよくわからない。自分が抱いている疑問をしっかり聞き返すことが大事
  農家「農薬で人はしなない」
  先生「10倍に薄めなかったら死にますよね?」
  農家「それはそうだが、我々の問題ではない」
  先生「ではだれの問題ですか?」

(5)テクノロジー

学生:自分は機械やコンピューターに興味がある。記者が権力ある人から情報を引き出す特殊なテクニックを、AIなら実現できるか

真山先生:人間の特徴は、きまぐれであること。これは機械では測れない。5回質問してやっと答えてくれたことがあった。体調、前にあったこと、気分が大きな影響をもつ。もう一つの問題は「すべてがみえてもいいのか?」数学では割り切れないことを大事にしてほしい。

学生:メディアには権力があるから、適切な正義感がなければ自分にいい情報だけ操作できる。なぜしない?

真山先生:バレて、不買運動がおきるから

 ただ、情報操作は起きている。GoogleやFacebookなどは、AIで、読者の好みに合わせた記事を提供している。特にGoogleやFacebookについて、ある政治的な意図を持って、読者をある方向に誘導しているという指摘がある。本来は報道すべき事実は報道すべきだが、フィルターがかけられてバイアスがかかった一部しか伝えられない。トランプとヒラリーの選挙でもそれが起きた。

(6)世論

学生:政治は世論をどこまで考慮すべきか?

真山先生:世論調査の結果はいかようにでも変えることができる。そもそも世論調査は前向きな人が答えているというバイアスがある。突然、世論は変わることがある。世論は怪物でそれをつくらないようにすることがジャーナリズムの責任だ。

(7)お開きの時間

真山先生:今日はもう21時だからここまでにしよう。テーマとしてはまだまだ深掘りできそうだから、また次回も同じテーマの続きかな。

運営チーム:わかりました。次回も、「情報とメディア」についての会にしようと思います

運営チーム:真山先生、みなさま、本日はありがとうございました。21時15分からもう一度zoomに集まって打ち上げをしたいと思います。それでは一旦解散します。来れない方も次回(5/19)にまたお会いしましょう!

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 真山ゼミは新ゼミ生を募集しています。興味ある方はお近くの真山ゼミ生にお声掛けください!Twitterもやっております。→真山ゼミ@駒場

4、ゼミ情報まとめ

真山ゼミの説明

今後の開催日時

過去の活動報告

真山ゼミの運営(2021年度)


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