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パン屋録#3/無謀を挑戦に変えるために

夢を追うには2種類のアプローチがあると思う。
1つは、まずは走りだすこと。走りながら考えるという方法だ。
もう1つは、一定に考えてから行動する方法だ。少なくても自分の中では、「無謀」でなく「挑戦」と納得できる程度に考える。

我が家の「夢追いオヤジ」は、完全に後者だった。

パン屋のスクールに数百万円かかることは前述の通り
当事者(スクールの方)としか話をしないのはリスクと考え、まずは【側面調査】をした。

卒業生が開業したパン屋2件を訪問し、パンが美味しいことに加え、お客さんが賑わっていることを確認した。

同行した母は「あのー開業を検討している者ですが」と、お店の方に話しかけたらしい。
ナポレオンの辞書に不可能という言葉がないように、彼女の辞書に人見知りという言葉はない。
娘に遺伝しなかったミラクル外交力、ここにあり!

お店の方はライバル視も不信感もなく、温かく応対くださったという。
両親が、こじんまりしたパン屋さん、その場が作り出す空気に魅かれたのは、こういう方々の持つ雰囲気が大きかっただろうと想像する。

スクールの信頼性が確認できたうえで、次は徹底的に【実地調査】を行った。

地域の方に受け入れてもらえること、つまり立地を誤らないことはパン屋の成功に不可欠だ。

自宅から車で30分圏内にある候補物件は約20件あった。

いいかも!と思う物件があれば、同じ通り沿いにあるマクドナルドの2階、窓際席へGO。朝10時から18時頃まで、通行人の人数・性別・年齢層をひたすらメモした。

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もはや気分は名探偵。
ベイカー街の亡霊か!?パン屋だけに(笑)。

車は多く通るけれども通行人や自転車はあまり通らないことがわかれば、「真実はいつもひとつ」。駐車場のない物件は候補から消していった。

また付近にあるパン屋さん(未来の競合さん)のパンを食べ、自分たちが異なる特徴を打ち出せるかも検討した。

気付けば3カ月が過ぎていた。

ようやくパン屋の場所が決まった。
東京23区外。新宿よりは山梨県との県境が近い(近所のスーパーで、山梨銘菓:信玄餅だって買えちゃいます)。

最寄り駅から徒歩3分。大通りから一本入った小道の1階。
約35m2の小さなスペースが両親の相棒となった。

3、図1


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