パン屋録#6/てんやわんやの正体
おばんです。
『真夜中のパン屋さん』ならぬ、真夜中のパン屋の娘さんです。
このシリーズ、好きで全巻揃えたな。のぞみとひかりとこだまちゃん♪
さて、本日のパン屋の娘さん。
22時に寝落ちし、「ぎゃー今日の分投稿してないっ!」と慌てて起きました。毎日続けてることを一日休むと、翌日つらいからさ✨って、イチローさんみたいな高尚な精神があるわけじゃない。単に喉乾いたから起きた(笑)。
というわけで?、本日のパン屋録いってみよう。
長時間労働ってそんなに悪いの?
パン屋を初めた最初の1年間は、てんやわんや、そのものだった。
朝4時から仕込みを始め、10時に店舗オープン、19時にクローズして掃除と翌日の準備を行う。1日15時間の立ち仕事は、単純に体に堪える。
開業した2015年当時、いまほど声高に働き方改革は叫ばれていなかった。
都内で会社員をしている私にとっても、仕事は「終わったら帰るもの」だった。早く片付けばさっさと帰宅するが、立て込んでいる時期は終電後にタクシーで帰宅する日が続いた。確かに疲れるが、すっきり終わらせてから帰るので、むしろ心の健康は保ちやすかった。
だから両親の長時間労働について体力面の心配はあれ、精神面はあまり案じていなかった。
ゼロからのチャレンジ。簡単にできるわけない。
私も、今や懐かしい受験生時代。高すぎる志望校を掲げたせいで1日10時間くらい勉強した。それと大差ない感覚で捉えていた。
てんやわんやの正体
娘の楽観視とは裏腹に、両親はみるみる疲れていった。
普段くだらないギャグを言う父が無口になったことに、喜んだのは束の間。口数が減ることで意思疎通がおざなりになり、仕事のミスが増えた。
苛立って怒る母。ますます黙る父。
ううっ…空気重すぎて、月に逃げたくなるっ!!
娘から見た疲労の正体は、①距離感と②脳の特性にあった。
①距離感
元をたどれば父と母は他人であり、数十年の家族を経たが、これまで一度も同僚になったことはない。家族としての最適距離と仕事仲間のそれは違う。そもそも長年キャリアブランクのある母にすれば、「同僚の最適距離ってなーに?(ぽわわん)」状態だっただろう。
相手に期待しすぎず、でも決して信頼を失わない。
この間合いを掴むのに一定に時間がかかっていた。
②脳の特性
こちらは時間が解決してくれない点で、より厄介な問題に見えた。
父は1つのことに集中したい人で、母は複数の物事を同時に処理できる人だ。
パン屋の仕事は、おそらく母の特性により合っている。
生地を捏ねている最中にオーブンは焼き上がりを知らせ、焼き立てパンを出せば、ありがたくもお客さんは混みあう。
父の集中力が発揮されるのは仕込み時だ。
捏ねた生地をただひたすら同じ分量に分ける仕事は、同じ特性を持つ私も父に勝てない。
この2.5倍量を10分以内に分割する父
その姿、忍者が手裏剣を投げるがごとく
特性は一朝一夕に変わらないし、また能力の優劣でもない。
自分と相手、両方の特性を知り、適材適所を見つける努力が必要だった。
パン屋が軌道に乗り、父のダダ滑りなギャグが戻るまで約1年かかった。
笑いのセンスを磨いてほしいのが本音だが、体重が10kg落ちた父を見るよりはマシと娘は自分に言い聞かせてるよ。。。
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