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#3/信じるを行動で示すことの難しさ

型破りオヤジがいとも簡単に合格をくれたので(こちら)、私は会社員をしながらビジネススクールに通うことになった。

さっそく1つ目の誤算が生じる。

入社した会社は山手線の某駅直結ビルに入っているにも関わらず、新人研修は幕張で行うという。4月~6月は会社が手配したホテル(@幕張)に宿泊し、「仕事後も同期の仲を深めてね」というありがたさの押し売りのような軟禁生活が待っていた。

型破りオヤジを信じようと思った一方で、内定時に提示された勤務地と異なる場所に(3カ月とはいえ)宿泊を義務化させる会社に不信感をもった。

いや、正確には会社にではない。
お給料をもらっているというだけの理由で「会社に贅沢はいっちゃいけない」「これも仕事のうち、もう学生じゃないんだから」と現状に違和感を覚えない周囲に対してだ。身の丈にあわない贅沢を言い、学生気分が抜けない私がおそらく間違っているのだろう。

型破りオヤジのスクールは、毎週水曜19時から文京区で開催された。
18時に幕張で仕事を終えた私は猛ダッシュで京葉線にのり、文京区へ向かった。21時まで講義を受け、毎週課題が出るので21時から終電までファミレスでチーム会議をする。
木曜、金曜は各自がタスクを進め、土曜までにメールで報告し、日曜は母校でチーム会議をした。月曜夜に課題を提出するとTAがアドバイスをくれるので、水曜正午(課題の提出時間)まで内容をブラッシュアップする。

今でこそオンライン会議が主流になったが、2009年の会議は対面が基本だった。

金曜日の朝は、洗濯物とプライベートPCを入れたキャリーケースをもって出勤した。仕事(といっても研修)が終わったら、会社用のPCと課題図書もキャリーケースに詰め込んで、大学時代に住んでいた都内マンションに帰る。このために3カ月家賃を払い続けてくれた親には本当に感謝している。

会社とスクール、新生活のダブルパンチがボディブローのように効いてくる中、「想定していた時間内にちっとも終えられない自分の仕事力の低さ」というアッパーカットをくらい、「やっと提出した課題に対し、ごもっともすぎるが故に破壊力抜群なTAからの指摘」というクロスカウンターをくらう。満身創痍で百孔千瘡で半死半生な3カ月だった。

東京駅で京葉線を使ったことのある方には、わかっていただけるであろう。コンコースが長・す・ぎ・るっ!
ご存じない方は、うす暗い地下通路を約1駅間歩かされる場面を想像いただきたい。

私にとって「花金」の一番思い出は、このコンコースにある。

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ある時、いつも通り都内のマンションに帰ろうとコンコースを歩いていると、キャリーケースの重さも相まって、突然足が前に進まなくなった。
貧血を起こしたわけではない。
ただ「これ以上は、もう歩けないや」としゃがみこんでしまった。ぜんまい仕掛けの人形がピタッと止まるように、扇風機のコードに足を引っかけてコンセントが抜けてしまったときのように、私はただそこに置かれた物体となった。

型破りオヤジを信じたい「気持ち」と、脱落しないための「行動」を一致させることの難しさを身体で知った。
*普通に10分後くらいに立ち上がり、タクシーで物体(私)を輸送し事なきを得ました。

今もコンコースを歩くと、あの頃の自分を思い出す。

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