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#8/60代パン屋の成長記録~視点を増やす~

両親のパン屋史を守破離の3段階で記述してるなう。
「なう」の使い方、合っているのでしょうか(^^;

今回は第2弾(第1弾「守」はこちら)。

守破離の「破」は、他の師の教えについても考え、良いものを取り入れ、技を発展させる段階とある(引用:デジタル大辞泉)。

つまり見識を広めよってことかな。

稼働を減らして、売上を伸ばす

開業以来、父は欠かさずノートを付けている。
天気、売れ残ったパンの詳細、レジが記録した売上(理論値)と実際の現金があっているか、などが書かれている。

8、図1

父のノート(数字の詳細は伏せています)

しばらく経って見返してみると、
売上は「季節」と「天気」の影響を受けていることが分かった。

暑く・湿度の高い季節は、売上が落ちる。
寒く・湿度の低い季節は、よく売れる。

うちのパン屋だけ?と疑問に思い、ネットで調べたり他のパン屋さんに聞いてみても同じ傾向だった。

また季節に関係なく、雨の日は客足が遠のく。
雨の中、外出するのは億劫という気持ち、共感しかないっ!

両親はこれらを踏まえ、
①売上が落ちる季節は、手間がかかるクロワッサン生地を扱わないこと
②天気予報をこまめに確認して、雨の日は作るパンの個数を減らすこと
を決めた。

60代のパン屋にとっては売上を伸ばす以上に、
疲れにくくする(体力を温存する)ための策として有効だった。

時流を知り、新商品に活かす

徐々に顔なじみのお客さんが増えていった。
ありがたいと同時に、いつも同じパンばかり並ぶ風景は味気ない。

ここで母の「やる気スイッチ」が入った。
毎月2~3個を目標に新商品を開発するという。
1つの商品は少なくても2回試作するし、当然、その過程で落ちる者も多い。なかなかハードな目標だ。

じゃじゃーん!
娘の私に、ついに仕事が回ってきました(*'ω'*)
人気のパン屋さんやインスタで流行っているパンを調査し、母に提案する係。隙間時間にできる、なんともお手軽な仕事です(笑)。

少し調べただけでも、パンの流行は実に面白い
国内のパンブームが本格化したのは平成になって以降のようだ。
そしてまさに今も、高度「パン経済」成長期の真っただ中といえよう。
知らない間に国民「パン消費」倍増計画でも閣議決議されていたのだろうか?

たとえば。
2000年、「ニューヨークで大流行」という看板を背負いベーグル旋風が巻き起こり、
2005年、焼き立てメロンパンが鉄板に鎮座する路面店が登場した。

現在、ハードパンや高級食パンのブームは熱が冷めやらず、
さらには「萌え断」や「わんぱくサンド」などインスタ女王まで現れた。

両親はパン作りに追われているので、広く情報収集する余裕はない。
私と妹は、ちょこちょこ調べては「これは?」とアイデアを伝えた。

採用率が高いのは季節感のある商品だ。
春であればヨモギ、夏であればレモンなど。
母は「あら、こんな時期ね♪」と感じてもらえる瞬間、そういう空間を演出したいのかもしれない。

8、図2

初夏限定:レモンのパン

守破離の「破」は視点を増やし、自分たちの価値を見直す時間だった。

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