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映画館のススメ

 え、この緊急事態宣言のさなかに映画館のススメってどういうこと!?

 そう思われたかもしれません。私もそう思います。

 新型コロナウイルス感染症のまん延によって全国的に緊急事態宣言がなされている中、もし、映画館が開いていたとしても軽率に行くことをお勧めすることは出来ません。

 では、なぜ今映画館をお勧めするのか。

 もちろん、緊急事態宣言が解除されて映画館が開館して行くことが出来るようになったとき、ぜひ、映画館に行って映画を見て欲しいからです。インド映画でも、洋画でも邦画でも「映画」と名の付くものを映画館で見てほしいからです。

 中には、配信で見る方が安く見られるから新作も配信を待つ、と言う方もいらっしゃいます。もちろんそれも映画を見るライフスタイルのひとつで否定はしません。しませんが、ちょっともったいないなぁ、なんて思ったりもします。

 良く言われるのは、「映画は映画館で見ることを前提に製作されている」と言う事です。すなわち、最高の体験は映画館でしか得られないのです。

 音響や映像の迫力と言ったものは、家庭のテレビでは表現しきれません。

 この前、とある映画を家のテレビ画面で見ていたとき画面があまりにも暗すぎて何が何だか分かりませんでした。光が反射しているからか、テレビでは暗い画面はとても見にくいです。おそらく映画館で見ていれば、もう少し見やすくなっていたのだと思います。実際、暗い画面のシーンで全く何が起きているのか見えないと言うのは、あまり記憶にありません(ないわけではありませんが)。

 また、私はiPad Proをもっているので、透明度の高い保護シートを貼って動画再生にも使っているのですが、なにしろ「自分が写り込む」のです。特に暗いシーンではくっきり自分が写り込みます。もう、本当にこれは興ざめです。当然、映画館であれば自分が写り込むことはありません。

 音響に関しても映画を家で見るときに、こんな経験は無いでしょうか。それは、小さい音が聞こえるように音量を調整すると爆発音などの大音量の時に物凄い音が出て近所迷惑になるのではないかとヒヤヒヤする、と言う事です。

 イヤホンを使う事である程度回避はできますが、今度は音の深みや立体感と言うものが無くなってしまう事が多いです。私は3万円ぐらいするカナル型イヤホンを使用しているせいか、そこそこ良い音で聴くことは出来るのですが、それでも全身で聴くと言った身体を包む音を体験することは出来ません。

 そして、「日日是好日」と言う邦画がありまして茶道を題材に使っているので「音」も大事な演出のひとつになっていました。雨の音、湯の湧く音、蝉の声、海の音、そして…静寂。

 そう、静寂…無音もまた作品を構成する大事な要素の一つだったのです。この静寂は映画館でなくては再現できないと思いました。家だと家族がいたり、スマートフォンの電源は家では皆さんお切りにならないでしょうから着信音やバイブレーションの音がするかもしれません。宅配の方が鳴らすチャイムの音もするでしょうし、外の廊下から子供の声がするかもしれません。

 もちろん、映画館でもスマートフォンの電源を切らない困ったお客様もいらっしゃいますし、物を食べる音もしますが、家で見るよりは格段に音は少ないです。

 そして、映画館であれば大画面の迫力で映画を「感じる」ことが出来ます。アクション映画を大画面で見たほうが迫力があるのはよくわかるのですが、映画を見出すまでは「恋愛ものとかヒューマンドラマとかは大画面で見る必要ないじゃん」とか思っていました。しかし、それは間違いでした。映画鑑賞が趣味になってから、アクションの無いヒューマンドラマとかハートフルストーリーと言われるものをみましたが、美しい画面が見せる素晴らしい風景や役者の繊細な演技の襞の一つ一つが良く見え、それらが胸に迫ってきて頭で感じるよりも先に心が動くのです。もちろん、アクションやダイナミックな演出が売りの映画が映画館でこそ、その真価を発揮するのは言うまでもありません。

 当然音に関しても、先に挙げた静寂はもとより爆音を浴びて映画を「感じ」られるのは映画館です。

 ここまでお読みになっていただけた方には、私が何を言いたいのか分かると思います。

 そう、映画は「見るもの」ではなく、「感じるもの」なのです。感じるためには「映画館」に行かなくてはならない、と言う事です。

 もちろん、育児であったり病気であったり、その他の事情でどうしても映画館に行けない方々もいらっしゃいます。かく言う私も病を抱えて十分に映画館に足を運べず、やむをえず配信やBlu-rayで見ることも多いです。もう一度言いますが、映画を映画館以外で見ることを否定することはしません。

 言いたいのは、もし、あなたに2時間から3時間ほど世間から自分を切り離せる贅沢な時間の使い方が出来るチャンスがあるのなら、ぜひ映画館で映画を見てほしいのです。「でも、たまにしか見ないのに、つまらない映画は見たくない」というのであれば、封切り直後の映画ではなく1週間ほどたった映画でTwitterなどで話題になった映画を見ると言う手もあります。日本人は酷評に値する映画に関しては何も言いません。代わりに素晴らしい映画に関してはポジティブな発言をして拡散されるので何となく分かります。公開されているはずなのに話題にならないものは…まあ、そういうことです。

 新型コロナウイルス感染症のために公開延期になった映画が沢山あります。この事態がおさまってきたら公開ラッシュが始まるでしょう。

 タイトルやポスターで心に留まった映画を見るも良し、映画好きの友人の勘で選んでもらった映画を一緒に見に行くも良し、好きな俳優が出ている映画を見るも良し。映画を見て感じることは、自分の心の糧になり浄化になり、気晴らしにもなることでしょう。

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