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ラグビーが好きだ

私は運動が苦手だ。

学生時代、体育の成績は常に2〜3をキープしていた。自分で言うのもなんだが、真面目に出席していて2(5段階評価です)を取るのは難しい。けれど挑戦し続けた。初志貫徹だ。

アラフォーをうろちょろしている今、運動不足は深刻なものになりつつあるが、かといってジムに行ったりヨガをしたりなど、もってのほかだ。何が楽しゅうて。と未だに運動を拒否し続けている。継続は力なりだ。

そんな私だが、スポーツを観るのは好きである。特に団体スポーツが好きだ。そして、ラグビーが、もう。大好きだ。

私がラグビーと出会った瞬間ははっきりと覚えている。

受験に失敗し、なんの思い入れもなく入学した高校のラグビー部が強かった。高校2年生の頃、そのラグビー部が全国制覇をした。

普段、私達と変わらぬ高校生が、正月、花園ラグビー場で暴れまくっているのをテレビ越しに見かけた。その姿がなんとも眩しく、かっこよく、誇らしかった。それまでラグビーのラの字も知らずに育った私は、その瞬間、まんまとラグビーにロックオンされたのだ。

ちなみに、当時、願掛けのために髭を伸ばし続けて試合に出場していた異様な出で立ちのラグビー部主将は今、そのラグビー部の顧問を務めておられる。

そんな強烈な原体験を持つ私は、筋金入りのラグビーファンだ。

しかし、ラグビーの洗礼を受けていない民から、「何のためにスクラムをするの?」と真っ直ぐな目で聞かれるとひるむ。

目を合わさぬよう斜め下をにらみながら、そういうルールやねん。それ以上聞いてくれるなオーラを全開に醸し出しながら答えるのがオチである。

そういえば、未だに15人の役割の違いとか、ざっくりしかわかっていないし、選手が自分の持ち味は?と聞かれたときによく答える「自分はボールキャリーが・・」なども、「へ?ボールキャリーってなに?」って内心思っている。

思ってはいるが、にわかファンとは歴が違うのだ。そんな気の迷いなど微塵も見せてはならない。ベテランの務めとして。

そんな私が、ラグビーの魅力をいつかこのnoteで紹介してみたいと思っていた。けれど、書けども書けども筆ならぬキーボードを打つ手が進まない。

ルールやポジションの役割の込み入った解説とかがあれなのだ。

いや、ラグビーはルールやポジションの役割が分からないと楽しめないのか。そこが私の語りたい魅力なのか。答えは、否である。

観ていて、なんだかこう、全身が震えるほど感動するのだ。

なぜ感動するのか。その一つは、戦況が観客にも理解しやすいからではないかなと思う。

ラグビーは試合がよく止まる。

例えば、バスケットなどはスピードがすごく速い。攻守が次々と入れ替わり、ノンストップで試合終了まで進む。

スラムダンクの世界のように、ドリブルしている選手やそれをガードせんとする相手の心の声が聞こえ、スローモーションでボールが放たれる・・なんてことはなく、びゅんびゅんである。

一方、ラグビーは、レフリーの声が大きい。よくしゃべり、よく止める。こんなにレフリーの存在感が大きいスポーツって他にあんのかな。

レフリーが判断付きかねる場合は、試合を止めて、副審やTMO(いわゆるビデオ判定)の人とごにょごにょ話し合う。何ならその会話がマイクで拾われて筒抜けである。

その会話のやりとりで、だいたいの戦況がわかるし、その間実況中継の方が懇切丁寧に状況を解説してくださる。言うのが遅れたが、私はラグビーは必ず実況中継を聞きながら観たい派である。実況が好きだからだ。あえてだ。察して。

そんなこんなで、今、攻撃側が青のジャージの方で、守りが赤黒で。攻めている側がラグビーコートのゴール前ここまで来ていて・・と、観客が戦況を深く理解しながら見守ることができる。

例えば、ラグビーW杯2015の対南アフリカ戦。

動画を載せておくのでどうか10分だけ観てほしい。

ここまで文章で魅力を伝えようとしてきたのに、結局動画載せちゃうのかよっていうツッコミは無粋だ。許してくれ。ラグビー好きだけど詳しくないのだ。言わすな。

時間のない猛烈戦士の諸君のために、念の為文章でも解説しておく。動画をご覧になった方は太文字の部分まで読み飛ばしてください。

当時、南アフリカ世界ランク3位。対して日本は、13位だった。

その相手を前に、32(南ア) VS 29(日本) 3点のビハインドで戦っていた。

日本のゴール前5メートルでスクラムをしていた。日本がボールを持っている(日本が攻め)。

ちょうど南アフリカの選手が反則を犯したので、日本は次の2つのうちどちらかを選択することができた。

一つは、ゴール前からのペナルティーゴール

入れば3点獲得(獲得確率はかなり高い状況)。ただし、引き分け終了。

もうひとつは、スクラム。

スクラム後のプレーでトライが決まれば5点が獲得できるが、獲得確率はペナルティーゴールに比べて下がる。ただし、トライが決まれば勝利。

その選択の過程とその意味を観客がつぶさに理解する時間がたっぷりあり、戦局をしっかり把握しながら見守ることができるのだ。あとから知るのではないというのがミソだ。

他のスポーツも当たり前だが戦略があるし、日の丸を背負って戦う試合ならば、勝ちにこだわった選択をすることはありうるのだろう。

ラグビーは、選手たちの想いが、選択が、リアルタイムで観客にはっきり伝わるのだ。この点がラグビーの大きな魅力の一つなのではないかなと思うのだ。

だからこそ、16人目の選手のような気持ちで心をピッチに放つことができるし、選手と喜びと悔しさを共有できる気がする。これが心震えずにいられるかってな!

今回改めて伝説の南ア戦を観たが、またしてもむせび泣いてしまった。

きっとこれからもラグビーに泣かされ続けることになるのだろう。受けて立つぜ。


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