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助産師さんへ、愛を込めて。

2022年2月2日、なんとも並びの良い日に息子が爆誕した。

息子が生まれるまでの1ヶ月間、私は大学病院へ入院していた。
切迫早産気味だったからだ。


初めての長期入院で、初めてのお産だった。
それもコロナ禍で家族の立ち会いはおろか面会もできない状況下での。
私はまぁまぁな不安と恐怖に苛まれていた。

そんな私が無事出産という荒波を乗り越えられたのも、ある方々のおかげである。

助産師さんである。

今回は、私が今、最も尊敬してやまない助産師さんの素晴らしさをご紹介したい。



とまぁ、さも助産師さんのことをよく知っているような口ぶりだが、

何を隠そう、私が助産師という存在を初めて認識したのは入院した2ヶ月前のことである。

入院先では、日々いろんなユニフォームを来たスタッフさんが働いていた。
正直、どなたが医者で、どなたが看護師なのか見分けがつかなかった。

そこで、日々甲斐甲斐しくお世話をしてくださる方に、看護師さんと医師との見分け方を尋ねてみたところ、なんと看護師さんと思っていた方は助産師さんだった。

聞くところによると、私の入院した先では、患者の世話をしてくださる方のうち、看護師はひとりだけで、他全員が助産師さんだと言うではないか。

びっくりした。


そもそも、助産師さんって、私のイメージではこうだった。

自身も出産経験があり、これまで何人もの赤ちゃんを取り上げてきた経験豊かなベテランのおばちゃん。
分娩になると割烹着とか着てどこからとも無く現れ、妊婦を励ましながら産まれる子を取り上げる人のこと。

ほんとに、なんと陳腐で偏ったイメージだろう。
全助産師さんに土下座してお詫びしたい。

こんなイメージだったから、実際に会った助産師さんがみんな若くて、割烹着とか全然着てなくてびっくりした。

そして、助産師という職業のプロフェッショナルぶりに圧倒された。

私が改めて知った助産師という仕事はこうだ。
出産前後の患者及びその子どもの健康管理を行う人たちのこと。

この一行ちょっとの定義の中にどれほどの業務量と守備範囲と熱量が込められているのだろう。

入院中の妊婦には、定期的な検尿、採血、点滴がつきまとう。

助産師は、ルーティンである日々の食事量の把握、心音確認、血圧の測定を行いつつこれらの業務をこなす。

さらに、例えばシャワーを浴びられない患者には洗髪やお下の洗浄、トイレに行けない患者には導尿を行うなど、患者の状況に応じてあらゆるお世話をしてくださる。

産婦に対しては、おっぱいケアや、新生児へのミルクのあげ方、抱っこの仕方などの指導、ミルクの準備なども適宜行う。

さらにさらに・・・と、書き出すときりがないほどの莫大な業務を助産師さんは日々こなしておられる。

既にこの時点で尊敬なのだが、私が圧倒されたのはそこではない。

これらの業務を事務的ではなく、患者の心に寄り添い、思いやりを持って取り組んでおられた点である。

忙しいからといってテキパキと効率的にこなす。だけではダメなのだ。

退院が延びて落ち込んでいる患者がいれば慰め、夜中赤ちゃんが泣き止まず困り果ててナーサリールームに駆け込む産婦がいれば、声をかけて相談に乗る。

助産師が対峙しているのはあくまで人である。
それも様々な苦痛や不安を抱えた妊婦・産婦である。
そんな人の心に寄り添いながら日々の業務をこなすことはどれだけ大変なことか。

そして、助産師のコア業務?であるお産である。お産において医師が登場するのは赤ちゃんが生まれ出る前後からであって、陣痛開始からお産が終わるまでつきっきりでいてくださるのは助産師さんだ。  

バースプランで励ましてほしいと書いていたからにせよ、出産中、見事に四六時中励まし、褒めて導いてくださった。

気の狂うほどの痛みのなか、助産師さんの励ましとナビゲーションは、暗闇の中で灯る一点の光のようだった。その光はなんとも優しく、心強かった。

入院中ずっと助産師という仕事っぷりを見てきて思った。
助産師という職業は、とかく人間力が問われるなと。

そして考えた。
仮に私が高校生くらいでこの職業と出会っていたなら、進路の選択肢の一つとして考えることはあっただろうかと。

答えは、思いっきり否である。

そうだなぁ。
あと500回くらい人生を積み重ねないとこんな神がかった人たちの一員にはなれないだろうなぁ。

私はあんなに忙しいさなかに、あんなに人に優しくはなれない。

私のお産の際にメインでついてくださった助産師さんのお名前が母子手帳に判を押されて残っている。

そのお名前を見るたびに出産の過酷さとともに偉大なる助産師さんへの感謝の気持ちが蘇ってくる。

間違いなく、日本の、いや、世界の妊婦・産婦、そして生まれてくる子どもたちを支えているのは助産師さんだ。

助産師として働く彼女たちよ。
心の底から尊敬の念を込めて。  

その節は本当にお世話になりました!
ありがとうございました!!

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