見出し画像

津田沼にはすごい「沼」があった

津田沼市、ではなく、習志野市と船橋市の境に津田沼駅はある

みなさんこんばんは、長沢めいです。

早速ですが、今冬は「横須賀線・総武快速線」を題材にした同人誌を制作いたしましたので、その中身をいくつかご紹介したいと思います(要するに宣伝です!)

今回は「津田沼」に関してお届けしたいと思います。


「千葉県津田沼市」
ありそうだけれども実在しない市町村の筆頭格として挙げられることの多い地名、津田沼。この地名は村々が合併して生まれた時に付けられた「合成地名」で、正しい市の名前は習志野市で……、という話は度々紹介されているトリビアですが、何と何と何を繋げて「津田沼」になったのか気になっている方も多いのではないでしょうか。というわけで津田沼の街の様子を知るために、津田沼の街を歩いて「津」と「田」と「沼」を探してみたいと思います。

まず「田」にあたる場所ですが、これは現在の津田沼駅周辺にあった「久々田」もしくは「菊田」という地名に由来します。現在、この付近一体の町名は「津田沼」となっており、「久々田」や「菊田」といった地名はは町名としては消滅していますが、神社や公園などの名前として現存しています。

例えば京成津田沼駅近くには「菊田神社」という神社があって、その隣には「菊田水鳥公園」という公園があります。また京成津田沼駅の南側、少し歩いた場所には「菊田公園」と「菊田公民館」、さらにもう少し歩いた場所には「久々田公園」という公園があって、「菊田」という地名が広がる中に「久々田」が混じるような格好になっています。

なお、「久々田」と「菊田」の両者の関係については不明な点もありますが、「菊田神社」は古くは「久々田大明神」と称していたそうで、「菊田」と「久々田」の間には何かしらの深い縁があったようです。

住宅街の中にある久々田公園。付近一帯の地名が津田沼となった中で「久々田」の名前を残す貴重な存在である

ちなみに「津田沼」という村名が決まった際、実は当初、村名は「津田沼」ではなく、この付近で一番通りの良い地名であった「菊田」が採用される予定だったようなのです。しかし、何らかの理由で「菊田」で決定していたものが覆って「津田沼」になったのだそうです。

さて、次は「沼」を訪れてみたいと思います。

「沼」の由来になった地名は「鷺沼」という地名で、今も京成津田沼駅の南東、すなわち久々田公園の東側に広がる町名として現存しています。かつては鷺が飛来するような沼があって、それにちなんだ地名だといわれていますが、今となっては沼は無くなってしまい、沼へ注ぎ込んでいた川も暗渠化されてしまったため、その頃の痕跡は全く残っていません。

この鷺沼地区の西端、習志野市役所前から南に伸びる緑道沿いに緑に覆われた小高い丘があります。この丘と周囲一帯は「鷺沼城址公園」という公園で、城址という名前の通り、この地にはかつて城があったそうです。
城の主については、鎌倉時代に「鷺沼太郎源太光義」という人物が拠点にしていた、という説もありますが詳細は不明です。公園内には「源太様小祠」と呼ばれる祠があったり「鷺沼源太満義諸武士之碑」と書かれた碑があったりしますが、文献にある「光義」と碑に名前が刻まれている「満義」が同一人物なのかも不明です。
さらに、この城はいつ頃の建てられたものなのかも不明で、城の主は「鷺沼太郎源太光義」だったのか? 他の誰かの城だったのではないか? など、数々の疑問があるものの手掛かりは無く、まさに「謎多き城」だと言えます。

鷺沼城址公園入口に立つ案内板。緑道側からは階段を使って公園に入る形になる

また、この地には古墳が複数見つかっており、公園内には古墳に関する案内板も立てられています。しかし、こちらも誰の墓なのか定かでないものの、石棺に使用されている石はなぜか津田沼から離れた南房総産だと推定されていたり、公園の周辺から古墳時代の土器などが発見されていることから集落の存在が示唆されていたりと、大きな影響力を持った人物が眠っていると予想されています。

公園内に建つ「鷺沼古墳」の碑

このように、バックグラウンドを説明すると歴史ミステリーに包まれた公園なのですが、実際に訪れてみると子供たちが無邪気に走り回るような地域の憩いの場所になっていて、そのギャップがとても面白い公園です。


という感じで、「田」と「沼」には色々な逸話がありました。「沼」は本当に歴史ミステリー。そして実は「津」にも面白いエピソードがあったり、津田沼駅前にも逸話が・・・みたいなお話を新刊に収録しています。続きは本文をお楽しみに!

この写真にピンときたあなたはカブトムシ
(いや、それではない)


ちなみに、メロンブックスさんでは冊子版の予約受付を開始しています
(※電子版は後日公開予定です)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?