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約8ヶ月振りのライブハウスで思ったコト

推しなんて、もう絶対作らない。

アイドルオタク(特に地下界隈)なら、誰しもが聞き覚えのあるセリフではないでしょうか。そういった人々の世界で使われる、「他界」という用語。通っていたライブに行かなくなったり、今まで応援していたグループと縁を切ったり、はたまた推しているメンバー側が何らかの事情でいなくなったり。こういう現象は毎日のようにどこかしらで起こっていて、SNS(というかTwitter)なんかを見てると日常茶飯事のごとく繰り返されている「オタクあるある」の一種でもあります。

この「他界する」という言葉を頻繁に使うオタク、その大半が実際には他界せずダラダラと界隈に固執し続けているというのは、割とよくある現象です(それを前提としてネタで使っている人もいる)。私の場合、約3年半前に「BiS」というグループにハマってアイドルオタクの世界に足を突っ込んで以降、これまで2回ほど「他界」を経験しました。それぞれ他界することになった決定打は大きく異なりますが、共通している点としては「ほぼ毎回のようにいたのに、何の前触れもなく突然現場(ライブ会場)から消えた」というところです。

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まあ実際は前兆というか、自分の中では徐々に感情が変化して結果的にもう行かないと決断したというのが正解ではあるのですが、周囲からすると「あんなに熱心だったのになぜか突然消えた」と見られていたようです(経験則)。BiSを他界した際は、推しのことは応援したいけどグループに対して将来性を感じなくなってライブに行っても楽しさが薄れてしまった。だから今後は遠い場所でひっそり応援していよう、って感じで離れました(その数ヶ月後にBiSは解散、推しだったアヤ・エイトプリンスは現在ソロで活動中もイベント等には一度も行っていない)。その後は別のとある地下アイドルグループをメインに1年半通っていたのですが、そちらはいろいろあって他界。私が「推しを作りたくない」と思うようになった最大のきっかけで、半年以上ライブハウスに行くことすら怖くなっていた理由でもあるのですが、このへんは営業妨害になりかねないのでグループ名等詳細には言及しません(わかる人にはわかる)。

ひとつ拗れた原因を挙げるのであれば、本気になりすぎてたことかもしれません。ガチ恋的な意味ではなく、推しの言う「売れたい」という言葉を真に受けすぎて、不必要なまでに「力になりたい」と暴走してしまっていたことにあります。ほぼ全通に近いような形でライブに足を運んだり、アホみたいに大量のチェキを撮ったり。変にマーケティングの知識や実務経験があるせいで、運営側の方針に不信感が募りイライラしてたこともありました。こうした行動を続けた結果、グループの活動がうまくいっていないと自身も消耗してしまい、無力さを覚えて自尊心を失い、周りが見えなくなりメンタルも人間関係もグチャグチャになって完全終了。冷静に考えればファンなんて所詮ファンなワケで、たかが1人がそこまでする必要なんてないことくらい誰でもわかる話なのですが、悲しいかなアイドルオタクという生き物は私に限らずこういう悪循環に陥りがちなのです(特に地下だとそれが顕著)。病んでるオタクの7割くらいはきっとこれだと思ってます。

そんな私ですが、約8ヶ月ぶりにライブハウスに復帰しました。しかも、よりによってアイドルのライブで。「メルクマールメルマール」というグループのライブで、前世を他界する前から対バンをきっかけに見続けていたグループ。私がライブハウスに行きたくなくなっていた期間もメルマル(メルクマールメルマールの略称)の動向は密かに追っていて、その後いろいろあって(こっちの「いろいろ」はポジティブな意味合い)またライブハウスでライブが観たいと思えるようになったきっかけでもあります。それでも先述の理由でアイドル現場に行くことへのトラウマはぬぐい切れておらず、予約はしたもののギリギリまで悩んだというのが正直なところ。

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結果的に、ライブを観に行ったことは大正解。
昔のような変な義務感を覚えることもなく、純粋にライブが楽しかったというのが率直な感想。何よりも、直接ライブハウスで声や姿を感じられたというのがどこか懐かしくもあり新鮮で、圧倒されながら夢中にシャッターを切る。そうそう、ライブって本来こういうもんだわ。呪文めいたコールなんて別にいらない、どうやったらもっと盛り上がるかとか、そんな余計なことは考えなくてもいい。単純にステージからの力に身を委ねる、それ以外は何もいらなかった。アイドルオタク時代に忘れかけていた「ライブを楽しむ」という感覚、その最適解を思い出させてくれたライブでした。

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< 盃 美麗(メルクマールメルマール) >


このライブをきっかけに恐怖心もだいぶ薄れ、次に行ったのは「百鬼乙女」というグループのライブ。こちらも他界前に対バンきっかけで知り、縁があって今も引き続き見ているグループのひとつ。このご時世なので昨今のアイドルライブといえば座席指定だったり、スタンディングでも基本的に動けないというライブが大半なのですが、この日のライブはすべて解禁されていました(当然マスクは必須だがコールもOK)。あえて悪い言い方をすれば、「地下感」のある雰囲気。しかし私にはそれが心地良く、ブレーク前夜のヤバイTシャツ屋さん(バンド)のような熱気と勢い、ステージとフロアが一体となった高揚感で溢れる空間でした。楽曲のジャンルはまったく違うけど(イメージしやすいところでいうとももクロとかが近い?)。自分達も笑顔でライブを楽しみ、ファンを全力で楽しませたい。現時点ではまだ日の目を浴びていませんが、百鬼乙女はそんな本来アイドルのあるべき姿を示しているグループだと思わせるようなライブをしてくれました。

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< 櫻城 姫奈(百鬼乙女) >


そして、直近で見て衝撃を受けたのが「SOMOSOMO」というグループのライブ。私が他界する直前の対バンで知り、それ以降ライブには行けなかったものの楽曲が好きで他界後も気にかけてたグループのひとつ。他界前、最後にライブを撮影したのもSOMOSOMOだった記憶。先述したメルマルとは以前から何度か対バンで共演しており、この日のライブもメルマルとの共演だったことから、これも何かの縁だと思い当日になってライブを観に行くことを決めました。出番はメルマルの直後、更にこの日のトリ。かなり久々に見るということもあって、期待値のハードルは正直かなり上がっていたんです。しかし、その高い期待すらも軽く超越してきたのがSOMOSOMOのライブ。まず、音の力がアイドルのレベルじゃない。キャッチーな振付や笑顔で楽しさを表現したかと思えば、力強い歌声や気迫あふれる表情、ダンスでエモーショナルに突き刺してくる。楽曲の良さもさることながら、メンバーひとりひとりのパフォーマンスの「強さ」に圧倒されっぱなし。カメラを構えながら、「セクステット」では思わず涙が溢れるほど。出番が終わった直後から、何度でもライブを観たいと心底思えるような圧巻のライブでした。

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< ツクヨミ ケイコ(SOMOSOMO) >


と、ここまでの経緯で「もうアイドルオタク復活しとるやんけ」と思われる方も多いんじゃないかと思います。実際、月2~3本もアイドルのライブに行っていれば世間的には十分オタクの域でしょう。以前の月2~30本ペースが常軌を逸していただけです。しかし、現時点で「推し」は公言していません。厳密に言うと「この子を中心にライブを観る」という意味での推しは各グループにいてそれぞれ特別強い思い入れはありますが、「〇〇しか」的な単推しになることはもうないでしょう。理由はカンタンです。結局今までと同じ悪循環にハマり、ライブ自体を素直に楽しめなくなってその現場に行かなくなるから。オタクになる以前のライブキッズ時代のように、シンプルに「楽しいと思えるライブにだけ遊びに行く」「特定の現場に固執せず気分で楽しむ」で良いじゃん!というのが現時点での私の中の結論です。今回名前を挙げた3つのグループ(メルクマールメルマール、百鬼乙女、SOMOSOMO)はメンバー全員好きですし、グループ自体が好きなのでもっと売れてほしいし応援はしています。でも、売れるために模索して頑張るのはアイドル側だけで良くて。写真を撮影してSNSにアップするのもただの趣味の一環ですし、このグループ良いよ!って周囲に薦めるのも単に楽しいことを共有したいだけです。別にアイドルのために拡散しようと頑張るワケではなく、あくまでも自分が勝手にやってるだけという精神を忘れずに。ただ、「ライブ楽しかった」という感謝の気持ちだけは物販とかで飾らずに直接伝えても良いのかなって思っています。

デデンネ

< 閑話休題デデンネ >

まあこんだけダラダラと書いておいて、結局何が言いたかったのかというと。いろいろあってオタク他界した私でも楽しめるアイドルのライブはまだ存在した、ということです。次は、そろそろいいかげんアイドルだけじゃなくバンドのライブにも復帰したい所存。SiMとかロットンとかそのへんで。

おやすミシシッピ

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