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生き残ってしまった

大量に死人が出た災害や事件に遭った生還者が抱く罪悪感を「サバイバーズ・ギルト」と呼ぶのを最近知った。
歴史上の例を挙げると南アフリカのアパルトヘイト政策、ナチスドイツのホロコースト、最近起こったものでは京都アニメーション放火事件がわかりやすい例だそうだ。
登場人物がサバイバーズ・ギルトに駆られてしまった漫画がある。

著者のいがらしみきおさんは宮城県加美町出身。
東日本大震災のその後を題材にした漫画「誰でもないところからの眺め」を描いているが、リンクを貼った代表作である「ぼのぼの」の41巻も震災の影響が大きい内容となっている。
主人公のぼのぼのは父親と生活していて母親が出てこないのかは読者にとって長年の謎だったが、この巻には母親の事が描かれている。

ある日、クジラに乗って旅をしている雌ラッコのラコがやってきた。
ラコは同じラッコのブライアン(後のぼのぼののおとうさん)と出会い、ブライアンの案内で島に上陸し遊んでいる途中で怪しい地鳴りが起こる。
同時に津波が起こり、海で待っていたラコの相棒のクジラが津波で崖に頭を強打して死んでしまった。
もう旅はできないのかと悲しむラコに「ずっとここにいていいよ」とブライアンはプロポーズをし、ラコはぼのぼのを妊娠する。
と同時にラコは「わたしは相棒を見捨てて死なせてしまったのに幸せになっていいのか」と罪悪感に駆られて鬱状態に陥って衰弱してしまい、ぼのぼのを産み落とした後に…
という内容。
内容は重いがサバイバーズギルトの事を分かりやすく描いている。

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