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銀行のIT - 日本とオランダをCMから比べてみた

前回ご紹介したING銀行のラブラブ動画は、「いつでも、どこでも、どんなふうにでも」、そして、モバイルアプリのバンキング機能を使ってユーザがどんな嬉しい経験を得られるかをアピールするものでしたが、YouTubeにもありました。前回ご紹介のセッションは2014年のものでしたが動画の投稿日は2011/11/11です。

[日本の銀行のCMとモバイルアプリ 2014年前後] 
それでは日本の銀行のモバイルアプリはと検索したところ、じぶん銀行の2010.12.16のプレスに「スマートフォン向けバンキングサービスの提供開始について」とあり、だいたい同じような頃には日本でもスマホでモバイルバンキングが始まった印象を持ちました。

日本の2014年頃の日本の銀行CMをすこし検索してみましたが、次のようなものが中心のように見受けられます。モバイルというより、ITの存在感はありません。
・どんな銀行かの良いイメージを持ってもらうためのもの
・自行や自行商品の利用を促すためのメッセージ
・商品の特徴紹介

資産額世界巨大銀行ランキング25位のING銀行に対し、農林中央金庫が29位にランキングされていて、資産額ベースでは比較的近いようですが、系統のJAバンクのCMは、一般向けには次のような訴えかけが見られます。
・シニアを応援します、年金はJAへ
・保証が多いほうが安心 住宅ローン
・冬の貯金はJAへ 冬は貯める季節です

エクスペリエンス面での訴求は、公式のCMアーカイブ、特に「農業・地域サポート」、例えば2016年の「きゅうりタウン JAかいふ」のように、ライフスタイルの応援・提案であったり、地域活性化など、メインターゲットである農業・地域に対して強く訴求するものが見られます。「私たちJAバンクは、これからも、地域に寄り添い、農業の新たな可能性を拓き続けます。」との言葉を体現しています。

そこは銀行、銀行の人、顧客による世界であり、ITの存在感はありません。前回ご紹介のING銀行のセッションは2014年のものですが、2014年9月のモルガンマッキンゼーのモバイルバンキングの記事には日本の銀行のものはセキュリティは進んでいるがUIは遅れているとあります。業界全体からアプリケーション開発者を調達すべきでしょうとも示唆されています。

先のJAバンクのようにユーザーエクスペリエンスはあっても、アプリのユーザーインターフェースがユーザの経験のために何かの役割を持っているわけではなかった、ということかと思います。


[モバイルバンキング 2019年末] 
一方、最近の日本の銀行のCMをみると、モバイルアプリの画面が映されるも増えてきています。それらについては、機能の紹介であったり、嬉しい体験というより、便利という意味での嬉しいを伝えている印象を持っています。

オランダのモバイルバンキングのDAU(1日にサービスを利用したユーザー(アクティブユーザー)の統計がStatistaにありましたが、先の動画のING銀行は173,782DAU。160,462DAUで第2位のラボバンク銀行は、日本のJAバンクや農林中央金庫に近い農業系の銀行だそうです。第3位のABNアムロ銀行は投資銀行。そして第4位、6,691DAUのbunq銀行は2012年設立のモバイル専業銀行です。

bunq銀行の英語版Wikipediaでは、外部リンクが非常にIT寄りになっています。bunq自身がコミュニティを支援しており、誰でもAPIのガイドにアクセスできます。

外部リンクを引用します(ここでは触れた3つにだけリンクをつけています)
Official Website
Together (Online Community)
Download App (iOS)
Download App (Android)
API documentation  
bunq API SDKs
bunq Review
Developer Website
App Marketplace

口座のプライスリストに、Enjoy a bank account that makes your finances insightful and fun.とあったりします。bunqでは銀行口座はエンジョイするものでありお金に関することが洞察に満ちて楽しくなる(プレミアム口座の紹介)、そしてYou only need your phone, address and ID.、必要なのはスマホと住所とIDだけなのだそうです。

日本では改正銀行法で、銀行に対しオープンAPIに係る体制整備の努力義務を課し、APIの利用を通じてのイノベーションの促進を図っています。
ですが、この記事によると、APIの利用料で揉めていて思わしくないそうです。


【雑感】
・改めてING銀行の A Penny For Your Thoughts動画をみていて、YouTubeのコメントの書き込みが英語とオランダ語混在なのに気づいたのですが、
この動画(CM?)はどこで流されたものなのでしょうか。最後のキャッチコピーはオランダ語なので、おそらくオランダ向けだと思いますが、オランダの方は「A Penny For Your Thoughts」と言われて大体みんな意味が分かるのでしょうか?日本人的に直訳してしまうと「あなたの考えに1ペニー」で、もしかしたら投げ銭的な「いいね!」の意味だと思う人もいるかもしれませんが、慣用句の「何考えてるの?」なんですよね。

・個人的には、WikipediaのbunqのExternal linksは誰が更新したのかが気になります。

・今回、改めて、しばらく前から世界が変わっていっていることに、気づいていないことに気づかされました。


【小ネタ】
・農林中央金庫は、 農業協同組合、漁業協同組合、森林組合の系統中央機関で、系統中央機関はWikipediaによると「同業態の協同組織金融機関が出資、加盟して決済、資金需要の調整や余裕資金の運用を行う機関」だそうです

・日本発のインターネット専業銀行ジャパンネット銀行設立が2000年9月19日で、2008年6月17日設立のじぶん銀行が、設立当初はiMode,ezWebなどのガラケーによるモバイルバンキングをしていました。

・イギリス発のモバイル専業銀行Atom Bankが2014年設立ですが、Wikipediaは外部リンクが公式ウェブサイトだけの、日本の銀行にもよくある状態になっています。

bunqの口座の作り方がコミュニティサイトにありました。
   1.アプリをダウンロードして実行
   2.個人アカウントを登録するオプションを選択し、未成年かどうかも登録
   3.パスフレーズか手書き認識でパスワードを登録
   4.居住地登録。ちゃんと納税しよう
   5.Onfido(自撮認証)で自撮り
   6.身分証を登録
   7.準備できたらアプリでお知らせ
   連絡が来たら使えます。5分で完了。
だそうです。

・日本でもモバイル専業銀行ができるようです。
 ふくおかFG、2020年にモバイル専業銀行を設立へ

・日本のモバイルバンキングのDAUはStatistaでは見つけられませんでした。

今年の更新はここまで。来年は1月第3週から再開の予定です。良いお年を。
(2019/12/28)

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アジャイルやDevOpsのことを考えさせられることが個人的に最近多くなっています。また、彼我の差については思わぬところでも耳にするようになってきています。そこで、データや英語文献などをいろいろ当たってみたいと思っています。
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