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翻訳者のリレーブログ

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映像翻訳者が仕事のこと、語学学習のこと、趣味のこと、フリーランスの働き方、在宅ワークなどについてシェアします。
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#映画

タルコフスキーの『ノスタルジア』

渋谷のbunkamura le cinemaにアンドレイ・タルコフスキー監督の『ノスタルジア』を観に行った。 1982年制作の伝説的な映画で、今回は4K修復版でより美しい映像が楽しめるとのこと。 私が初めてこの映画を観たのは十代のころ。 当時はこのような単館系の映画を独りであちこちに見に行ったものだ。 自由が丘や高田馬場にマニアックな映画を上映するミニシアターがあったっけ。 大人になり、小難しい映画はほとんど観なくなった。 十代のころはあれほど「難解さ」「深遠さ」に惹かれ

映画『Perfect Days』を見ました

1月2日(火)にTOHOシネマズ日本橋で、1列目以外満席の劇場で『Perfect Days』を見ました。以下はネタバレを含む感想です。 関係者の方からファーストリテイリング取締役の柳井康治氏が始めた“トイレプロジェクト”の一環で、ふだんはCMを作っているチームが製作した映画だと聞いていたので、もう少し商業的な映画を想像して見に行ったのですが、むしろドキュメンタリーに近い映画的な映画でした。中盤から涙が止まらなくなり、最後まで主人公平山の生活に引き込まれました。 平山は、渋

【リレー】あなたの好きな映画は?

最も聞かれて困る質問が、”一番好きなアーティストは?”と”一番好きな映画は?”だ。どちらも口頭で聞かれたら何となく相手に合わせて答えてきたが、今回『翻訳者のリレーブログ』で“好きな映画”がテーマとして回ってきたので、ちょっと自分なりにガチで考えて書き記しておこうと思う。 と言ってもやはり迷うものだ。「スタンド・バイ・ミー」には思い出がたくさん詰まってるし、「リアリティ・バイツ」も大学生だった私はかなりの刺激を受けた。でもやはり私にとって最も大切な作品は、映画好きの原点を作っ

【リレー】あなたの好きな映画は?

「好きな映画は?」と聞かれたら、『月の輝く夜に』と答えるようにしている。他にも、子供の頃に録画ビデオがすり切れるまで見た『グーニーズ』や、ガイ・リッチーのスタイリッシュな初期作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、ジュード・ロウのかっこよさにもん絶した『スターリングラード』などいろいろあるのだが、考えると迷路にハマるので、10年ほど前に『月の輝く夜に』にしようと決めた。 初めてこの映画を観たのは社会人1年生の時だ。会社帰りに立ち寄ったレンタルビデオ店でこれを

自分の「好き」を探ってみたら

aiさんの情報によるとリレーブログをはじめて5か月がたったらしい。11月にメンバー5人でZoom会議を行い、お題に沿って何か書こう、となった。今日は12月のお題「好きな映画」で書こうと思う。 「好きな映画は?」と訊かれると、惰性で「リトル・ミス・サンシャイン」と答えて何年くらい経つだろうか。この映画の日本での公開は2006年なので、15年以上経っている。 映画の好みも歳と共に変わっているのだが、大抵考えるのが面倒なのと、そもそも好きな映画を1つに絞ること自体が間違いだと思

【リレー】あなたの好きな映画は?

人に薦めたいわけでもなく、それに関する有益な情報や深い解釈を持つわけでもなく、ただただ「好き」な映画は何かと聞かれたら…『ブリキの太鼓』と答える。 1979年公開のドイツ映画。第二次世界大戦中のダンツィヒ(現ポーランド、グダニスク)を舞台に、三歳で成長を止めた少年オスカルが見た奇妙な世界を描く。 劇場で観た記憶はなく、恐らく中学時代にテレビで観たのが最初だろう。その後、レンタルビデオを借りてきて観たかもしれない。 とにかく衝撃だった。 美しさと醜悪さ、生々しい愛欲と切な

推しの舞台

力強い声、見事な滑舌、尋常じゃない台詞の量。 冒頭から手に汗握り、痺れました。 ジョディ・カマーの一人芝居、ナショナルシアターライブの『プライマ・フェイシィ』を見てきました。 見てすぐに語れるような内容じゃないんです。少なくとも私には。 あらすじはこちらを見ていただければ。 東京で再上映中なのでチャンスがあれば観てほしいです。 『キリング・イヴ』を見てからというもの、ジョディの虜なんです。最近はあまり映画を見られてないけど、ジョディの映画だけは見ています。「フリー