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お腹いっぱいなのに、まだ食べたい。『BRUTUS 2024年6月1日号 No.1008 1行だけで。』は、悪魔的うまさ

「意外と薄い」

はじめて、雑誌『BRUTUS』を買った。

宅配便の封を開け、白地に黒文字というシンプルな冊子を取り出して、思わず口をついたのが冒頭の一言だ。

しかし、パラパラとめくった中身には、私が期待していた以上の密度で、言葉が並んでいた。

これは腰を据えて読みたいやつだ……! と、家事と育児が終わった夜に、光量をしぼったLEDライトの下で一気読み。

すごい。

愛撫を織り交ぜながら、ジャブがフックが右ストレートが飛んでくる。

痛い。心がビシバシ叩かれて痛い。
そして、ときどき優しく強く撫で付けられる。

私の心が、粘土のようにペシンペシン、ぐにぐにと形を変えられていくようだ。

「1行だけで。」のタイトル通り、本当に1行だけで、こんなに心が勇気づけられ、解かれ、締め付けられ、抉られるとは。

旨みが濃縮された言葉を集めて煮詰めた、光の闇鍋のような1冊だ。

これから出典先をつまみ食いしていこうと思うので、しばらく箸が止まりそうにない。

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