アフィリエイターがWeb選挙参謀になって参院選の愛媛県選挙区でネットを駆使し奮闘した話【後編】
前編は→コチラ
前編からの続きです。
9.Instagramはパソコンでも投稿できる
選挙におけるInstagramの活用法を書くと一つの項目で終わらないので一点だけ。
Instagramはスマートフォンからだけしか投稿できないと思われていますが、パソコンでも投稿可能です。
方法は二つあります。
・パソコンでInstagramにスマホでアクセスしているように思わせるツールをブラウザに追加する
・Facebookページと連携する
上記どちらかの方法で投稿が可能です。
ただし、写真の加工ができなくなるので注意しましょう。
選挙では複数のSNSをパソコンで一元管理しスピード感ある運用が必須です。
なぜならとても短い選挙期間の中で有権者は常に新しい情報を欲しているからです。
Instagramだけスマホを使わないと管理ができないと、効率が一気に落ちます。
Instagramをパソコンで管理できれば、FacebookやTwitterに投稿した文章をそのままコピーして貼り付けできます。
Instagramに担当者をつけて独立運用できるリソースがあれば、スマホで管理した方がよいです。
しかし選挙のインターネット広報部門は、おそらく常に人員不足だと思います。
とくに永野のように一人で管理する場合は、パソコン一台・ワンストップで管理しないと手が回りません。
Instagramをパソコンで管理するだけで効率はとてもアップするので、ぜひ実践してみてくださいね。
10.選挙期間前にFacebook広告を回す
選挙期間前つまり政治活動期間には、ある程度自由に広告が出せます。
今回の参議院選挙では選挙期間に入る直前までFacebook広告を配信しました。
配信方法について詳しく書くと一つの項目では書ききれないので効果をざっくりと紹介します。
配信期間は約20日程度で配信エリアは愛媛県全土。
消化した予算10万円程度で、立候補者の情報をのべ50万人以上のスマートフォンに表示できました。
配布しても捨てられてしまえば二度と見られないチラシに比べ、インターネット広告は選挙や立候補者に興味のありそうなユーザーをAIが判別して追いかけ続けます。
みなさんもちょっとだけ見たAmazonの商品が、ずっと広告に表示され続けた経験をお持ちではないでしょうか?
しかも選挙は「愛媛県」など配信エリアがとても限定されます。
衆議院議員選挙の愛媛1区だとほぼ松山市だけの配信で済むのです。
エリアが限定されるので、1日数千円の予算でも十分に立候補者の情報を露出できます。
予算を数十万円インターネット広告に振り分けると、他の候補や政党が力を入れていない分だけ高い効果が望めます。
ちなみに参議院選挙におけるFacebook広告の運用は永野自身が行いました。
外注もできますが配信自体はとても簡単なので、セルフでの配信を強くオススメします。
11.選挙広報の要「YouTube」
YouTubeの選挙活用法を詳しく解説すると、これだけで10万~20万文字になってしまうので、実践した作業と数字を簡単に報告します。
今回の参議院選挙では、愛媛県に有名な政治家の方が何人も来られました。
その時の様子を、とにかくスピーディーにYouTubeへのアップを心がけました。
5月14日にチャンネル登録をして、積み重ねた動画の数じつに279個。
約2ケ月で300個近い動画を作成しました。
決まった時間にテレビの前だけでしか見られない政見放送。
すでに多くの有権者は見なくなっています。
しかし「N国党」の政見放送はYouTubeに転載され、300万回以上再生されました。
今後はYouTubeで政見放送を公開するのがスタンダードになっていくでしょう。
そして選挙に関する情報や立候補者の活動を、YouTube動画で見る人がどんどん増えていきます。
選挙で立候補者が常に行っているのは、演説です。
声・表情・ボディランゲージを使って有権者に思いを届けていく。
立候補者のパフォーマンスを演説会場や辻立ちの場所でしか聴けない選挙活動を続けていくと、有権者に思いが届かなくなっていくでしょう。
YouTubeは誰でも無料で動画アップロードできるので、選挙活動に使わない手はありません。
スマートフォンで撮影した演説動画をアップロードするだけでも、有権者が立候補者の思いや情熱に触れてくれる機会は増えます。
デメリットはありませんし、YouTubeをやらない理由はいっさいありません。
しかも撮影からアップロードまで、スマホで完結できてしまいます。
今後の選挙では、何をおいてもYouTubeを使っていく必要があります。
拡散力のあるTwitterと併用すると、さらに効果がアップします。
今後の選挙で準備が必須なのは、「撮影スタッフ」と「編集スタッフ」になっていくでしょう。
今回の参議院選挙で、永野は撮影・編集両方もやりました。
しかしメディア運用担当が現場に出て撮影し動画も編集するとなると、本来の運用に時間が割けません。
撮影スタッフと編集スタッフは必ず確保しておくことを強くオススメします。
繰り返しになりますが「N国党」はYouTubeだけで1議席取ってしまいました。
そして元維新の丸山議員を取り込み、渡辺喜美氏と会派を立ち上げるまでにその影響力は増しています。
選挙に関わる人は、絶対にYouTubeを侮ってはいけません。
そして選挙には必ずYouTubeを活用しましょう。
12.ヒートマップを使った解析
「ヒートマップ」というツールがあります。
ヒートマップはホームページのどこがしっかり読まれていて、どこか「読み飛ばされているか?」を測定するツールです。
有権者にしっかり読まれている部分は赤くなり、読み飛ばされている部分は青っぽくなります。
みなさんもスマホでホームページを読むとき、隅から隅まで読みませんよね?
ザーッとスクロールして自分に必要だと思った部分があれば指を止めてしっかり読み始めるはずです。
そこで、らくさぶろう氏のホームページは縦長の一枚構成にしました。
そのため、有権者が読み始めるホームページ上部からどのような順番で記事を配置するか?が重要になってきます。
有権者に優先して見せるべき記事を判別するために、ヒートマップを使ったわけです。
読まれている部分はどこか?読み飛ばされている部分はどこか?を調べて、選挙期間前・選挙期間中に数回配置を変えました。
ただでさえ有権者には時間がありませんから、立候補者のホームページを隅から隅まで読んでくれるわけがありません。
有権者が欲していると思われる情報をホームページの上部に配置することで、短時間で選挙の情報収集ができるように工夫しました。
実は選挙において重要な測定ツールはGoogleAnalyticsではなく「ヒートマップ」です。
選挙でヒートマップを使う方法については、今後くわしく発信していく予定です。
13.SSL化されていない政治家のページはとても多い
まず「SSL」について下記を読んでみてください。
URLがhttpから始まるWebページは通信が暗号化されておらず、第三者によってブラウザーとサーバー間の通信データを盗聴・改ざんされてしまうリスクがあります。SSL/TLSという技術を用いてHTTPS化(通信の暗号化)をすることで、Webサイト訪問者が安心してWebサイトを利用することができるようになります。
https://jpdirect.jp/ssl/aossl.html
簡単にいうと、「HTTPS」で始まるホームページは安全対策されていて、そうでないホームページは危険なわけです。
SSL化されていない・URLが「HTTP」で始まるホームページは、下の写真のように「保護されていない通信」と表示されてしまいます。
政治家・議員のホームページにこんな表示が出たら、有権者はどう思うでしょうか?
しかし政治家や公的な機関でホームページがSSL化されていないケースはとても多いです。
したがって立候補者のホームページをSSL化するだけで、有権者に与える信頼度は大きく変わるのです。
ホームページを格納している環境によりますが、ホームページのSSL化はそれほど難しい作業ではありません。
まずはご自身・自陣営のホームページのURLを確認してみましょう。
14.ネット選挙対策はスマホのカメラが重要
選挙の情報発信で主力になるのは「写真」です。
そして写真撮影で重要なのが、スマートフォンの性能と自撮り棒です。
スマートフォンカメラはとにかく高性能で!
この写真を比べてみてください。
上の写真はGoogleの「Pixel3」というスマホを使って撮影しました。
下の写真はごく一般的なスマホを使った場合です。
性能の差は明らかだと感じませんか?
Googleの「Pixel3」は、スマホカメラの性能において現在最強といわれています。
シャッターを押すだけで少しぼかしの入ったプロっぽい写真を簡単に撮影できます。
今後の選挙活動では、高性能なカメラを搭載したスマホが必須になるでしょう。
各商品リンクはインターネット選挙参謀公式サイトに用意してあります。
自撮り棒の活用
自撮り棒は「自分の撮影するための道具」だと思われがちですが…。
通常では撮影できないアングルから写真を撮影するのにも使えます!
この写真をご覧いただけますか?
体育館で行われた集会の様子で会場には数千人が集まりました。
せっかく数千人が集まったのですから、この圧倒的な人の数を選挙広報に使わない手はありません。
しかし人の目線で撮影してしまうと、数人~10名程度が写り込むだけになってしまいます。
とてもたくさんの人が集まっているのがわかりません。
そこで自撮り棒を使って、高い位置から撮影して写真の中に収まる人数を増やしました。
人がたくさん集まっている様子をアピールできたのです。
永野が使用した自撮り棒には不リモコンが付いていて、リモコンでシャッターを切れます。
ちなみに永野が使っている自撮り棒はスタンド状態にも変形します。
とっさにライブ配信したいときは自撮り棒をスタンド状態にして配信していました。
3000円ほどの出費で迫力ある写真が撮れますので、選挙の情報発信には自撮り棒が必須になっていくでしょう。
各商品リンクはインターネット選挙参謀公式サイトに用意してあります。
15.選挙活動を撮影する際のポジション取りのコツ
リサーチのために三原じゅん子氏のTwitterを見ていたときです。
「上手いな!」と思ったので即取り入れました。
演説する本人ではなく、聴衆を真ん中に配置して撮影していたのです。
立候補者が演説する様子を正面から撮影すると、スタンドアローン状態になって寂しい感じを与えてしまいます。
選挙期間中に必要なのは「たくさんの有権者に支持されている様子」です。
そこで聴衆や有権者の姿が入った動画や写真を撮りました。
せっかく人を動員するのですから、現地だけでなくインターネットでも効果的に活用しましょう。
とくに地方選挙では、まだまだこの発想はありません。
規模の小さい選挙ほど、人が集まっている様子は有権者にとって貴重な判断材料になります。
撮影アングルを少し工夫するだけで印象が大きく変わるので、地方選挙では仲間やボランティアを上手に活用して撮影していきましょう。
16.インターネット選挙広報への思いとこれから
ここまで永野が実践してきた作業の一部を解説しました。
あらためて箇条書きにすると…
・公式ホームページ制作のアドバイス
・公式ブログ管理運用
・Facebook個人、Facebookページ管理運用
・Twitter管理運用
・Instagram管理運用
・Googleマイビジネス管理運用
・LINE公式アカウント管理運用
・選挙ツール「ボネクタ」管理運用
・YouTube管理運用
・Facebook広告管理運用
・写真や動画の撮影
・ライブ配信
・動画編集
・画像加工
タスクレベルの業務はざっくりとこんな感じ。
ライバル候補のリサーチ・チェックと対策考案やほかの地域のリサーチなど、タスクレベル以上の業務も同時に行っていました。
立候補者が今やるべきこと
立候補者本人が永野が実践した内容をすべて実行するのは絶対に不可能です。
まず理解していただきたいのは、選挙でインターネットを使う場合は先のようなタスクが発生する事実です。
そして立候補者本人はまず…
TwitterとYouTubeを始めてください。
とくに重要視すべきは、Twitterです。
Twitterにアップできる動画は2分弱で、尺の短い動画しかアップできません。
だから、逆に動画で発信する練習に最適です。
しかもTwitterはGoogleなど検索にも強い。
そもそも140文字しか書けないため、最小の負担で検索において大きく目立てるのがTwitterなのです。
文字数が少ないですから、SNSとして運用するのも負担が少ないのです。
まずは短くてもいいから発信の練習として、Twitterを活用しましょう。
弁士は発信するのが仕事
議員は別名「弁士」と呼ばれます。
言葉を操って自分の思いや気持ちを伝える専門家です。
しかし弁士は集会や辻立ちで話すのだけが仕事ではありません。
弁士と名乗る以上、文字や動画すべてにおいて伝えるという行動に妥協すべきではないと、僕は思います。
有権者も選挙への接し方が変わった
昔ながらの組織票やドブ板選挙は、どんどん通用しなくなってきています。
以前は立候補者の情報を得る手段はポスターくらいで、人の意見を参考にするしかなかった。
しかし今は、手のひらにあるスマホで有権者が自由に情報収集できる時代になったのです。
立候補者本人が発信している文章や動画・SNSを誰でも簡単に見られます。
立候補者本人の一次情報を簡単に見られるようになったのです。
有権者を組織票でがんじがらめにできる時代は終わりました。
そして一人ひとりが投票先を判断する材料が揃ってきているのです。
れいわ新撰組やN国党から参議院議員が生まれたのは、ネットで情報収集した有権者がこぞって彼らに投票したからです。
選挙前、彼らはまったく注目されずマスメディアにもほとんど登場しませんでした。
れいわ新撰組やN国党の情報に触れられるのは、インターネットだけでしたから。
選挙の世界ではインターネットに詳しい人材育成が急務
だからこそ立候補者は自ら一次情報の発信に注力していかねばなりません。
そうしないと、そもそも有権者が判断する土俵にすら上がれなくなってきているのです。
インターネット上に本人の豊かな一次情報がなければ、投票以前にそもそも立候補者として認識されない時代がもうすぐそこまで来ています。
しかし立候補者みずからがワンストップで情報発信するのは、非常に負担が大きいですよね?
僕は選挙における地上戦を決して軽視していません。
むしろ地上戦の熱量が無ければ、空中戦つまりインターネット選挙広報いくら頑張ってもムダであると考えています。
立候補者は全力で熱量を持って地上戦をやり切る。
いっぽうで同時に地上戦の様子をインターネットで逐一発信する。
地上戦・空中線を両輪のように回すのが理想です。
ですから、選挙におけるインターネット情報発信を担える人材育成が必要不可欠なのです。
今後は選挙そして民主主義が成熟していく過程において、インターネット選挙公報に関わる人材育成は避けて通れないでしょう。
そうしないと、N国党のように「ただ煽るだけの人間」がどんどん議員になってしまいます。
「周りがインターネット選挙対策をやっていないから、自分のところもまだいいだろう。」
それは有権者を見ての判断ですか?
有権者は立候補者の一次情報を求めています。
有権者を一番に考えるなら、立候補者本人が豊かな一次情報を発信するのは、もはや義務だと思うのです。
そして有権者を大切に思う姿勢と行動は、結果として選挙の勝利につながるのです。
投票率を上げるのは立候補者の「なぜ」
今Twitterのタイムラインには、れいわ新撰組やN国党がきっかけで政治関連の発信が増えています。
何がきっかけであろうと、政治について侃々諤々・是々非々が語られるのはとてもよいと思います。
有権者は政治の話をするために、政治家・立候補者の発信を求めているのです。
投票率を上げるために必要なのは、芸能人を起用したキャンペーンでも派手なポスターでもない。
政治家・立候補者みずからが豊かな一次情報を発信すれば、選挙や政治の議論が活発になり結果投票率が上がるのです。
「なぜ立候補したのか?」
「なぜこの政党に所属しているのか?」
「なぜこの政策に賛成しているのか?」
有権者は政治家・立候補者の「なぜ」をまったく知りません。
有権者が一番知りたいのは…
どこに視察に行ったとか、議会で何が決まったのかではないのです。
「なぜ視察に行ったのか?視察に行く前と行った後でどのように変化するのか?なぜ変化するのか?」
有権者が知りたいのはすでに決まってしまった結果、行動し終えた後じゃない。
その前の「なぜ」を知りたいのです。
立候補者が「なぜ」を豊かに雄弁に語れば、立候補者が当選した後の景色を有権者は想像しやすくなります。
つまり投票する理由がハッキリするのです。
結果「なぜ」を語り続ける立候補者に自然と票が集まるでしょう。
永野が今回の発信でお伝えしたいのは、インターネット選挙広報における小手先のテクニックではありません。
立候補者が情報発信を重要視し厚くすれば、政治が盛り上がる議論を活発にし、結果当選につながる仕組みです。
このレポートが、選挙におけるインターネット情報発信を真剣に考えるきっかけになれば幸いです。
おわり
発行責任者:永野 護
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