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カレーパン百景

カレーパンが好きだった。
好きだったとわざわざ過去形にして書いているのは、今は健康を気にしてなるべく食べないようにしているからである。
カレーパンはルーの中に肉も野菜も溶け込んでいて、油で揚げた生地で糖質も取れるもはや完全食なんじゃないかと思っていた時期もあったほどだ。
(もちろんバランスがいいとは言えないのでほどほどに)

定番の揚げパン型カレーパンなら甘めのルーが包まれている近所のスーパーのベーカリーにあるポークカレーパン。
甘めのルーにポークの出汁が染み込んでいてとても美味しい。揚げパン型なので生地は表面がじゅわっとしていて中はふわふわだ。
あと、一度だけ別のスーパーのベーカリーで買って食べたじゃがいものペーストが入っている揚げカレーパンもおいしかった。あのカレーパンはあれから同じ店を覗いても見つけることができなかったし今はもうないお店なのでたべることができない。幻だったのかもしれない。

焼きパン型のカレーパンも増えてきている。
揚げパン型だとヘルシー指向の食生活にはいささかヘビーカロリーな食品だからだろう、個人商店のベーカリーに行くと結構焼き型のカレーパンも多い。
もしかしたらカレーパンのためだけにフライヤーを用意するのが大変というコスト的なものもあるかもしれないけど。
焼き型のカレーパンは生地がもっちりとした口当たりのやつが好きだ。
中のルーがどうしても強く主張するので生地が負けてないやつがいい。

食べない食べないとは言ったけど今気になっているのは「半熟卵が入ったカレーパン」である。
というのも以前一度食べた半熟卵が入ったカレーパンはルーが好みの味ではなかったため、あまり満足した食体験を味わうことができなかったのだが、しかし半熟卵が入っているというプレミア感は嬉しくてその喜びだけが口の中に取り残されるという奇妙な結果になってしまった。
これでルーさえ私の好みだったら最高のカレーパン体験だったのにと思う。

ちなみに好きなルーの味はやや甘め。塩気だけが強いルーはあまり好みじゃない。出汁というか素材の味がエキスになって溶け込んでるやつならもっといい。
普通のカレーは辛さが強すぎるとあまり食べれないがカレーパンなら結構辛くても大丈夫だ。

そういうわけでカレーパンに傾倒しすぎて一時期真夜中に一気に揚げパン型を3個も食べてしまっていた日もあったぐらいだった私だが、さすがにそんな生活を続けていたところ2年で体重が30kg増えた。
カレーパンを見つけては食べ、いつものを買いためては食べと毎日カレーパンを2〜3個食べるような生活をしていたので当たり前である。
それでいて動きもしないのだから尚更当たり前だった。
それでいて「カレーパンは炭水化物も肉も野菜も入っているから大丈夫」と現を抜かして食べ続けていたのだから始末が悪いというものだ。

本当は美味しいカレーパンの話をたくさんしたい。
実はカレーパンはパンの生地に味がまけないようにカレーライスのカレーよりも煮詰めてしょっぱくしているんだよという話とかしたい。
しかしそういうカレーパンを選んで食べまくっていたからこそ栄養バランスがおかしくなっていたんだなというのもわかるから情けない。

結局どんな食べ物も摂りすぎは体に毒なんだという月並みなオチしか書けないのが歯痒いのだがカレーパンは私の心の救いだった。
カレーパンを食べるともっとたくさんカレーパンを食べたくなっていろんな味のカレーパンを知りたくなるから不思議だ。

揚げカレーパン、焼きカレーパン、ポーク、シーフード、辛め、甘め、固め、ふわふわ、もちもち。
いろんなカレーパンを食べていたけど私の記憶の中にしかあのカレーパンたちの思い出はない。
ああ、カレーパン、カレーパン。
ふたたび健康になってたくさん食べれるようになりたいな、カレーパン。

なんかよくわかんないけど今ちょっとラッキーで思ったより出費が浮いたんだ〜っていうあなた!よかったらサポートしてみない?