見出し画像

手水から神道を考えてみる。

最近、神社仏閣にハマってます。

私はお城とか、歴史的なスポットに行くと必ずガイドを頼むのですが、伊勢神宮に行った際にも、ローカルガイドの案内をお願いしました。

ガイドさんからは伊勢神宮の歴史、どこに何の神様が祀られているのか、祭事など、本当に色々な説明をしてくれたのですが、私がその中でも特に興味を惹かれたのが、手水(「てみず」または「ちょうず」と読むそうです)の話でした。

画像2

神社を参拝するとき、よく入り口手前に手を洗う場所がありますよね。あれは手水舎(「てみずや」とか「ちょうずや」とか読みます。神社によって読み方が様々だそうです)といって、神聖な領域に入る前に、心と体を清める目的があります。実はあれって昔からあった訳ではなくて、大正とか昭和頃から、便宜的に作られたものなんだそうです。

どういうことか?

昔は、神社に参拝する時、人々は川や海に入って身を清める禊ぎ(みそぎ)を行っていました。だけど、全ての神社で近くに河川や海があるとは限らないし、現代を生きる人々にとって、毎回川に入るのも難儀。そこで「もっと簡単に禊ぎを行う方法はないんですか!?」という庶民の声に応えて誕生したのがこの手水舎だったのです!!

そう、手水とは、スーパー時短禊ぎだったんです。

手水にも作法があります。まずは左手を洗い清め、次に右手。そして、口をゆすぎ、最後に柄杓を傾けて手で触れた柄の部分を流しておしまい。よく「正しい手水のやり方」などの記事を目にしますが、どの記事も「利き手に関わらず、左手から洗うのが決まり」と書かれている。だけど、そもそも本来は川で行う禊ぎの代わりなんだから、細かいこと言わず、右手から洗ってもよくない?と思っちゃうワタシ。

なぜ左手から洗うのがルールなの?

と思って調べたらみたら、あらゆる文化や民族において、左右どちらを優位とするかという考え方があるそうです。そして日本は伝統的に左上右下(さじょううげ)と言い、左を優位と考える文化だそうです。え、そうなん!?っていう感じでしたが、笑。右大臣よりも左大臣の方がランクが上だったり、着物も左側を前にするのは、そういうところからきてるらしいです。(ちなみに、西洋は右が優位で日本とは逆)

日本のビジネスシーンで、上司と部下が並ぶときは、上司が左に、部下は右が正解。(一度もやったことないが・・・。)

画像3

ニッケイスタイルから画像を拝借

しかし、なぜ日本は左側が優位の文化になったんだろう。ニッケイスタイルさんによると、

「左上右下」の考え方は飛鳥時代、遣唐使などを通じて中国から伝えられた。唐の時代、中国では「天帝は北辰(ほくしん)に座して南面す」との思想のもと、左が上位として尊ばれた。皇帝は不動の北極星を背に南に向かって座るのが善しとされ、皇帝から見ると、日は左の東から昇って右の西に沈む。日の昇る東は沈む西よりも尊く、ゆえに左が右よりも上位とされた。

ということで、日本の左優位は「皇帝から見て太陽が昇ったのが左だったから」ということです。エンペラー基準!

築地でツアーをやっていた時もよく外国人のお客さんから「なぜ左手から洗うの?」と聞かれたことが何度かあるのですが、分かんないのでゴニョゴニョしてましたが、次からドヤ顔で「エンペラーから見て太陽が昇ったのが左側だったので、日本も左が優位となりました。右よりも左が上位と伝統的に考えられるので、左から洗います」と言えます!

話が逸れました。伊勢神宮にも簡易的に禊を行える手水舎があります。だけど、伊勢神宮の内宮には五十鈴川(いすずがわ)という川が流れていて、ここは現役のリアル禊ぎ場(?)ですので、ガイドさん曰く、是非、伊勢神宮に来たら、手水舎ではなく、この川で清めて欲しい!とのことでした。

画像1

伊勢神宮を流れる五十鈴(いすず)川

ガイドさんの話に、幾度となく「お清め」「お祓い」という言葉が出てきました。手水の一件もそうですが、神道の根本に、この「清い」という状態が、重要なコンセプトである気がしたんです。心や体を清めること。その裏返しとして、人の心や体は汚れる(「穢れる」)という前提。

なので「禊ぎ(みそぎ)」と「穢れ(けがれ)」という観点から、もう少し神道を考えてみたいと思います。

とりあえず、今日はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?