コンテの船出            21/22プレミアリーグ第11節     エバートンvsトッテナム

みなさんこんにちは、今回は21/22プレミアリーグ第11節エバートンvsトッテナムの試合を分析します。この試合はスコアレスドローという渋い試合結果になりましたが、結果よりも注目すべきことは何と言ってもトッテナムの監督がコンテになり最初のプレミアリーグ戦ということです。

コンテはユヴェントスでセリエA3連覇、チェルシー監督時代にプレミアリーグ制覇を達成し、昨シーズンはインテルで10年ぶりとなるスクデットを獲得した言わずと知れた名将です。

そんなコンテはどのようなサッカーを展開していったのでしょうか。今回はエバートンの守備を軸にそれに対してトッテナムがどのように攻撃していったのか見ていきます。

スタメン

こちらがスタメンです。

スタメン

やはりコンテはお得意の3バックシステムを採用しました。ヌーノ前監督がウルブズの躍進を支えたシステムでしたが、トッテナムでは頑なに使用しなかった3421です。

前半のエバートンの守備

トッテナムはスタメンの配置から攻撃時は3421からWBを攻撃参加させ325、守備時はWBを下げて541というオーソドックスなものでした。

541のトッテナムの守備は前プレは行わず、ブロックを構築しWBがWG、SHD(シャドー)がSB、IHなど内側に入って来る選手はISBが対応していて、エバートンの攻撃に難なく対応していたと思います。

試合序盤エバートンはトッテナムの325に対して下図のように3バックへ3トップが3バックへ、2IHが2CHへプレスをかけてトッテナムのビルドアップに圧力をかけていました。

画像2

しかしエバートンのSBはWBへのタテスラが遅く、トッテナムはWBを使ってプレスをはずしていました。CB→CH→WBと中から外へのパス回しです。

プレスをはずされたエバートンは4141のままでブロックを構築し守備を行っていました。これによりトッテナムがボールを支配する展開になりました。

ブロックを構築したエバートンはボールがWBに出されるとWGかSBが対応し、下図のように近場のCHやISBをマークしてサイドチェンジをさせないようにサイドに圧縮して守っていました。

画像3

トッテナムはサイドに追い出されなければ、リチャーリソンの周りでボールを持つことができ、ボールホルダーがタテパスを入れられる状態でライン間にはしっかりSHDの選手がいるためそこへタテパスが入れられればいい状態を作れていました。しかしエバートンのIHの選手がSHDを消すように立っているためパスを出すことはできませんでした。

IHのラインを越えてボールがライン間に入ると、そこにはデルフ1人しかいないためケイン・ソン・モウラの3人にWBを加えるなどをして一気にスピードアップしてゴール前まで迫ることができました。

そしてライン間を使えたシーンには共通性があります。それは下図のようにIHが前に出ているときです。

画像4

前述した通りエバートンのIHはトッテナムのCHのマークを行います。これはトッテナムのビルドアップ時には常に行われCHが低い位置に下がっても行っていました。これによりIHとA(アンカー)の距離が広がりライン間にスペースができていました。それを見つけられた際にはSHDの選手にボールが入っていました。

後半のエバートンの守備

エバートンは後半WGがISBにプレスに行く前半のプレスは行いませんでした。

しかしIHにCHマーク以外の守備のタスクが与えられていました。

それは下図のようにトッテナムのISBに対してもコースカットプレスで寄せていくシーンがありました。しかし、これは常に行われていたわけではなく、IHが出た後のWGの中への絞りも緩いことなどから即席の守備なのかなと思いました

画像6

このようなエバートンの守備に対してトッテナムは3バックと2CHのところでなるべくポゼッションを行い、そこからライン間へのタテパスを狙っているように見えました。これはおそらく前述した前半のエバートンのIH守備を見たコンテの指示だと思います。

画像7

そして押し込まれるとエバートンはWGを下げて5バックになりトッテナムのWBに対応していました。とくにLWGのグレイはRWBのエメルソンをかなり意識していました。ボールと逆サイドにあるときでも視野に入れるポジションをとるためにかなり低い位置にいました。ベニテスはまず守備に比重を置いてその次に攻撃という考えをしていたと思います。

それが功を奏してトッテナムは5バックをなかなか崩すことができませんでした。また、トッテナムのLWBに途中から入ったドハーティは右利きのため左ではどうしても聞き足側にボールを置いてしまうことから左足ならクロスを上げられるところで上げ損なうことが起きました。

またトッテナムがボールを支配する展開が続きましたがなかなか敵陣深い位置まで進入できなかったのは、攻撃時のWBのポジショニングが低かったからです。ファジーゾーンに入ってボールを受けるシーンが少なく敵WGの手前などでボールを受けてしまい、敵SBを引きだせないことが多くありました。

まとめ

コンテ・トッテナムのプレミアリーグ初陣はスコアレスドローとなりました。しかし、攻撃時にいてほしい場所に選手を配置することや後半からの修正は理に適ったもので今後どのようなチームになっていくのかとても楽しみになる試合でした。

今後、時間が経つにつれコンテのやりたいことと今のトッテナムでできることが合わさり良いチームになるはずです。そのときを楽しみに見守りたいと思いました。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?