ビジネスチャットツールで職場内コミュニケーションをとるのはどうなのか?
私は介護事業の経営者をしています。
介護事業では、いかに仕事を効率化するかが重要です。
では、何のために仕事を効率化するのか?
それは、介護事業にとって一番メインの仕事である「利用者さん対応の質を上げるため」です。
そのメインの仕事に全力を注ぐことができるように、その他の効率化できる業務は全力で効率化するのです。
当社では、職員間のコミュニケーションの効率化の手段としてLINE WORKSを使っています。
もう使い始めて何年も経ったので、職員の間ではLINE WORKSでのコミュニケーションが定着しています。
LINE WORKSによってコミュニケーションはかなりの効率化が図れました。
今では当社にとってなくてはならないツールです。
ただ、こうしたコミュニケーションツールを使う時には注意が必要なこともあると思っています。
それは、「全てをコミュニケーションツールで済ませようとしないこと」です。
コミュニケーションにも色々な種類があります。
例えば、利用者さんについての報告や申し送り、業務上の連絡事項、上司への報告、部下への指示、困った時の相談、事業所スタッフへの情報共有など。
このうち、LINE WORKSでのコミュニケーションに適しているのは、「感情を伴わない内容」だと思っています。
テキスト形式でのコミュニケーションのメリットは、時間がない時でもサッと読める、コミュニケーションをとる当事者間の時間を合わせる必要がないため、読む側の都合がよい時間に読める、といったことだと思います。
これは大きな効率化です。
逆に、テキスト形式でのコミュニケーションのデメリットは、「感情が伝わりにくい」ということです。
「メラビアンの法則」というものをご存知でしょうか?
メラビアンの法則とは、人と人とのコミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%のウェイトで影響を与えるという心理学上の法則の1つです。
1971年に、アルバート・メラビアンという心理学者が提唱しました。
言語情報と比べて聴覚情報や視覚情報のウエイトがとても大きいことが分かります。
この法則からいえることは、LINE WORKSのようなビジネスチャットツールでは上記の情報のうち聴覚情報と視覚情報がカットされており、残り7%の言語情報でのやりとりになるということです。
これでは感情が伝わりにくいのは明白ですよね。
そのため、ビジネスチャットツールは「感情を伴わない内容」のやりとりに適しているといえます。
業務上の連絡事項、上司への報告、部下への指示、事業所スタッフへの情報共有などですね。
普段から文章で感情を表現するのに慣れている方は、テキストでも十分に伝わる文章が書けるのかもしれませんが、それは伝える側の文章力に大きく依存すると思います。
しかもテキストで感情までしっかり伝えようとすると、かなりの長文になってしまい、読む側にも余計な負担を与えてしまうことになります。
業務で忙しいと、感情を伴うコミュニケーションまでチャットツールに頼ってしまい、職員間のコミュニケーションがギクシャクしてしまうことが考えられます。
現場で働いているのは感情を持った生身の人間です。
いくら業務を効率化したいといっても、感情を完全に無視した効率化はかえって非効率になってしまう恐れがあります。
例えば、あなたが上司に
「スタッフの〇〇さんの仕事の進め方に納得がいかないんです。何とかならないでしょうか?」とLINE WORKSで相談した時に、
上司から「了解しました。〇〇さんの納得がいかない点を箇条書きで送って下さい。その上で、それぞれについて対応策を検討します。」
なんて返されたら、
「え?」となりますよね?
この場合、あなたはいったん上司に「感情まで含めた内容をいったん受け取って欲しい」のであって、テキスト情報だけを伝えたいわけではないですよね?
なので事業所の管理者の方は、ビジネスチャットツールのメリット・デメリットを押さえた上で、困った時の相談など感情を伴う必要があるコミュニケーションは、電話や対面(できれば対面)でする必要があると考えています。
「全てを効率化」ではなく、「ポイントを押さえた効率化」が大事ですね。
以上、「ビジネスチャットツールで職場内コミュニケーションをとるのはどうなのか?」という内容について書いてみました。
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