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「愛の不時着」で「ユン・セリ」に嵌る。その魅力とは何か?

話題の「愛の不時着」にどっぷりハマり、友人にも勧め、その友人も久々に韓国ドラマにハマってしまったと、いいドラマを紹介してくれたお礼にとヒョンビンが表紙の週刊朝日をいただきました。感謝。感謝。
そこで、シナリオをちょこっと書いている私からみたヒロインの魅力について、語りたいと思います。

メロドラマのヒロインは「魅力ある女」でなければならない。

これは鉄則。そうでなければ、メロドラマになりません。では、ヒロインの魅力とは、何かということですが、可愛い、美人、健気、愛に一途だ、といろいろと言われますが、それはあくまでキャラクターの「要素」に過ぎません。愛の不時着は、ヒロインが自立した女性だといわれていますが、それも、時代を映す鏡であって、要素のひとつではないかと思うのです。

では、ヒロインの魅力とは何か、ズバリ見ている人を引き込む力を意味します。それは、ドラマのなかで、ヒロインがどう変わっていき、そして成長していったか、その姿が描かれているからこそ、視聴者を引き付けることができたのです。

ユン・セリはどう変わっていったのか?これが、魅力のキモなのです。

ユン・セリのキャラクターは、韓国ドラマ史上稀にみるやり手として描かれています。大富豪の令嬢として生まれ、婚外子でありながらも、自ら起業家としての業績もあげ、財閥グループのトップに、上り詰めようとした矢先に、それまで全く関心のなかった北朝鮮に、パラグライダーの事故で不時着し、そこで、全く文化や環境が違う人たちと出会い、自ら試練を乗り越え、北朝鮮の将校リ・ジョンヒョクと恋に落ち、新たな人間関係を構築し、新たな世界に踏み出し、人として大きな器になっていくをといったストーリーが展開されていくわけで、そこが魅力なのです。。

つまり、家父長制社会において、兄を抑えて後継者の地位を勝ち取る下克上を果たしたヒロインが、ジュリエットのような悲恋をする。この合わせ技で、最強のヒロインを誕生させ、ドラマの中で、数々の体験や冒険をしながら、試練を克服し、ヒロインが自分の世界をさらに大きく広げていく、その姿に引き込まれるのではないでしょうか。しかし、言うのは簡単だが、これをどう表現するのかが難しいわけで、このドラマの成功は、ヒロインの演技力によるところが大きいと思いました。

やっぱり、ユン・セリを演じたソン・イェジンの演技が上手いとしか言いようがありません。とくに、見せ場となるシーンの「命の危機が迫った場面」「愛していながらの愛想尽くし」「別れの涙」といった王道のメロ演技もヒョンビンとの絡みも完璧なのですが、北朝鮮の舎宅村のおばさんたちや、第5中隊とのやりとりなど、ストーリーの繋ぎの芝居も上手いです。

ドラマの最終回では、不時着からヒロインの世界が広がっていき、周囲から愛を受けるヒロインが描かれています。特にラストシーンは象徴的です。
あの「サウンド・オブ・ミュージック」では、アルプスの山々をバックに、のびのびと歌っていたヒロインが、一人の男性を見つめる世界に入っていくというのでしたが、それとは逆に、このドラマのヒロインは、恋人を見つめながらも、二人の周りに雄大な景色が広がっていくようなカメラワークが美しかったです。

さしずめ、ソン・イェジンの演技力を、フィギュアスケートで例えるなら、4回転ジャンプを連発しながら、繋ぎのステップと表現力で芸術点を上げて、最高得点をたたき出したというところでしょうか。見ている人を引きこむ演技は、フィギュアスケートにもドラマにも同じ原理が働いていると思った次第です。



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