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90年代背景トピック8+2(前編)/90年代ライトノベル夜話。

 世代が違う友人と90年代ラノベについて話してたのですが、背景が違うと体感も違ったりするよな……と思ったので、90年代に起きてたことを実感含みで書き連ねてみます。ただし筆者の背景上、80年代と地続きなトピックは薄味です。

   1・格闘ゲームブーム(91年~96年頃)

 ご存じ、『ストリートファイターII』(91年)から始まる一大ブームです。まだアーケードゲームと家庭用ゲームに性能差があった時代でしたが、スーパーファミコン等への移植作も空前の大ヒットを記録しました。

 流行りにも変遷があり『サムライスピリッツ』(93年)『餓狼伝説スペシャル』(93年)から『THE KING OF FIGHTERS '94』(94年)辺りまではSNK作品が、『バーチャファイター2』(94年)の大ヒットからは3D格闘ゲームが主役になっていました。地方都市では96年辺りでブームが一息つく感じでしたね。

 ゲームセンターではその後、『beatmania』(97年)に端を発するリズムゲーが主役に。特に『Dance Dance Revolution』(98年)シリーズは、ゼロ年代前半までよく見かけました。カラオケ屋やボーリング場、ビリヤード場のゲームコーナーにもしばしば置かれていたものです。

   2・TVゲーム機の世代交代と先祖返り(1994年~97年頃)

 バブル崩壊から日本は長い不況に入るのですが、この頃のゲーム業界は不景気を感じさせませんでした。スーパーファミコン・ソフトは円熟期に入るも性能の限界は明らか、後継機のNINTENDO 64は開発が遅れました。そんな折、次のゲーム機の座を狙うソニーとセガとが熾烈な争いを繰り広げました。いわゆる次世代ゲーム機戦争です。

 発売当初は、超大ヒットした『バーチャファイター』シリーズを擁するセガサターンが有利に見えました。一方でプレイステーション陣営は、『鉄拳2』(96年)『バイオハザード』(96年)『パラッパラッパー』(96年)と幅広いヒット作を連発。徐々に支持を広げていきます。

 明確な決着と見えたのはやはり、『ファイナルファンタジーVII』(97年)の発売。当時のRPGは家庭用TVゲームで特別な地位を占めていて、なかでもスクエア(当時)はエニックス(当時)と並ぶトップブランドでした。複数プラットフォームでの発売も当たり前ではなかった。有力なナンバリングタイトルの発売は、趨勢を決めるだけの力があったのですね。このとき築かれた牙城は、次のプレイステーション2でも続いていきます。

 一方で携帯ゲーム機は、ゲームボーイを脅かす存在はついぞ現れませんでした。外で遊べる良いバランスの機体は存在せず、しかし今更モノクロのゲームは……そんな折に突如出現したのが、初代『ポケットモンスター』(1996年)です。コレクションを軸に据えたゲーム性は、ゲーム機の古さをひっくり返す魅力を備えていました。後述のTCGブームとも相まって、当時はコレクション要素を入れたゲームをよく見かけた気がします。

   3・TCG(トレーディングカードゲーム)の誕生と躍進(95年~)

 今なお続く『MTG(マジック・ザ・ギャザリング)』が入ってきたのもこの時期です。大会が開かれ日本語版が発売され、やがて国産TCGが花開きます。いわゆる第一次TC(トレーディング・カード)ブームですね。

 町中にはTCGショップが乱立しました。90年代後半までは中小規模のTVゲームショップが存在しており、同時にTCGを扱うことも多かったです。

 またこの時期は、とりあえず何でもトレカ(ゲームでないコレクションカード)にされてたイメージがあります。ただその内容は、TVアニメの場面をそのまま持ってきたりとお世辞にも……な商品も相当存在していました。

 カードゲームにしても、初期ゆえの試行錯誤があり、数多の壊れたカードが存在しました。今なお続くタイトル以外でよく知られていたのは、『スクランブルギャザー』の《竜崎一矢》、『ガンダムウォー』の《報道された戦争》、『リーフファイト』の《降霊術》辺りでしょうか。

   4・TRPGの衰退と生き残り(90年代半ば頃)

 90年代半ばにかけて、TRPG関連作品の勢いは減っていきました。前述のTCGや後述のMMO RPGのように、似ていてなおかつ手軽な娯楽が増えたのもあったでしょう。もちろん、ブームとはいつかは鎮まるものなのですが。格闘ゲームのブームと同じく、「落ち着いて行った」との表現のほうが的確なのかも知れません。

『ソード・ワールド』シリーズも『妖魔夜行』シリーズも、ともにTRPG出自ではありつつシェアードワールド小説として生き延びました。雑誌『電撃アドベンチャーズ』は紙面方針を転換するも休刊。電撃文庫の旗艦雑誌は、新創刊された『電撃hp』(97年ー)へと移行することになります。

 最もTRPG衰退の影響を受けた雑誌は『RPGマガジン』(ホビージャパン)でしょう。次第にTCG記事が増えていき、1999年8月にはTCGタイトルを彷彿させる『ゲームぎゃざ』へとリニューアル創刊。当時を覚えている友人は、「TCGには今でも複雑な感情がある」と吐露していました。

   5・阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、そしてTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の超大ヒット(95年~97年)

『新世紀エヴァンゲリオン』の放送開始が95年ですが、事件まで詰め込んだ年だったんだな……と今でも思います。1月に震災があり、冷めやらぬなか3月の大事件。そこからは目まぐるしいものでした。Windows95の発売でインターネットが少し身近になったのも、この年11月のことでした。

 社会が動揺する時期には超大ヒット作品が生まれやすいのかも知れないな……と、『魔法少女まどかマギカ』と『鬼滅の刃』の時も思いましたね。

   (以下、後編に続く……)

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