PSYCHO-PASS サイコパス 第一期&劇場版読解・前編
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※本稿は以前ネットにUPした原稿の改稿版です。全文無料公開の投げ銭形式にて再度公開しています。
本稿はある程度の作品知識を持った上で第一期、劇場版を視聴したい方、及び『PSYCHO-PASS サイコパス』(以下、『サイコパス』表記)第一期、劇場版を視聴済みの方向けだ。
ゆえに、具体的な展開はもちろん、明言されていないシリーズの核心に触れている。原稿中の話数については、細かな指定が効く為、放送当時の全22話表記としている。以上についてはあらかじめご留意頂きたい。
単体でもお読み頂けるよう注意を払ったが、興味が湧いた方は『虚淵玄解析読本』所収のレビューと併読して頂けると幸いだ。では、どうぞ。
0・前置き
『サイコパス』の世界は犯罪係数を規定する存在、シビュラシステムの支配下にある。
永遠に続くかに見えるその支配だが、そこには実は、免罪体質者以上に重大な穴が隠されている。そしてこの穴から作品を眺めることで、シビュラシステムに関するいくつかの謎――槙島に執心する真の理由、最終回である第22話『完璧な世界』での常守朱への哄笑――が無理なく解けるようになっている。
その穴とは何か? 現状では「シビュラシステムの長期的維持は不可能」と言うことだ。
1・シビュラシステムの寿命
大規模かつ日常的なデータ処理が必要な場合、使用システムに一番求められることは何だろう。速さ? 正確さ? いや、何よりもまず「頑丈さ」だ。
いかに正確かつ迅速なシステムであっても、1度使って壊れるようでは話にならない。特にシビュラシステムの犯罪係数計測は、不断かつ膨大な作業量なのだから。
シビュラシステムの頑丈さ、「寿命」の情報は、作中に隠されている。まずは第9話『楽園の果実』、泉宮寺豊久のTV出演シーンを見ていこう。
泉宮寺の表向きの顔は"脳と神経以外を義体化したサイボーグ"であり、帝都ネットワーク建設の会長である。一方で、幾多の事件で暗躍する免罪体質者・槙島聖護のスポンサーであり、6話~8話に登場する王陵璃華子を含め、槙島が用意した人間を「狩る」ことを楽しんでもいる。
本編に映る台本によると、TV番組『厚生労働省機械化保健康局提供「あなたを変える明日の高度医療」』で、泉宮寺はインタビューに答えている。
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