龍使いの君へ、伝えたいことがある。

君は、龍を見たことがあるか。

豪快に飛び跳ね、
見るものを圧倒する、龍。

世界中の物語に、
力を象徴する存在として登場する、龍。

権力者たちは、
自分たちの欲望を叶えるため、
世界を統べる存在としての龍を、
探し求めた。

賢者たちは、
自分たちの智慧への欲求を満たすため、
真理を司る存在としての龍を、
探し求めた。

宗教家は、
自分たちの神との繋がりを確かめるため、
天と地を行き来する存在としての龍を、
探し求めた。

実際、
世界中の神話に、
龍は登場する。

しかし、
どの龍を探し求める営みも、
成功しなかった。

いくら龍を追い求めようと、
決して龍を呼び起こすことは出来ないし、
龍の力を借りることも出来なかった。

龍使いよ。

そなたは知る必要がある。
そなたが龍を呼ぶのではない。
そなたの中から龍が顕れるのだ。

この真理に気付かぬものは、
いくら修行をしようと
いくら祈りを重ねようと
龍と出会えることはない。

龍と出会いたいならば、

自分自身が龍であり、
自分自身が龍使いであるという、

一見矛盾する事実を、
受け入れなければならない。

自分の中に住まう龍と共存できなければ、
他者の中に住まう龍と、
世界の中に住まう龍と、
共存できるはずがない。

龍たちは、逃げも隠れもしない。
この世界に出たがっている。

常に飛び回り、
壁に衝突し、
叫び散らしている。

まずは、
自分の中の龍とただ共存しなさい。

王様との関係のように上下関係でもない、
友人との関係のように同列関係でもない、

ただ、
異なる存在である龍と
共存しなさい。

話しかける必要も、
かわいがる必要もない。

ただ、共存しなさい。

あなたが自分の中の龍と共存できたら、
次は、他者の龍、世界の龍と共存しなさい。

真の龍使いとは、
荒れ狂う龍たちが飛び回る中、
その中心で、
静寂に存在できるもののこと。

あなたは、
嵐のごとくの暴風雨の中、
静寂を保つことができるのか。

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