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特撮ヴィラン語り ~その296 アナザーカブト/矢車想~

平成ライダーシリーズの締めくくりを飾った「仮面ライダージオウ」の中で大きなイベントとなったのが、歴代キャストの再出演。
レジェンド」という通称で彼らは呼ばれており、毎回のエピソードで当時の役柄の未来の姿を演じてくれたことでシリーズを通してのファンも思い出に浸らせてくれました。

その中の一人が「仮面ライダーカブト」から登場した矢車想。TVシリーズではかつて仮面ライダーザビーとして防衛組織:ZECTのエリート部隊を率いていたものの、失態が続いたことで放逐され、「闇の住人」を気取って世捨て人のように全てを羨む皮肉屋に変貌。秘密裏に提供された新たなベルトによって仮面ライダーキックホッパーに変身して気ままに戦うといった転落劇を演じ話題を呼びました。
その後矢車から引き継ぐ形でザビーに変身していた元部下の影山瞬も同じ末路を辿ってしまい、その身分に共感した矢車に従う形で仮面ライダーパンチホッパーに変身。2人は「地獄兄弟」という愛称でファンから愛される人気キャラになりました。

なかなか斬新だと思うんですよね。口癖が「どうせ俺なんか…」「笑えよ…」「お前はいいよなぁ…」ってダウナー系の仮面ライダーって
まあ何人もいてたまるかとは思うけど

そんな地獄兄弟が「ジオウ」にて何とカムバックを果たします。
「カブト」TVシリーズ終盤で、影山は敵の策にはまって昆虫型の宇宙生物:ワームになってしまったことを嘆き、自ら矢車に殺されることを選びました。
その影山に化けたワームが突如出現。宇宙から新たに仲間を呼び寄せようとする影山を庇うように現れた矢車は、「ジオウ」劇中における怪人:アナザーライダーの力を手に入れており、その力を使ってアナザーカブトに変身。
自ら手にかけた弟分の影山の面影に惑わされライダーたちの前に立ちはだかりました。

あっこれ本当に生き地獄みたいになってるよ矢車

いや、エリートからの転落人生ってだけでも確かに地獄ではあるんですよ。
でもそこから紆余曲折を経て弟分が出来て、やさぐれ果てて惨めな宿無し生活を送りながらも何だかんだ楽しい生活を過ごしてたのにさ、最後は自分の手でその弟分を殺さなきゃならなくなって。
そこから13年間ずっとその悲しみを引きずってたところに弟分の顔をした偽者が現れたらそりゃワラにも縋る思いで言うこと聞くに決まってるじゃないですか。
ほんで結局はその野望を砕かれて、影山の姿をしたワームも倒されて。アナザーライダーの力を失った矢車は冷たく「俺は、お前の弟じゃない…!」とワームに言い放たれて再び弟分との別離の時を迎えるわけですよ。またしても弟分を助けられなかったという後悔を突き付けられて。

やめてもう矢車のメンタルぐちゃぐちゃやて立ち直れんて

そんな悲惨な矢車でしたが、アナザーカブトのデザイン自体は本当にカッコいいんですよね。
本家の仮面ライダーカブトを生々しい姿にアレンジしつつ、そのワームの要素も入れ込む形で人間の手が顔に食い込んでいるかのようなデザイン。
個人的に面白かったのがその腰にあるベルト部分です。何とカブトムシの幼虫がとぐろを巻いて引っ付いていて、それが皮肉にも初代仮面ライダーの変身ベルト:タイフーンの風車にちょっと似てるんです。オマージュなんでしょうねここら辺。ウマいデザインだなぁとホントに感心しました。

matthew

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