カレッジワールドシリーズ出場回数から見たアメリカの強豪大学

 前回はWARから見たアメリカの強豪大学というテーマでNoteを投稿したので,今回はカレッジワールドシリーズ出場回数・優勝回数を元に,アメリカの強豪大学を紹介していきます。
https://note.mu/mattdavidson91/n/ndd69a5662a71
説明文はチームの歴史,今季の展望が中心となっています。

11位~1位

11位:ノーザンコロラド大:出場10回,優勝0回,準優勝0回
出場年代:50年代6回,60年代3回,70年代1回
NCAAが1部~3部まで区分される前までは強豪であった。
2000年代以降ドラフト指名を受けた選手は僅か9人,最後にMLBに昇格した選手は1982年指名のマイク・トルフィーヨ,ここ10シーズンで勝ち越したのは3回と,近年は全くと言って良い程結果を残せていない。

11位:ミシシッピ州立大:出場10回,優勝0回,準優勝1回
出場年代:70年代2回,80年代2回,90年代3回,00年代1回,10年代2回
創部1885年,通算2640-1561,勝率.628の歴史ある名門校。
合計WARも13位の235.2で,ラファエル・パルメイロ,ウィル・クラーク,ジョナサン・パベルボンなど数多くの名選手を輩出している。
昨季は1年生のジョーダン・ウェストバーグがバナナを使ってチームをリラックスさせたことが発端となり,球場でグッズの無料配布・Tシャツの販売などが行われ,「バナナ・ラリー」という応援スタイルが話題となった。
今季はリードオフマンのジェイク・マンガム,エースのイサン・スモールが残留,新入生として18年全体30位のJT・ギンが加わり,優勝候補の一角として期待される。

11位:オクラホマ大:出場10回,優勝2回,準優勝0回
出場年代:50年代1回,70年代5回,90年代3回,10年代1回
70年代の強豪で,72年~76年まで5年連続で出場を果たした。
ここ数年は以前よりは勢いは無くなったものの,15年連続勝率.500以上を記録。
最多WARはジェイソン・バートレットの18.3で,今季全体1位候補のボビー・ウィットJrの父,アスレチックスファンから非難を浴びているカイラー・マレーの出身大学でもある。

10位:ノースカロライナ大:出場11回,優勝0回,準優勝2回
出場年代:60年代2回,70年代1回,80年代1回,00年代4回,10年代3回

2006年から2009年まで4年連続出場,06年~07年は2年連続準優勝。
06年はアンドリュー・ミラー,ダニエル・バードの2人が1巡目指名,07年はダスティン・アクリー,カイル・シーガー,アダム・ウォーレンなど,8人のMLB選手がプレーしていた。
エースのオースティン・バーグナーが残留,コンタクト力とパワーを持ち合わせ1巡目有力候補のマイケル・ブッシュ,17年米大学代表で故障から復帰するジアンルカ・ダラトリと,投打が揃う今季は全米でも5本の指に入る強さを誇る。

10位:サウスカロライナ大:出場11回,優勝2回,準優勝4回
出場年代:70年代2回,80年代3回,00年代3回,10年代3回
創部1892年,通算2570勝,勝率.618の名門校で,10年・11年連覇&50勝以上。
10年はウィット・メリーフィールド,ジャッキー・ブラッドリーJr.・サム・ダイソンと現在の主力級が3人もプレーしていた。
今季は超有望な新入生はおらず,カレッジワールドシリーズ進出はやや厳しいか。

9位:クレムソン大:出場11回,優勝0回,準優勝0回
出場年代:50年代2回,70年代2回,80年代1回,90年代3回,00年代3回,10年代1回
過去に2人の全米1位指名選手を輩出している名門校だが,準優勝すらない無冠の帝王。
攻守を兼ね備えたSSとして1巡目指名有力候補のローガン・デビッドソン,好打の司令塔カイル・ウィルキーに,昨年フルで先発ローテで投げERA3点台をマークした投手が2人ロースターに名を連ねる。
新入生の充実度を踏まえると,10年以来のカレッジワールドシリーズ進出も十分あり得る戦力。

9位:フロリダ大:出場12回,優勝1回,準優勝2回
出場年代:80年代1回,90年代3回,00年代1回,10年代7回

10年代は13・14年以外は全ての年で出場している強豪校。
1巡目指名選手が3人抜けた今季は大きく戦力が下がったが,1巡目のタイラー・ダイソンを筆頭に投手陣のポテンシャルは高く,昨季19HRを放ったウィル・ダルトンもを中心とした打撃陣もまずまずで,新入生も非常に充実している。
18年指名対象で両投両打のクリストファー・アームストロングが進学した大学。

8位:スタンフォード大:出場16回,優勝2回,準優勝3回
出場年代:50年代1回,60年代1回,80年代5回,90年代4回,00年代5回
意外にも2008年以来出場がない全米屈指の文武両道校。
昨季から全体24位のニコ・ホーナーに40位のクリス・ブビック,4巡目のトリスタン・ベックと投打の柱が抜けたものの,1巡目有力候補のカイル・ストワーズ,昨季16HRのアンドリュー・ダッシュバックを中心とした打線の破壊力は全米随一。
投手陣も左腕から90mph後半の快速球&プラス評価のスライダーを投げ込むエリク・ミラー,昨季ERA0.60,16SVをマークした絶対的クローザーのジャック・リトルに17年U18代表に選出されたブランドン・ディーターなど充実しており,大きな期待が掛かる。

7位:アリゾナ大:出場17回,優勝4回,準優勝4回
出場年代:50年代5回,60年代3回,70年代3回,80年代3回,00年代1回,10年代2回
3年前の優勝校。
15年U18代表のニック・キンタナなど3割打者が3人連なる打線は破壊力はあるが,多くの人材が抜けた投手陣は不安定で,現戦力の底上げ・新入生の活躍が不可欠。
CLE監督のテリー・フランコーナの背番号32はチームの永久欠番になっている。

6位:カリフォルニア州立大フラトン校:出場18回,優勝4回,準優勝1回
出場年代:70年代2回,80年代3回,90年代5回,00年代6回,10年代2回
歴代のヘッドコーチの勝率が全員.600以上の常勝軍団。
チームの最多HRはダニエル・コープの5本とパワーは欠けるが,コンタクト能力に優れた選手が多い。
先発ローテ3人&クローザーが抜けた投手陣は手薄で,現有戦力の成長・投手育成に長けるコーチ陣に期待。

6位:ルイジアナ州立大:出場18回,優勝6回,準優勝1回
出場年代:80年代3回,90年代7回,00年代5回,10年代3回

1893年設立と歴史はあるものの,初出場は86年と遅め。
そこから半分以上の確率でカレッジワールドシリーズに進出,歴代2位タイの6度優勝と,現在は全米屈指の強豪に成長した。
レギュラー陣は昨年から3人しか抜けておらず,2年連続米大学代表に選出されておりポテンシャルが非常に高いザック・ヘスも残留。
新入生も全米1・2位を争う充実度で,カレッジワールドシリーズ優勝筆頭候補。
独特な名前をネタにされ,日本語Wikipediaが作られたマイナーリーガーの出身大。

5位:オクラホマ州立大:出場20回,優勝1回,準優勝5回
出場年代:50年代3回,60年代5回,80年代7回,90年代4回,10年代1回

80年~99年の20年間で計11回出場した古豪。
今季は18HRのコリン・シンプソンを筆頭にパワーのある打者が並ぶが,粗さがある選手も多い。
投手陣も不安定で,新入生投手の成長・戦力の底上げに期待。
昨年横浜・巨人で活躍したクルーンの息子が18巡目でPHIに指名され入団。

4位:サザンカリフォルニア大:出場21回,優勝12回,準優勝2回
出場年代:40年代2回,50年代3回,60年代6回,70年代6回,90年代2回,00年代2回

通算2807勝,勝率.637にカレッジワールドシリーズ勝率.740と,圧倒的な戦績を誇る全米屈指の名門校。
特に70年~74年までの5年連続優勝は誰もなし得ない大記録である。
しかし近年は勝率5割を上回ることが少なくなり,ヘッドコーチも結果を載せず2,3年で交代することが多く,中々復活の兆しは見えない。

3位:フロリダ州立大:出場22回,優勝0回,準優勝3回
出場年代:50年代1回,60年代3回,70年代2回,80年代4回,90年代7回,00年代2回,10年代3回
1948年創部と比較的新しいが,41年連続40勝,歴代2位の勝率.726など,数々の大記録を残している。
エースのドリュー・パリッシュ,18年米代表のCJ・バン・アイクを中心とした投手陣は安定感抜群で,打撃陣はパワーは少し足りないものの得点力は高い。
40年目を迎えヘッドコーチのマイク・マーティンが勇退する今季は,ナンダー・デ・サダス,イライジャ・キャベルなど新入生に極めて有望な選手が多く,悲願の優勝に期待。

3位:アリゾナ州立大:出場22回,優勝5回,準優勝5回
出場年代:60年代4回,70年代6回,80年代5回,90年代3回,00年代3回,10年代1回
創部は1959年と比較的新しいが,歴代1位の54年連続30勝,負け越しは63年,17年~18年の3シーズンのみと,長期間安定した成績を残し続けてきた名門校。
過去4年間の勝率は.515,17年~18年は2年連続24勝32敗と近年は不調。
昨季18歳という若さで全米1位の25HRを放ったスペンサー・トーケルソンへのマークを分散できる強打者の台頭が待たれる。

2位:マイアミ大:出場25回,優勝5回,準優勝2回
出場年代:70年代3回,80年代8回,90年代7回,00年代5回,10年代2回

1つの年代で8回のカレッジワールドシリーズ出場を果たした唯一の大学。
昨季チーム最多の114Kを記録したエースのエバン・マッケンドリーを軸とした投手陣は故障者が何人かおり,不確定要素は多いが,ポテンシャルは高い。
チーム最多HRはレイモンド・ギルの3本と,迫力に欠ける打線が気がかり。
本拠地の名前はアレックス・ロドリゲスパーク。

1位:テキサス大:出場36回,優勝6回,準優勝6回
出場年代:40年代1回,50年代4回,60年代7回,70年代6回,80年代7回,90年代2回,00年代6回,10年代3回
歴代1位の勝率.727,カレッジワールドシリーズ85勝,2位の通算3558勝など,数々の記録を持つ超名門校。
全ての年代でカレッジワールドシリーズ出場を果たしている唯一の大学である。
今季はゴールデンスパイクアワード最終候補のコディ・クレメンス&ローテ2人が抜け戦力は落ちたが,31SBを記録したデビッド・ハミルトンを筆頭にスピードに優れた選手が多い。
ローテはエースのブライアー・ヘネリー以外は手薄だが,タイ・マッデンなど高いポテンシャルを秘める選手は何人かいる。

5回出場or優勝1回以上の大学

番外編

カリフォルニア大ロサンゼルス校:出場5回,優勝1回,準優勝1回
出場年代:60年代1回,90年代1回,10年代3回
個人的に最も想像より出場回数が少ないと感じた大学。
昨季打率.363を記録し米大学代表候補に選出されたチェイス・ストランプなど,打率.330超の選手が3人並ぶ打線は脅威で,さらに昨季全体25位指名のマット・マクレーンが加わる。
投手陣も制球力が高い選手が多く,守備も堅い堅実なチーム。

バンダービルト大:出場3回,優勝1回,準優勝1回
出場年代:10年代3回
1886年創部,通算2306勝と歴史はあるが,11年が初出場。
一時期全米1位指名と評価されていたクマー・ロッカーにオースティン・ベッカー・ジョン・マルコムなど新入生の充実度は凄まじく,20年・21年も優勝が期待できるメンバーが揃う。
野手陣は2桁HR,2桁SBが3人とパワー&スピードを備えた選手が多く,大学トップクラスのコンタクト力を持つ1巡目有力候補のJJ・ブレデイに長打力が付けば脅威となるだろう。
ルイジアナ州立大とほぼ同格と評されているが,投手力はやや劣るように見受けられる。

各媒体2019年大学ランキング

おわりに

 やはり上位は長年安定した成績を残し続けている大学が多かったですね。
この他にもジョシュ・ユン&キャメロン・ウォレンが軸の打撃チームのテキサス工科大,全体1位最有力候補のアドリー・ラッチマン&最優秀1年生ケビン・アベルを有する昨年覇者のオレゴン州立大,3割打者4人&安定した投手陣のルイビル大など,カレッジワールドシリーズ進出の可能性が高かったり,今後力を付けてくると予想される大学はたくさんあります。
最後まで読んで頂きありがとうございました!

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