映画「落下の解剖学」妻・夫の立場を逆にして考える!(ネタバレあり)
先日、カンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞した映画「落下の解剖学」を観て来ました。
ゆくよ的には、とっても面白かったです!
本作は「法廷スリラー」「国際結婚の問題」など、いろいろな考察や感想がありますが、ゆくよはあえて「フェミニズム的な考察」をしてみたいと思いました。
以下はネタバレを含みますので「それでもいいよ」という方のみお読みください。
※この先ネタバレありです。
それではここから、唐突ですが、このお話の概略を、妻と夫を逆転させて書いていきます。
これを読んで、みなさんはどうお感じになりますか?
〜概略〜
夫はベストセラー作家です。
妻も小説家志望でした。
二人には息子がいましたが、妻の不注意により、息子は視覚障害を負ってしまいました。
妻はそのことに罪悪感を感じ、小説が書けなくなってしまいました。
そんな妻の書きかけのプロットを盗用して、夫は自分の小説を書き、大ヒット。
一方妻は、障害を負ってしまった息子の世話と家事にかかりきり。
夫は息子の世話や家のことを妻まかせにして、自分は執筆に集中。
しかもこれまでに何度も浮気をしていて、さらにはバイセクシャルで、男性にも色目を使います。
妻はとうとう怒りが爆発し、ある日二人は大喧嘩をしました。
妻は言います。
「私たちは、不公平だ!」と。
それに対して夫は、「お前もやりたいことをやればいじゃないか! そのための時間は自分で作れ!」「お前が投げ捨てた小説のプロットを盗用して何が悪い! むしろ活用してやったのだ!」と反論。
翌日、妻の死体が発見されます。
事故死か、他殺か、自殺か、わからない状況。
夫に、妻殺害の容疑がかけられました。
そこで夫は、昔、自分に恋心を抱いていた美人弁護士に弁護を依頼します。
美人弁護士の活躍もあって、なんとか、妻殺害の容疑を晴らすのです。
裁判の結果は「妻は自殺した」という判断でした。
曰く、妻は、息子に障害を負わせた罪悪感でうつ状態だった。
小説家になれなかった挫折感もあった。
かいがいしく息子を世話していたが、結局はそれが負担であり、不満だった。
夫がベストセラー作家として成功したことを、ねたんで、ひがんでいた。
夫が浮気症で、バイセクシャルなことにもイラ立っていた。
だから、自殺した、という裁判結果です。
夫は無罪放免となりました。
夫は、裁判の勝利を祝って、美人弁護士と抱き合いました。
そして家に帰り、改めて息子とも抱き合いました。
というお話です。
これを読んで、どう思われますか?
そして、実際の映画「落下の解剖学」は、この「夫」と「妻」を逆にしたお話です。
これだけで、人々の感じ方が全然違ってしまいます。
皮肉がこめられた映画だと、ゆくよは思いました。
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