調剤を決定する権利。
こんばんは。
薬剤師法、これは薬剤師国家試験を受験した者は全員、頭に入っている言わずもがなの内容だとは思います。
と、かっこよく書きだしましたが普段あまりにも使わない条項は「なんやったっけ」となることは正直あります笑
ただ、文言は曖昧でもその意味と内容は確実に覚えているものであるはずなので、その点で言えば皆さん問題ないかと思います。
さて。
【薬剤師法】
(調剤の求めに応ずる義務)
第二十一条 調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
(処方せん中の疑義)
第二十四条 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。
疑義照会をして、医師からあからさまに嫌がられたり、聞いてる内容を無視して全拒否されるなんて経験は誰にでもあるのではないかと思います。
ですが、我々は絶対に処方箋に疑わしいことがあって照会し「そのままで」と言われても調剤を拒否してはいけないのでしょうか。
私はそうは思っていません。
つまり、薬剤師としてこれはダメだと判断したものは堂々と拒否します。
20代からずっとそうです。
昔、明らかに用量がおかしく疑義照会しても全拒否されたことがあります。
例えば2錠出して30日分としてるけど実は60日分だよーとか、そういうのでもない。調べても特例や症例は無く、やっぱりどう考えても絶対におかしい。
患者さんに「申し訳ない。薬剤師としてこれは調剤出来かねます」と伝えたらその処方せんを持って翌日別のクリニックに行ったようで、健康診断での血液検査結果も持っていたためか正しい用量の処方箋が出たという経緯があります。この事案は厚生局にも経緯を報告しました。
これは個人的には反省したポイントとして
もっと医師に食い下がるべきだった。正当に拒否すべきだったという点。
つまり、拒否する相手を間違えた。
今は、いや、今でこそかなりそういう事案は減りましたしなんならここ5~6年近くはそういう経験は殆ど記憶に無いのですが、
「・・・で、あるならば大変申し訳ありませんが調剤しかねますので患者さんに処方箋を返却させていただきますがよろしいですか」
と言っています。
心無い医師は「そうして!!」と言い放ちます。私はその処方せんに「疑義照会」押印をし、対象の薬剤名だけ記載、経緯を軽く記載した付箋を付けます。
それを見て、はてさてその次の薬局は何もなしで調剤出来るか。そこまでは誰かが教えてくれたわけではないのでわかりませんが、たいていは患者さんがその次どうするかを選択します。相談にも乗ります。対応を一緒に構築します。
これ以外で覚えているのは、
タミフル(オセルタミビル)が10代ダメになった期間、の、それより以前。
12歳の女児にタミフルとボルタレン25mgが解熱剤として処方されていました。
ウソやろ・・・・
ですよね。
ジクロフェナクNaは、インフルエンザにはそもそも禁忌。更に小児へは使わない。医療に於いての「小児」は、15歳以下を指します。
疑義をかけ、出た看護師が不愛想に「そのままで」「いつもそれで出してるんで」と言い放ちます。食い下がり、禁忌であることなども伝えたものの、絶対に変更しない姿勢。
ここで悩みます。
1分1秒でも早く飲んでもらわないといけない薬vs併用薬が禁忌。
時間は19時近くで、でも今から夜間救急へ、なども出来ない。そもそも感染症なうで本人はヘロヘロである。
それが正しかったとは言えませんが、調剤しました。
そして薬袋に付箋で「飲ませないで下さい」と書き、付き添っていた祖父に詳細を説明しご納得いただいた上でアセトアミノフェンを購入していただきました。
今でもあれ以外にどうしたらよかったのかと考えることはあります。
今同じものが来たら徹底的に戦うし、もっと変更させるに至るうまい話し方も出来るであろうと思いますが・・・。
私が25歳くらいの時だったかと思います。
インフルエンザには禁忌ですので、カロナールなどへの変更は可能でしょうか?という照会に、まさか「そのままで」って、若い私には青天の霹靂でしたよ。
因みにお薬手帳が存在していなかった時代です。(存在してたのかな?の程度)
薬剤師はたとえ時間を頂かないといけなくなったとしても、患者さんの健康のため毅然と対応しなければならない。
毅然とするには相応の知識が必要になります。
日々、勉強です。
人を説得するにはそれだけの戦える材料をきちんと持ち合わせる。
そして、指摘するにも相手がすんなり受け入れられるように話をするコミュニケーション能力が必要。交渉力が必要。
私もこのトシ(どのトシ?)にして、まだまだだなぁと毎日思っていますが
薬剤師が医師と正々堂々と渡り合えるに足る職種であると、多くの医師に認識もらえるよう研鑚あるのみですね。
再度記載します。
(調剤の求めに応ずる義務)
第二十一条 調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
(処方せん中の疑義)
第二十四条 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。
「処方箋は拒否しちゃいけないけれど、疑わしいならそれ解消せんうちに調剤したらアカンで」
だから
「疑わしいことが解消されない場合は、正当な理由として調剤を拒否できる」
と解釈できますかね。私はそう解釈しています。
明日も全力で薬剤師を楽しんでいきましょう。