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合気道の思想的ルーツ:出口王仁三郎の言霊学から考える盛平の思想

ゴールデンウィークに暇だったので、ちょっとめんどくさそうな本に取り組んでみた。

古事記を言霊的に解釈するとどうなるかを解説したおよそ一般家庭にはない本である。

開祖が使う神話のワードというのは大本教からの影響が大きいわけで、このあたりの本を読めば言わんとすることのニュアンスがわかってきた。

言霊とは?

言霊というのは一般的には言葉に宿る魂みたいに言われてるけど、大本的にはアイウエオみたいな各単語ひとつひとつに裏の意味みたいなのがあるというもの。

言葉の魂というよりは単語の魂って感じだろうか?

例えばイという音にはイキといった意味があり、ザには誘う、ナにはならぶ、といった感じに裏の意味があるのだそうだ。

ぶっちゃけそれっぽいこじつけだとは思うけど、それで説明すると何やら怪しげな説得力がつく。

イザナギ・イザナミ

合気道の開祖の話でもよく出てくるイザナギ・イザナミという神の説明はこうだ。

イザナまでは先に説明した通りで、ギとは火であり陽の神、ミとは水であり陰の神。

ちなみに「ミ」と「ギ」は一般的には男女みたいな分け方をされるらしい。

いわゆる気誘双神いざなみのかみという御名であって、天地の陰陽ならびてめぐり、人の息ならびて出入の呼吸いきをなす。ゆえに呼吸いきは両神いますの宮である

出口王仁三郎「古事記言霊解」p65-66

とこんな具合で説明される。

なので合気道で息・呼吸・陰陽・イザナギイザナミ・ナギナミなどと言われるのはだいたい同じことを指しているとみていいだろう。

天之浮橋

合気道修行者がなにをおいてもまずは立たねばならないとされてるのが天之浮橋あめのうきはしだ。

onipediaより天の浮橋

言霊ではこのように説明される。

胞衣えな(※胎盤的なやつ)の内にはじめて吹くをなづけて天浮橋という。
その意義はアは自らと曰うこと。メはめぐることである。ウキはウキ、ウクと活用はたらき、ハシはハシ、ハスと活用はたらことばである。
ウは水にしてうき也。
ハは水にして横をなす、すなわちはしである。
水火いき自然おのずからにめぐり、浮発ふはつして縦横をなすを天浮橋という。

とまあ、このような感じでおおよそ言ってることはイザナギ・イザナギとも変わらない。

要はバランスの取れた位置に立つ、ということだろう。

八大竜王・厳の御魂・瑞の御魂

開祖の言葉で特にわけわからんのが八大竜王とか厳の御魂、瑞の御魂とかいう言葉だったんだけど、これは本を読んではじめて意味がわかった。

いづの御霊というのはつの男霊(神様)のことであり、みづの御霊はつの女霊のことなんだとか。

つまりいづは「つ」でみづは「つ」ということだ。それを合わせると八だから八大竜王。

ダジャレかよ!

でまぁこの厳の御魂と瑞の御魂も経緯たてよこで対応しているんだとか。

さらに左は男で右は女とも書いてあった。要するにそういう対応関係のことなのだろう。

もはやこの辺はお決まりのパターンだ。

草薙剣

それから合気道は草薙の神剣発動だともよく書かれていたが、出口王仁三郎的にはこういうことらしい。

草薙剣とは、我が「日本全国の別名」である。
この神国を背負って立つところの真人は、すなわち「草薙神剣の霊魂の活用者」である。

p249

ということはつまり、開祖は合気道ってのは草薙剣を活用することだと言いたかったのだろう。

ある意味でめちゃくちゃ自信満々な発言のようにも思える。

わかっても意味はない

そんなわけで、個人的に「何言ってんだコイツ?」と思っていた部分の大半はだいたい思ってた通りのことだった。

ただひたすらに物事の成り立ちみたいな話をアレも同じコレも同じと言いまくっているだけでしかない。

ただ、だからと言って「そうなんだぁ〜」で終わってもらっては困る。

アレもコレも同じということは合気道も同じなのだ。

あらゆる技は同じ原理によってかけられていて、単に動きをちょっと増やしたり減らしたりしているに過ぎない。

ということを理解したうえでちゃんと合気道で相手を崩したり制したりできないといけないってことだ。

そこまで出来てこそ「理解」したと言える。

道とは……

合気道開祖は「道とは身に血が満ちるように」自分のものとすることだと言っていた。

遥か昔に老子が生み出した「道」という概念は根元そのもののことで、合気道とはその根元を自分の中で身血にすることだと言えよう。

というわけで、そんな稽古をこれからもやっていく。


マツリの合気道はワシが育てたって言いたくない?