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20230106 祭の参加形態と地域社会との関係性

 先日(2022年12月25日),「祭の参加と地域社会との関係性」というタイトルでNOTEを書き,「祭の中で特にすごい役割を持たずとも参加するだけで地域との関係性がよくなるという結果の出ている論文を紹介しました。

 それはある意味そうだろうけどやはり役割があった方が…とか思っていたら,関与の度合いで違いがみられる論文もみつけることができました。
篠永信一朗・松村暢彦・片岡由香 2020祭礼活動の関与度と地域コミュニティに関する意識の関連性. 都市計画論文集, 55(3), 1047 – 1054.

 愛媛県四国中央市伊予三島地区(旧伊予三島市)で開催される伊予三島秋祭の参加者・住民を対象とした調査を元にした論文ですが,祭の現場で質問紙を配布するとともに,住人への調査はネットで行っているのが特徴だと思いました。『現地で配布するなら観客に配ればよいのでは?』という考えもあるでしょうが,それだと「見学する意志はないが(地域に祭が来るので)見学するという受動的見学者と積極的見学者を分けることができない」などの理由もありネット調査にしたようです。
 祭への関与度は関与度が高い順に「コア-周辺-外部」という3群にわけられており,その3群でソーシャルキャピタル,地域愛着,時間的展望がことなるかを検討しているようでした。
 基本的には「コア-周辺-外部」の順でソーシャルキャピタルが高く地域愛着も時間的展望もそこそこ差がみられるということでやはり祭への関与は地域社会との関係性をよくするとう結果が出ていると思いました。
 特に面白いなあと思ったのが以下の結果でした。

 一方、外部層では、友人・知人についで高いのは職場の同僚で他の層と変わりなかったが、秋祭りに関わっている地域の人への信頼が最も低くなった。これらのことから秋祭りに中心的、周辺的と関与度の差があったとしても様々な地域の人への信頼傾向は似通っているが、秋祭りに関わっていない人は秋祭りに関わっている人を相対的に信頼できない、外集団として認識していることがわかる。

 まあ,やはり「祭に参加しないのを選んだ人」にとっては「祭に参加するのを選んだ人」と違うと思うものだよなあと。ただ,この点については関与度(被験者間:コア-周辺-外部)×信頼(被験者内:関わっている・関わっていない・同僚・友人)の2要因分散分析の結果もみてみたいなあと思ったりもしました。
 
 で,肝心の「コア群」と「周辺群」でどこが違うかというのをまとめると「今後も地域の伝統文化として残していきたい」,「ソーシャルキャピタルのネットワーク」,「地域愛着の選好,感情,持続願望」などで,やはりコア群の方がより長期的な視点があり,地域との強いネットワークがあり,次につないでいきたいというgenerativityみたいなものいが強いというのが示されているように思えました。
 
 では,先日紹介した論文とこの論文の違いは何かといえば,やはり先日の論文は「子ども対象」の研究であり,この研究は「大人対象」だからなのかなあと思います。
 そう意味では大人も子どもも参加する祭で検討してみたくなりますね~やはり博多祇園山笠で検討してみたい!

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