20240904　姫路城の値上げ

　姫路城が値上げを決定したようですね。
 
【書誌情報】
神戸新聞　2024　姫路城入城料、市民以外は2～3倍に値上げ方針　現行千円、維持管理費確保へ市　訪日客向けプランも検討.(2024年9月4日閲覧)

姫路城入城料、市民以外は2～3倍に値上げ方針　現行千円、維持管理費確保へ市　訪日客向けプランも検討

現状　大人　1000円　小人　300円
 
値上げ後　大人2000～3000円（姫路市民は500円程度？小人は不明）
 
　海外での著名な観光地はもっと高いイメージがあるのは確かで，先日ICP2024が行われたチェコのプラハ城は450CZKだから3000円くらいかなと。あと，ギリシャのアテネのアクロポリスは20ユーロなので3000円ちょいくらいのようなので，まあ国際的に3000円というのはよいのではと思います。

　兵庫県民なので「姫路市民だけじゃなくて兵庫県民を割引対象にしてほしいなあ…」と思ったりはしますし「日本人と海外観光客の値段を分けるべきだ」という意見などもみられますが，先にあげたプラハ城もアクロポリスもたぶん当該国民も同じ値段だった気がするので，「インバウンド価格」の設定というのは意外と難しいのかもしれません。
　神戸新聞の記事にあったものでは，ペルーのマチュピチュが外国人は2倍の9000円，インドのタージマハルで22倍の1900円になっている例が挙げられていましたが，逆にいえば国内外で料金差があるもの例としてその２つが最初に出るくらい内外差のある施設はそんなに多くもないのだろうなあと。
　なので，姫路城で露骨に「日本人は1000円，外国人は3000円」というような国内外の差を設けるのはやめて「一律3000円」として，「姫路在住の人だけ特別プライス！」と値引く方式にしたのだろうなあと。
　この件について，インバウンドの客は3000円でも払うと思うのは自分が海外旅行をしている時の感覚からでも納得できるのでこの値上げは良いと思います。

　しかし，国内の人間にとって，姫路城に3000円入ってはいるかというと…よほど姫路城に思い入れがないとまず入りませんよね正直。
　というのも，現状日本の城はどこもだいたい500円程度で十分天守閣に登れると思います。上の神戸新聞の記事だと，大阪城で600円（万博にあわせて1200円に値上げ），松本城が700円（紙1300円，電子1200円に値上げ予定）とあり，これまではどこも安かったと思います。
　すでに数か所の日本の城を数百円で見てきた人は，「城の天守閣まで登って得られる体験」がだいたい想像できるので，姫路城にて「3000円です」と言われたら登らないと思うのですがどうでしょうか？　特に日本のお城の場合，無料で近づける場所からその外観の全体像がみられるので，お城をバックに写真を撮って，無料ゾーンでソフトクリームでも食べて無料で行けるお菊井戸までいって「いちま～い」「にま～い」と言って戻ってくればそれで満足できる人が多いのではないでしょうか。
 　だいたいのお城では，お城の全体的な説明や歴史などを学んで次の階に上がり，城の工法や改築前の鬼瓦などの展示をみてまた次の階に上がり，鉄砲を撃つ穴から景色をみたり甲冑や武器などの展示をみて最上階に上がり，そこから360度に広がる展望をみて降りるというお決まりのパターンがあると思います。
　正直なところかなりお城好きで知識のある人以外にとって，天守閣に登って最上階まで行くモチベーションは「最上階から見える景色」なのだと思います。しかし，日本の城の場合，有名でアクセスのよいものの多くはアクセスのよい市街地にあるがゆえに最上階でもそれほど海抜は高くなく，そのため「最上階からしかみえない素晴らしい眺め！」のような展望はのぞめず，堀のきれいさや城を中心とした城下町の様子などを俯瞰できる楽しみはあっても「いい景色～～～！！！」ってなることはあまりない気がします。
　姫路城は標高45.6mの姫山に石垣を14.85m積んでその上に31.5mの天守閣をたてているから合計で海抜92mのようです。
　姫路市で姫路城以外で高い建物といえば，マルイト姫路ビル（ホテルモントレ姫路）が64.11mらしいのでまあその最上階に行けば姫路城とそんなに変わらない光景を体験できるのだと思います。
　これがもっと都会にある大阪城や名古屋城になれば，ハルカスとかタワーズにいけばいいので「展望」を理由に登る気はでてきません。事実私は大阪城にのぼったことは子どもの頃に親に連れられてのぼったかもしれませんが記憶はなく，名古屋城もつきあいで1回のぼっただけのような気がします。
　そんなこんなもあって，姫路城が姫路市民以外を3000円にしたのに対し，他の城が1000円以下に収めた場合は，日本人の姫路城の観光客数は激減すると思います。
　姫路の場合，えきそばやカフェドムッシュなどおいしいものはいっぱいありますし書写山円教寺などもすごくいいみたいですし播州の秋祭りもありますが，日帰りバスツアーなどの参加者が姫路を訪れる場合やはり姫路城がメインになるはずで，それで入場料3000円となるとそりゃ誰も入らないので姫路自体の訪問がなされなくなる可能性が高いよなあと。
　まあそれでも海外からの観光客にはきてもらえるので，インバウンドに特化した街になって京都への集中を少しでも和らげてもらえると嬉しいのになあと思ったりします。