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アイデア資本主義

twitterで著名なビジネスアカウントで勧められていたので「アイデア資本主義」という本を読んでみた。
学びが大きいので、振り返りを書いておきたい。

人にすすめられたものは、できれば試してみる性分なのだが、最近はtwitterで「〇〇 おすすめ」とかで検索すると誰かに勧められている気分でついついポチってしまう。
最近の一番の当たりは八海山の塩麹を使った塩だれだった。(焼肉や塩焼きそばにとても合う)

余談になってしまった。話を戻そう。

アイデア資本主義

そこで本書では、資本主義をシステムとしてではなく資本主義的経済行為を生み出す〈-ism〉として捉え、「将来のより多い富のために現在の消費を抑制し投資しようとする心的傾向」と定義します。

アイデア資本主義

資本主義の前提を定義しながら、第一部では丁寧に資本主義の歴史、そのフロンティアの広がりを説明しておりとても面白い。

では、資本主義はいつ・どこで発生したのでしょうか。 産業革命の時期にヨーロッパで発生したと考える方が多いと思いますが、より早い時期に資本主義の確立を見出すのが本書の立場です。例えば中国の宋王朝時代(960~1279年)における対外貿易および自国内での生産の変容を見ると、明らかに資本主義的な心的傾向に基づく経済活動が生じています。また、これとあまり変わらない時期に、中東においても商業および金銭貸借といった金融の発達が見られたことをドイツの歴史家ユルゲン・コッ(Jürgen Kocka) などが指摘しています。

アイデア資本主義

この時代には商人同士による航海のための短期的な共同出資の形も見られた他信用(credit) に基づく資金調達もなされたのです。なお、コーランでは商業を通じた 利潤追求を是とする一方で、リバー(利子)は厳しく禁じられています。しかし、このリバー取得禁止のルールはよそ者には適用されなかったため、イスラム教徒にとってのよそ者であればリバーを伴う取引を担うことができました 。

アイデア資本主義

羅針盤やゼロの概念、複式簿記、銀行の概念、株式会社などに加えてキャラック船の発明が重なり合って新大陸の発見につながる。
イノベーションが折り重なってフロンティア発見のインフラが構築されたというのも興味深い。

時間のフロンティアという観点では、それまで航海ごとに解散していたため、長くとも数年に限られていた会社の存続期間が、VOCの登場によって積極的には期限を設けないというように大きく引き伸ばされた点が非常に重要です。

アイデア資本主義

第2部では伝統的なフロンティアが開拓され尽くした後に内的な発展(インボリューション)が起こっていく様子とその先の資本主義のあり方の仮説を説明されている

「インボリューション (involution)」 とは、人類学者のクリフォードギアツ(Clifford Geertz) がインドネシア・ジャワにおける農業発展の特徴を表す際に、「内に向かう発展」という意味で用いた概念です。

アイデア資本主義

第一に、フロンティアへの進出が外の領域へ広がっていく活動であるのとは対照的に、インボリューションは内側の領域へと回帰する現象です。 従来型の経済活動同様、インボリューションも資本主義の拡大志向が具体化した現象ではあるものの、ベクトルが逆を向いていることが特徴的です。
空間においては、外への拡大ではなく内側への再投資。 時間においては、来への拡大ではなく"いま"の細分化。生産=消費においては、資本投下による技術革新ではなくボトムアップの品質向上。このように、資本主義における拡大のベクトルを逆転させるところにインボリューションの本質があります。

アイデア資本主義

終盤は脱資本主義論が台頭していく中でも資本主義のアップデートでの対応を模索するというホットな話題につながっていくのだが、
過去から現在、未来にわたる資本主義のあり方を網羅的に語っていた。

matsuriは幸いにも素晴らしい株主と創業時よりご一緒できたことで先に信頼(エクイティ)という形、そしてそれに応えるという資本を通じた拡大を体感させていただいた。

ただその素晴らしさを身をもって感じるのと同時に、インボリューションの行き着く先に人類の幸せが待っているのかという一抹の不安を抱えつつ全力で走ってきた。

アイデア資本主義を読んでこれだけ「資本主義」に思いを馳せても、その行先が明るいのか暗いのか?は分からないが

このように、私たちが自分の人生を真剣に生きて、自分の将来について思案したり目標を立てたりするという行為の中に、すでに資本主義の本質が含まれていると考えられます。

アイデア資本主義

という一文には大変勇気づけられた。

資本主義はこの数年で大きな転換を迎える。

次の新しいフロンティアをどう見つけ出すのか。そしてそこにどう希望を見出し、ディストピアではなくユートピアを建設をしていくのか。

様々なことを考えるきっかけとなる良書だった。

参考までに私たちのビジネスモデルを振り返ってみたがすべてのインボリューションを満たしているようだ。

期せずして3要素揃ったところに張っていることがわかる


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